定例記者会見(2013年7月26日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2013年7月26日 14:00~15:00
  • 場所)国際協力銀行 9階講堂
  • 説明者)総裁 奥田 碩

本日は、お忙しい中、多数の皆様にお集まり頂き、誠に有難うございます。
JBIC総裁の奥田でございます。それでは、お手許のプレゼン資料(資料A)に沿って、主に本年2月に開催させていただきました前回の定例会見以降の最近のJBICの取り組みについて御説明させて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします。

平成24年度業務実績

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まず初めに、「平成24年度の業務実績」を御説明します。資料Aの2ページをご覧ください。
平成24年度の出融資・保証承諾実績は、4兆2,409億円で、本年3月末で期限を迎えた円高対応緊急ファシリティの下で大型の資源開発案件やM&A案件に対する融資が大きな要因となりまして、過去最高となりました。
平成24年度においては、約20年振りとなったブリッジローンをミャンマー政府向けに供与しました。また、インフラや資源といった大型案件では、英国ポンド建て、カナダ・ドル建て、オーストラリア・ドル建ての融資承諾を行いましたし、製造業向けではタイ・バーツ建てや初のインドネシア・ルピア建ての融資承諾を行いました。

平成24年度決算概要

次に平成24年度の決算について、お話します。資料Aの3ページをご覧ください。
まず、上段の損益の状況についてご説明いたします。業務粗利益は、前年度比131億円増で788億円、当期純利益は前年度比110億円増の635億円となりました。このうち、316億円を、本年6月に国庫納付いたしております。
続きまして、下段の資産の状況についてご説明いたします。平成24年度資産合計残高は、前年度比1兆7,444億円増の14兆4,302億円となり、うち貸出金残高は前年度比2兆4,448億円増の10兆5,551億円となりました。

最近の取り組み

エネルギー・鉱物資源確保への取り組み

次に最近の取り組みについてご説明いたします。まず、エネルギー・資源確保への取り組みについてですが、資料Aの4ページをご覧ください。
エネルギーに関しては、本年3月、関西電力及び九州電力に対して、液化天然ガス(LNG)や原油といった、火力発電用燃料の安定調達に必要な輸入資金を支援しました。
また、4月には、JX日鉱日石開発の100%出資英国子会社向けに、英領北海における発見済の未開発油田の中では最大規模の油田となるマリーナ(Mariner)油田及びキヌール(Kinnoull)油田の権益取得及び開発に必要な資金を支援しました。
その他、5月に、中部電力に対して、オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトへの参画を支援しました。イクシスLNGプロジェクトは、インペックス(INPEX)及び日本の電力・ガス会社が権益の約7割を保有し、インペックスが、日本企業として初めてガス田の開発からLNGの生産までを一貫して行うプロジェクトで、JBICは、昨年、12月に同プロジェクトに合計約52億ドルの支援を行なっていますが、本件は、それに続くものです。
鉱物資源についても、本年3月、三菱商事の豪州法人が参画する豪州キャバルリッジ炭鉱の新規開発、丸紅の豪州法人による豪州ロイヒル鉄鉱山の権益取得及び開発事業への融資を通じ、日本企業の海外大型鉄鉱山開発事業への参画支援による資源の安定確保に貢献しています。
更に、5月には、出光興産のボガブライ炭鉱の拡張開発を支援しております。

海外インフラ事業等への取り組み

続いて海外インフラ事業等への取り組みについてご紹介いたします。資料Aの5ページをご覧ください。
まず、最初に、日本企業による海外でのインフラ事業展開の支援事例を紹介しております。本年3月に、通信分野で、インドネシア国内最大の通信事業者であるテルコム(TELKOM)の子会社が、日本とシンガポールを結ぶ光海底ケーブルの一部と関連通信機器を日本電気等から購入するための資金をバイヤーズクレジットにより支援しました。
電力分野では、日本企業によるチリでの電力インフラ事業への出資参画として初めてとなる、三菱商事のチリでの出資現地法人が行うコクラン石炭火力発電プロジェクトをプロジェクト・ファイナンスという手法を用いて支援しました。
こうした個別プロジェクトへの融資に加え、本年3月、三井住友銀行がインド及びカナダの企業と連携して運営する、インドにおける電力、運輸及び交通セクターなどのインフラ事業を投資対象とするインフラファンドに出資しました。
また、当行は、これも同じ3月ですが、日印共同の地域開発構想であるデリー・ムンバイ産業大動脈構想の推進主体に対して出資参画致しました。
最後に、インフラ分野等における日本企業の事業参画機会の創出等に向けた取り組みと致しまして、ベトナムの計画投資省との間で、ベトナムにおける民活型案件の形成及び推進に関する協議会を開催するとともに、今後の協議実施の枠組みに関する合意文書を締結致しました。
アジアのみならず中南米のコロンビアについても、同国の大手商業銀行であるバンコロンビアとの間で、コロンビア向け本邦機器の輸出支援のための資金協力に向けた情報交換や検討を行うことを目的とした覚書を締結いたしました。

中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み

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次に、中堅・中小企業の海外事業展開への取り組みについてご紹介させていただきます。資料Aの6ページをご覧ください。
近年、海外市場の成長を取り込むべく、海外事業展開に積極的に取り組む中堅・中小企業が増えつつある中、当行といたしましては、融資による支援のみならず、海外の投資環境情報の提供やセミナーを開催するなどして、情報面からの支援も実施しております。また、日本の地方銀行や途上国の地場金融機関などとの連携強化も進めながら、中堅・中小企業の支援を推進しています。
6ページの表で、過去3年度の中堅・中小企業向けの当行の出融資実績を記載しています。平成24年度の中堅・中小企業向け出融資承諾件数は23年度の16件から34件に、承諾金額は23年度の36億円から341億円に増加しております。その下の表は、平成24年度に設定した邦銀向けクレジットラインの一覧表です。
また、6ページの下に記載しておりますとおり、平成24年度に中堅・中小企業関連案件により支援した中小企業の数は491社となりました。
続いて、資料Aの7ページをご覧ください。ファンドを通じた支援を紹介しておりまして、新設された「海外展開支援出資ファシリティ」のもと、本年3月、みずほコーポレート銀行のシンガポールの100%出資子会社が、中堅・中小企業をはじめとする日本企業のASEAN地域の進出を支援することを目的として設立したプライベート・エクイティ・ファンドへの出資を決定しました。金額は、当行分として、2,500万ドルです。
次に、途上国の地場金融機関との連携強化事例をご紹介します。本年3月、フィリピンの地場金融機関2行との間で、日本の地域金融機関を通じた中堅・中小企業の現地進出支援体制の整備に係る覚書を締結しました。この覚書には、多くの地銀に参加していただいております。フィリピン以外でも、タイ、インドネシア、インドと併せて合計5行との間で同様の取り組みを実施しております。
また、中堅・中小企業向けの個別の融資事例としましては、4月に、兵庫県の播州電装のインドネシアにおける自動二輪車及び建設機械用部品の製造・販売事業を支援したり、5月には、広島県のサタケのブラジル現地法人が実施している穀物加工機械の製造・販売事業の拡張に必要な資金、大阪の日本化学製造がベトナムで実施している化学・食料・飲料・エネルギー関連等のプラント・エンジニアリング事業を支援しました。6月にも、広島県のナガトのタイ現地法人が自動車用部品向け熱処理加工設備を増設するための資金を支援しております。

地球環境保全等への取り組み

次に地球環境保全等への取り組みについてですが、資料Aの8ページをご覧ください。
まず、再生可能エネルギー関連等については、トルコのギャランティバンクや、ホンジュラスの中米経済統合銀行に対し日本からの再生可能エネルギー機器や省エネ機器等の輸出を支援対象とした輸出クレジットラインを設定しました。
また、3月から7月にかけて、コロンビア、インド、マレーシア、トルコ、の銀行に対して、温室効果ガス排出削減に資する環境関連プロジェクトに必要な資金を支援したことを、お手元の資料では紹介しております。
なお、6月には、南部アフリカ開発銀行との間で、南部アフリカ開発共同体加盟諸国における風力発電事業や太陽光発電事業等の再生可能エネルギーを利用する環境関連事業を対象として貸付契約を締結しましたが、これは、地球環境保全業務(GREEN)においては初のアフリカ向けとなるものです。
将来に向けた取り組みと致しまして、3月にはマレーシアの銀行と、5月にはコスタリカの銀行2行との間で、連携を強化していくための業務協力協定や覚書を締結しております。

特徴的な取り組み

次に、当行の最近の特徴的な取り組みについて紹介したいと思います。資料Aの9ページをご覧ください。
資源国での日本企業のビジネス拡大の支援としまして、石炭や銅等豊富な天然資源に恵まれ、鉱物資源開発に伴う周辺インフラのための建設機械等の需要増大が見込まれるモンゴルの経済開発省との間で、機械設備等を日本から輸出するために必要な資金を対象として、融資総額80億円相当を限度とする輸出クレジットラインを6月に設定しました。
また、現地通貨建て支援としまして、本年3月、ジェイテクトのインドネシア法人が実施する自動車及び二輪車用部品の製造・販売事業の追加拡張に必要な追加設備の導入資金を現地通貨建てにより支援しました。これは、当行にとりまして、インドネシア・ルピア建て支援の第1号案件となります。
更に、本年4月に、安倍総理がロシアを訪問いたしましたが、実はこれには私も同行いたしました。その期間中に、ロシア連邦政府100%出資の政府系金融機関であるロシア開発対外経済銀行及びその100%出資子会社であるロシア直接投資基金との間で、「日露投資プラットフォーム」の設立に関する覚書を締結した他、ロシア開発対外経済銀行との間では、輸出バンクローンの設定に向けた協議等の業務協力を骨子とする覚書も締結しています。
加えて、6月に横浜で開催されたTICAD Vにおいて「JBICアフリカ貿易投資促進ファシリティ (FAITH)」を設立しました。当行は、FAITHを通じ、国際機関等とも協力しつつ、事業への出資や現地通貨建融資を含め、出融資・保証を積極的に実施していきます。
次に、資料Aの10ページをご覧ください。
つい先週、ブラジル石油公社(ペトロブラス)に対する輸出クレジットライン及びローカル・バイヤーズ・クレジットラインの設定をいたしましたが、これは、ブラジルに対する日本企業の輸出や海外拠点取引を支援することを狙いとしたものです。このクレジットラインは、ペトロブラスが日本企業及び日系現地法人から機器及び役務を購入するために必要な資金に係る与信枠を同社に対して設定したものです。ローカル・バイヤーズ・クレジットラインについては、海外進出した日本企業による第三国への輸出や進出先国内での取引支援を目的として本年2月に運用を開始したものですが、本件は、ローカル・バイヤーズ・クレジットを活用した初の案件となります。
最後に、本年5月に、イオンフィナンシャルサービスのタイ現地法人が、タイにおいて実施した証券化を支援いたしました。当行は、証券化商品を一部取得すると共に保証も提供いたしましたが、日系企業の資金調達手段の多様化のニーズに応えると共に、民間投資家に対して新たな投資機会を提供し、債券市場の育成を支援したものです。なお、本件は、JBICにとって初のクレジットカード債権の証券化案件です。

今後の取り組み

最後に、「今後の取り組み」についてお話します。資料Aの11ページをご覧ください。
当行は、平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」も踏まえて、資料Aの11ページに記載しました4点について、積極的に対応して参ります。
まず、「日本企業による海外M&Aや海外展開への支援」についてですが、本年3月末に期限を迎えた「円高対応緊急ファシリティ」は、本年度から、対象分野を拡充の上、「海外展開支援融資ファシリティ」として改編しました。本年2月26日から運用を開始した「海外展開支援出資ファシリティ」とあわせて、日本企業の海外展開を支援する「車の両輪」として、海外M&Aやインフラ、資源案件等への長期資金供給を通じて日本企業の海外展開をこれからも積極的に支援していきます。

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次に、(2)の「「インフラシステム輸出戦略」を踏まえた支援」についてですが、日本企業による海外インフラ・プロジェクトへの参画を案件形成段階からの関与により積極的に支援していくことはもちろんのこと、輸出金融における3割ルールの柔軟化や、投資金融におけるローカル・バイヤーズ・クレジットの導入による支援の強化も行って参ります。ローカル・バイヤーズ・クレジットにつきましては、先ほど、10ページでご紹介させて頂きましたとおり、ペトロブラスに対して、第1号案件となるローカル・バイヤーズ・クレジットによる支援を行いました。
また、(3)の「現地通貨建ファイナンスによる支援」につきましては、事業の収入がプロジェクト所在国の通貨建てとなる事業においてニーズが大きいと認識しており、当行ではこれまでもタイ・バーツ、インドネシア・ルピア、マレーシア・リンギット、南アフリカ・ランド等による融資ニーズに対応してきました。今月も住友電気工業㈱によるインドネシアでの自動車等焼結部品の製造・販売事業に対して、インドネシア・ルピア建ての融資を実施しております。今後も、産業界からの要請やインフラ海外展開に係る政府施策等も踏まえながら、現地通貨建てファイナンスのニーズに対応していきたいと考えています。
(4)の「LNG調達コスト低減への貢献」につきましては、安定的・安価な資源確保に関する日本政府の方針も踏まえ、とりわけ北米のシェールガス開発やLNGプロジェクト等、燃料調達コストの低減に資するプロジェクトについて、引き続き積極的な支援を検討していきたいと考えています。