定例記者会見(2013年2月28日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2013年2月28日 14:00~14:45
  • 場所)国際協力銀行 3階会議室
  • 説明者)総裁 奥田 碩

本日は、お忙しい中、多数の皆様にお集まり頂き、誠に有難うございます。
JBIC総裁の奥田でございます。本日は、お手許のプレゼン資料に沿って、主に昨年7月の前回の定例会見以降の最近のJBICの取り組みについて御説明させて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします。

円高対応緊急ファシリティの実施状況

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まず初めに、「円高対応緊急ファシリティ」の実施状況を御説明します。資料の2ページをご覧ください。
(1)にあるとおり、この円高対応緊急ファシリティは、円高のメリットに対応し、日本企業による資源・エネルギーの確保や海外企業の買収などを促進するべく、2011年8月に日本政府により発表され、翌9月から運用を開始しており、その後の期限延長を経て、本年3月末までの制度として運用しているものです。
(2)のところに、2011年9月の運用開始からの累計承諾実績を記載しましたが、これまでに資源関連が29件、金額約232億米ドル、海外M&A関連が20件、金額約108億米ドルとなっており、合計で49件、総額約340億米ドルとなっています。
本ファシリティに基づく具体的な支援案件の一覧は資料の3から7ページ目に記載しておりますので御覧ください。
前回の会見以降においても、資源関連では、資料の3から5ページにありますとおり、豪州や北米、カザフスタンやUAEでの石油・ガス関連案件や、チリでの銅案件、ブラジルやフィリピンでのレアメタル関連案件などを支援しました。
M&A関連では、資料の6、7ページにあるとおり、米国や欧州といった先進諸国やインドなどにおいて、医療機器や空調機器事業、モータや食品事業、ロジスティックやリース事業など、多様な分野でのM&A案件を支援してきました。
本ファシリティについては、本年3月末までの期限が設けられておりますが、日本企業による資源・エネルギーの確保や海外企業の買収などへの支援期待は依然として強いと認識しております。JBICとしては、今後もこうした分野のニーズに対し、民間金融機関とも十分な連携を行いつつ、適切に対応していけるよう、必要な対応につき日本政府とも相談して参りたいと考えております。

エネルギー・資源確保への取り組み

次にエネルギー・資源確保への取り組みについてですが、資料の8ページをご覧ください。
まず、エネルギーについては、(1)にあるとおり、INPEXが日本企業として初めてガス田の開発からLNG等の生産までを一貫して行うプロジェクトのオペレーターを務め、電力・ガス会社を含む日本勢が権益の約7割を保有する豪州での大型LNGプロジェクトや、日本の資源戦略上極めて重要な国であるアラブ首長国連邦(UAE)・アブダビの国営石油会社(ADNOC)に対し、原油の長期安定確保を目的とした融資を決定しました。
また、鉱物資源についても(2)のとおり、チリでは複数の銅鉱山開発事業を支援したほか、新日鐵住金及びJFEホールディングスによるブラジルでのニオブ事業、三井物産、住友金属鉱山によるフィリピンでのニッケル事業などレアメタルの確保のための支援も行いました。
更に、(3)にあるとおり、日本企業による資源関連事業への参画機会の創出等を図るべく、英国のBG Group、ブラジル石油公社(ペトロブラス)、豪州のWoodside、アンデス開発公社やADNOCといった外国の有力企業等との間で業務協力協定を締結するなど、関係強化を図っています。

海外インフラ事業等への取り組み

続いて海外インフラ事業等への取り組みについてですが、資料の9ページをご覧ください。
(1)にあるとおり、鉄道分野では、日立製作所が英国で行なう都市間高速鉄道関連事業を支援した他、日本車輌製造及び東芝製の鉄道車両のベネズエラ向け輸出を支援しました。電力分野では、電源開発が出資参画し、三菱重工業製の高効率発電設備を導入するタイでのガス焚複合火力発電事業を支援した他、丸紅によるインドネシア向けの送変電設備の輸出等を支援しました。こうした個別プロジェクトへの支援に加え、(2)にあるように、三菱東京UFJ銀行他が参画する東南アジア諸国でのインフラ事業を投資対象とするファンドにも出資を行いました。
また、(3)にあるとおり、三菱重工業が建造する3次元海底資源探査船や新来島どっくが建造するばら積み貨物船の輸出等、国内造船所建造船舶の輸出への支援も引き続き行っています。
この他、(4)にあるとおり、米国輸出入銀行との間で、日米両国企業の第三国向け輸出を、保証・再保証機能を活用しつつ両機関が連携して支援するための協定書にも調印しました。今後も、こうした他国政府機関等とも連携しつつ、日本企業の海外ビジネスの拡大を金融面から支援して参ります。

中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み

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次に、中堅・中小企業の海外事業展開への取り組みについてですが、近年、海外市場の成長を取り込むべく、海外事業展開に積極的に取り組む中堅・中小企業が増えつつある中、途上国の地場金融機関や日本の地域金融機関などとの連携強化も進めつつ支援しています。資料の10ページをご覧ください。
(2)にあるとおり、タイのカシコン銀行やインドネシアのバンクネガラインドネシアに続き、今般、インドステイト銀行との間でも、日本の地域金融機関を通じた中堅・中小企業の現地進出支援体制の整備に係る覚書に調印しており、既に多くの地域金融機関が本枠組みに参加しています。
また、(3)にあるとおり、地銀との連携も強化しており、香川の百十四銀行との間では、業務協力協定の締結や地元企業のインド事業に対して協調融資を行いました。さらに、大阪の池田泉州銀行に対し、中堅・中小企業の海外事業展開支援のためのクレジットラインを設定した他、同行及び千葉銀行との間で、夫々M&A及び中堅・中小海外事業安定化支援クレジットラインを設定するなどしています。

地球環境保全等への取り組み

次に地球環境保全等への取り組みについてですが、資料の11ページをご覧ください。
まず、再生可能エネルギー関連等については、(1)にあるとおり、三井物産他が出資参画するカナダでの再生可能エネルギー発電事業について、カナダドル建のプロジェクトファイナンスで支援した他、トルコやインドの地場金融機関に対してクレジットラインを設定し、日本からの再生可能エネルギー機器や省エネ機器等の輸出を支援しています。
また、(2)にあるとおり、ペトロブラス向けには、製油所でのコジェネレーション事業や海底油田でのフレアガス削減事業における温室効果ガス排出削減に必要な資金を支援しました。

国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処

次に、国際金融秩序の防止またはその被害への対処についてですが、資料の12ページをご覧ください。
昨今、ミャンマーに対する日本企業の関心が高まっていますが、JBICはミャンマー政府に対し、先般、同国のアジア開発銀行及び世界銀行グループの国際開発協会に対する延滞債務解消のため、ブリッジローン(「つなぎ融資」)を供与しました。今回のブリッジローンにより、ミャンマーと国際機関との関係が正常化することは、同国が国際金融市場への復帰を図る上で重要であり、同国及び周辺地域の安定及び発展につながるものと考えています。

日本企業の海外拠点の取引支援に向けた融資制度の拡充

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次に最近の制度面の整備について、お話します。資料の13、14ページをご覧ください。
グローバル化の進展を背景に、日本企業の第三国からの調達が増加し、また、日本企業の製造拠点の現地化が進行することに伴い、日系現地法人等による第三国への輸出や進出先国内での販売が拡大しつつある中、本年2月1日より、(1)日系企業による現地及び第三国生産品を考慮した輸出金融の運用、所謂3割ルールの柔軟化、及び(2)海外現地法人等による第三国向け輸出や進出先国での販売支援のための投資金融(ローカル・バイヤーズ・クレジット)の運用を開始しました。
これらについては、かねてより産業界からもご要望が寄せられていたものであり、今般、制度面での整備を行ったものです。

「海外展開支援出資ファシリティ」の創設

次に、「海外展開支援出資ファシリティ」についてお話します。資料の15ページをご覧ください。
JBICは、本年2月26日、JBICの出資機能をより一層活用し、日本企業の海外展開を支援することを目的とする「海外展開支援出資ファシリティ」を創設しました。本ファシリティは、本年1月に閣議決定された「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を踏まえて設置したもので、JBICの出資機能をより一層活用し、日本企業の海外展開を支援することを目的としています。
本ファシリティの下、JBICは、海外M&Aやインフラ、資源分野等への出資を通じ、中堅・中小企業を含む日本企業の海外展開を積極的に支援して参ります。

まとめ

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私からの説明は以上ですが、新政権においても、日本経済の再生に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策と並び、民間投資を喚起する成長戦略が、長引く円高・デフレ不況から脱却のための重要な要素として挙げられていると共に、「貿易立国」と「産業投資立国」の双方が相乗効果を発揮する「ハイブリッド経済立国」を目指すとの方針が示されており、JBICと致しましても、政策金融機関として、こうした政府の政策の一翼を担っていくことが期待されていると強く認識しております。
海外資源の長期安定的且つ安価な確保に向けた支援は勿論のこと、インフラ分野をはじめとする様々な分野において、日本企業の海外事業展開に対して木目細かい支援を行い、グローバル経済の成長力を日本に取り込むことを通じて、日本の成長に結び付けていくことが求められています。
私共と致しましても、今後とも皆様の御期待に的確にお応えして行けるよう、役職員一同一丸となって、努めて参りたいと考えております。