定例記者会見(2014年7月11日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2014年7月11日 14:00~15:00
  • 場所)国際協力銀行 9階講堂
  • 説明者)総裁 渡辺 博史

資料に沿って、JBICの昨年度の概況及び今後の見通しについても少しご説明させて頂きます。

平成25年度業務実績 資料①:P.2

JBICは通常の会社と同様に3月期決算でありますが、実は政府との間での資金の払い込みが6月にある関係で、この時期に記者会見をさせて頂いております。
平成25年度の出融資・保証承諾実績は、239件、2兆2,061億円です。件数でみるとほぼ横ばいでして、金額としては少し小さくなっております。或いは、前年度の方が、逆に言いますと、史上最高の規模だった訳ですから、それに対しては下がってはおりますが、平成23年度と比べてみればそれなりに大きい所でございます。所謂リーマンショックが起こる前の今世紀の平常時である2001年~2007年は大体1兆2~3千億円で推移していたことに鑑みれば、引き続き高いレベルで動いている現状でございます。
内訳は、輸出金融、輸入金融、投資金融、事業開発等金融、出資とありまして、構成としましては、前年と比べてそれ程大きく動いている訳ではございません。従いまして、私共としましては、昨年と同様順調に仕事が出来たと考えております。

平成25年度決算概要 資料①:P.3

そのような業務の状況を踏まえまして、決算概況が次の3ページになります。業務粗利益で892億円、そして当期純利益で913億円と言う状況でございます。これは史上最高益という事になっております。全体として前年度も含めて事業規模が膨らんできておりますので、それが反映されたものになっております。残高で見ますと、総資産としましては、約16兆3千億円、貸出金残高が約12兆6千億円、そして保証残高が約2兆4千億円という状況でございます。前期に比べまして、特に貸出金残高が大きく伸びた形になっております。為替の影響も勿論ございますが、一番為替が大きく動いたのは前期になりますので、今年の場合は為替と言うよりも事業が伸びたということであります。
特に、承諾したものが実際に貸し出されるまではタイムラグがあるものですから、昨年度過去最高の承諾規模であったものが今期に貸し出され、それが残高となって行くという時差がございます。
913億円の当期純利益の半分につきましては、法律の定めに基づき政府に納付しております。私共は、法人税は払いませんが、実際には「実効税率50%」で納付しており、大半が財投会計、一部が一般会計に納付されております。
以上、数字の部分についてのご説明をして参りましたが、加えまして、最近どういった分野で仕事をしているか、或いは今後どういった分野に対応して行くかについてご説明して参りたいと思いますので、4ページ以降をご覧ください。

最近の取り組み

エネルギー・鉱物資源確保への取り組み 資料①:P.4

JBICの4つのミッションは国際協力銀行法に明記されておりますが、その中でも伝統的な業務として、資源・エネルギーの安定的な供給を支える、そして日本企業の国際競争力の維持・向上のための対応という2つがあります。二点目の業務においては、1950年代~70年代は日本国内で製造した製品を海外へ輸出するための支援として輸出金融がメインでありましたが、前世紀の後半から今世紀にかけて、日本企業自体が海外に進出して現地で製品を製造することが多くなり、現地製造拠点の建設に必要なファイナンスを投資金融で支援しております。第三のミッションは、2008年10月1日に施行された法律で追加された国際金融秩序の安定化を図るというものです。まさにその2週間前にリーマンショックが起こり、その混乱への対応が必要な中授けられた業務と言えます。第四のミッションは、2010年4月1日に追加された一番新しいもので、地球環境保全等への取り組みとなります。
以上の4つのミッションのうち、まず一点目として4ページ(1)①に記載しておりますエネルギー・鉱物資源確保への取り組みをご紹介いたします。従来はどちらかというと、長期契約に基づいて鉄鉱石・石油・石炭或いはガス等を日本企業が引き取る事を支援するのがメインでしたが、最近の動向としては、長期の引取というよりも炭田・ガス田等の産出権利自体を取得することを支援するということを行っております。鉄鉱山・炭田・ガス田・油田等の権益取得を日本の企業が行うための支援をして行こうということでございます。例示としては、原子力発電の代替エネルギー源となるLNG確保のための権益取得支援として、オーストラリアのゴーゴンLNGプロジェクト・カーティスLNGプロジェクトなど、上流ガス田開発の支援を行っております。また、シーレーンをどのように確保するかも重要な訳ですが、日本の場合は海がありパイプラインを敷設出来ないものですから、その資源を日本に運ぶための輸送手段となるLNG船が重要になりますので、その調達資金についても支援しております。従来は、陸にある資源や陸に近い所の資源の採掘を行ってきたところ、段々そういった所は採掘が進み、陸から離れた所も採掘対象にしなければならなくなって来ておりますので、FPSOの傭船事業にも日本企業が徐々に参画してきておりますので、その支援も行っております。また、石油のみならず、長期的な視野で見れば液体の炭化水素への需要も見込まれるため、オイル・サンド、シェールオイルなどの開発事業への支援も行っております。
(1)②では、エネルギー以外の資源について紹介しております。鉱物資源開発への支援として、ボリビアで亜鉛・鉛・銀鉱山の権益取得支援を始めとして、鉱石・硫酸兼用船運航事業支援、或いはチリの銅鉱山の権益取得など、地域を問わず権益取得に励まれている日本企業への支援を行っております。

海外インフラ事業等への取り組み 資料①:P.5

日本企業の国際競争力の維持・向上というミッションとして、海外インフラ事業等への取り組みを支援しております。例えば水事業で言いますと、ポンプ及び海水淡水化の浸透膜などにおいては、日本製品の市場シェアは高いわけですが、これらを束ねて一貫した水事業として取り扱うのは、欧州や新興アジア系の企業が優越しておりました。この動きになるべくキャッチアップしていこうという日本企業の意向、また日本政府のインフラシステムとして全体を総合的にマネージしていく必要があるという意向を受けて、JBICとしても支援しております。2013年にはオマーンでの淡水化事業、タイでのガス炊き複合火力発電事業等、現地で日本企業が、基本的には日本の機器を使いながら生産したものを販売していくという事でございまして、この点については前政権・現政権共に重点を置いておりますので、私共としましても支援して参ります。私共の融資の対象としましては、比較的発電が多いのですけれども、発電以外でも、運輸・通信分野、それから水分野等についての支援を行っております。ここで例示として扱っておりますのは、トルコの港湾プロジェクト向けコンテナクレーンの輸出、エクアドルの地上デジタル放送網整備プロジェクトに必要な放送関連機器輸出支援等となっております。
②ではインフラ分野等における日本企業の事業参画機会創出等に向けた取り組み支援を紹介しております。インフラ分野では、パーツとなる製品を売るというよりもまとめて事業を行うということが多いわけですが、それ以前にインフラは地元の生活産業に結び付いておりますから、どういう都市構成をしておりどういう産業配置をするかということに大きく関わってきます。従来は、アングロサクソン系の企業がデザインを描き、色々な企業が入って行くという構図でしたから、日本企業が優れた調整能力を持っていたためにそれでも上手く行っていたのではないかと思います。ただ、長期的に見れば、グランドデザインや地域開発のためのモデル自体も日本が作る、或いは関与して作ることで、後工程において日本企業が効率的に仕事ができるということがあり、ロシアではロシア開発対外経済銀行及び極東バイカル地域開発基金と、スペインではスペイン開発金融公庫との間で、それぞれインフラプロジェクトの実現に向けた業務協力に係る覚書を締結しております。もっと典型的に行っている例として、デリー・ムンバイ間の産業回路DMIC(デリー・ムンバイ産業大動脈構想)の沿線6州にまたがる地域開発計画を作る公社に出資参画をし、制度設計に携わっているということも行っておりますが、こちらは昨年度の話ではございませんのでご紹介に止めさせて頂きます。

中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み 資料①:P.6~P.7

2012年にJBICが独立する際にも、国会の中で、大企業について海外展開するだけでなく、これからは独自に海外展開する中堅・中小企業が増えるだろうから、政策金融を何か役立てることは出来ないかという議論になった経緯がございます。以前は、資本金3億円以下の企業が政策金融の中の日本政策金融公庫の国民生活部門等が対象としており、開発銀行ですとか私共の前身でございます旧輸出入銀行は比較的大きな企業を対象としておりましたので、その間の規模の企業様にとっては利用できる政策金融が必ずしもありませんでした。ただ、リーマンショックの前までは、日本の金融機関も比較的資金が潤沢でしたので、金融に困るということは余りありませんでした。リーマンショック以降、中堅・中小企業の外貨アクセスに課題が生じておりましたので、そこに対応すべきではないかと言う議論が起きまして、政策金融改革の中では、政策金融の役割は最小限に留めるべきだという議論になっておりましたので、政府の中では既存の政策金融の内、制約のない機関が担うべきであろうという議論になったことを受けて業務を行う事となったわけであります。従いまして、2009年~2010年の間にも私共が民間銀行に資金を提供し、民間銀行から中堅・中小企業に転貸する方式で数百社に資金が提供された訳でございます。それに加えて、2012年の独立の議論の中では、民間銀行を経由したツーステップローンではなくて、JBICが直接中堅・中小企業にファイナンスするということもやるべきであるというご示唆があり、それを受けて現在業務を行っておりますので、ここにご紹介させて頂きます。平成25年度の中堅・中小企業向けの出融資承諾実績は、54件、180億円となっております。中堅・中小企業への直接与信の54件のみならず、ツーステップローンや海外の買い手へのバイヤーズクレジットも可能な限り換算致しますと、414社の中堅・中小企業への貢献をしております。
それと同時に、情報提供についての要望も従前からございまして、資金調達に係るノウハウは私共の方が持っているという事で、JETROとも協働しつつ情報提供して行こうということになっております。その中の具体的な案件としては、現地で事業を行う上で、現地の通貨へのニーズが生じますので、現地通貨を調達する方法としては、海外から調達した資金を現地でスワップする、元々現地の銀行から借りる方法とございますので、そうした支援を両面からやって行こうと考えております。
平成25年度は、ベトナムの銀行と提携を結び、現地でのファイナンスを支援しております。現在、中堅・中小企業が進出していく見込みのあるアジアの地域金融機関7行と情報提供及び資金提供に係る協力関係を結んでおります。同時に、7ページの②にございますとおり、日本国内においても、JBICから地銀にクレジットラインを設定し、それぞれの地銀の顧客である中堅・中小企業へ融資をするという形での支援も行っております。90年代~2000年代の中堅・中小企業の海外展開と言うのは、先程申し上げました通り大手について行くというケースが多かったのですが、この2~3年の動きとしては、日本国内の市場の縮小及び、東南アジアの所得水準の上昇等に伴うマーケットの発掘などといった必要性に応じて、中堅・中小企業が自ら途上国に進出する動きが見られており、今後も引き続き、この分野での支援は重点的に行っていきたいと思っております。

地球環境保全等への取り組み 資料①:P.8

次に第四のミッションであります地球環境保全等への取り組みについて、資料の8ページをご覧ください。
①にありますとおり、GREENとして、政府系の金融機関・民間金融機関に環境関連のプロジェクトに限定をして融資を行っております。海外から機器を買うための外貨へのニーズがあるという事と、規模がそれ程大きくない現地のプロジェクトを私共が1件ずつ審査することが難しいものですから、金融機関にクレジットラインを設定して、環境関連に限定して資金を活用して頂くことをいくつかやっております。
②にあるとおり、日本から環境機器を売るためのファイナンスを、現地の国際機関・地域金融機関を介して行う支援の例として、中米経済統合銀行・コスタリカ銀行に対してクレジットラインを設定致しました。
また、その他の取り組み事例としては、実は再生可能エネルギーを扱う国際機関の本拠はアブダビに誘致されておりまして、その一環として現地のマスダールと言う機関もかなり大規模なオペレーションを行っております。従って、マスダールは、アブダビだけではなくて、世界の再生可能エネルギーのオペレーションに関する情報センターという事になっておりますので、そこと連携を保つことによってどの様な分野にどの様な需要があるかということで情報交換をさせて頂くという事で、③のアラブ首長国連邦アブダビ首長国のマスダール社との間での覚書締結がございます。先般、アブダビの皇太子が来日された際には、マスダールのトップの方もいらっしゃり、意見交換を致しました。私共が今年の後半に現地に参りましたら、更に詳細な議論が出来ればと考えております。

M&A支援への取り組み 資料①:P.9~10

次に、日本企業の国際競争力の維持・向上への支援としてM&A支援への取り組みがございます。資料9ページをご覧ください。国内製造から、現地での製造へシフトしているという流れの中で、従来、日本企業が現地法人を作ってネットワークを自ら作るのではなく、既にある生産拠点を如何に効率良く活用するかというところに日本企業の関心が変わってきております。そういう面で、M&Aへの需要が増えてきております。円高対応緊急ファシリティから始まったものが、新政権のもと海外展開支援融資ファシリティへと名前を変えているわけですが、単に円高・円安ということのみならず、将来を展望して為替に対する抵抗力をつけるためにも、また新興国での販路の拡大の為に、効率的に現在あるネットワークを取り込んで行こうということで、大企業及び中堅・中小企業に対してこのような支援が非常に大きな割合を占めてきております。平成25年度は63件、6,600億円弱という結果になっております。

その他の取り組み

特徴的な取り組み 資料①:P.10

最後に、「その他の取り組み」についてお話します。資料の10ページをご覧ください。
一つは、これから日本の企業が海外で展開する上で、単に敵対的にマーケットを取り合うのではなくて、現地や第三国の企業等との協調によって事業をする機会が増えていきます。その意味においては、民間企業同士の連携も非常に重要ですが、世界的に寡占企業化してきており、鉄鉱石の業界のようにトップtierの企業が圧倒的に強い場合、JBICがある程度日本国政府をバックにして、日本企業との仲介を行うことが出来ないかと言うことで、資源国での日本企業のビジネス拡大支援の一環として、ブラジルのVale社及び、米国のアラスカ州天然資源局との間で覚書を締結しております。アラスカ及びカナダは、近年のシェール革命によって、アメリカ国内の48の州がガスの買い手ではなくなっていることから、新たな買い手を探す必要が生じておりますので、アラスカ州天然資源局との覚書は、そういった動向を反映しております。
②では、日本の国内で生産されたもの、つまりメイドインジャパンの製品を輸出する際の金融支援が伝統的なJBICの業務分野でしたが、今は、日本企業が海外で生産した製品、つまりメイドバイジャパンのものを支援することも日本企業の競争力を維持するためには必要になってきたという背景を受けまして、メイドバイジャパンであっても支援が出来るようにルールを変更したというものです。更に、今後起こりうる現象として、例えば日本企業がインドで生産したものをインド国内で販売するという貿易を伴わない生産販売活動も想定されますので、そういった取引も支援出来るように制度化しております。
③では、船舶支援をまとめております。一時は船舶過剰として生産が落ちておりましたが、経済の混乱が一服した中で引き続き、ばら積み船だけではなく様々な特殊船への需要も膨らんできており、船舶輸出の支援も行っております。また、現地通貨への需要の一環として、④に現地通貨建て支援を紹介しております。少額であれば、先ほどのご紹介の通り現地金融機関からの融資がございますが、大規模な現地でのインフラ開発のための融資としては、JBICから直接、現地通貨建てで支援を行うことで、為替リスクを減らすことが出来るということがございます。今後は東南アジアのみならず、カナダ・オーストラリア・英国等での日本企業の事業展開も支援しておりますので、こういった3か国の通貨についても、JBICによる調達・融資を行うことで、事業者側に為替のミスマッチが起こらないように支援していくということを行って参ります。
最後に、⑤にGATEによる支援を紹介させて頂きます。日本の市場において新興国・途上国の政府及び公的機関がサムライ債を発行するにあたって、JBICによる保証及び一部取得の支援を行うことで、リーマンショック後の国際金融秩序の安定化を引き続き行っております。平成25年度は、チュニジア・モンゴルという二つの国の政府或いは政府関係機関が日本で発行する円建て債券について保証を供与しました。これまでの実績を見ますと、ラテンアメリカ、東南アジア、アフリカ及び湾岸といったかなり広範囲な地域の国の政府及び公的機関が、GATEの対象として、既に東京市場でサムライ債を発行しております。因みに、幸いにしてJBICが保証履行をした実績はございません。

今後の取り組み 資料①:P.11~12

11ページ目からは、今後の取り組みを紹介しております。政府において、今後日本企業の活路を見出すためにはアジアを初めとした世界の需要を取り込んでいくことが必要であるということが「「日本再興戦略」改訂2014」にて謳われており、その流れの中で、JBICが、日本の公的金融機関として新たなファイナンスを導入しつつサポートを行って行くことが引き続き要請されておりますので、それに沿って私共は業務を行って参ります。

また、最後に7月1日付けの組織改編について付言しておきます。原子力・新エネルギー部はこれまで資源・環境ファイナンス部門に属しておりましたが、最近の状況を見ておりますと、原子力・新エネルギー部での仕事は当初想定の資源としてのウラニウムを買いに行くという業務よりは、圧倒的に発電の部分に関わっており、発電事業を見ている部門で併せて業務を担当した方が効率的ではないかという視点より、部の移管を行わさせて頂きました。