定例記者会見(2015年2月24日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2015年2月24日 15:00~16:00
  • 場所)国際協力銀行 5階調印室
  • 説明者)総裁 渡辺 博史

資料に沿って、30分ほどご説明し、残り30分で質疑応答とさせていただきます。よろしくお願いします。

平成26年度業務実績 資料①:P.2

まだ3四半期しか終わっておりませんので、昨年7月の会見時のように年度全体の話にはなりませんが、とりあえず来年度分の予算要求のベースになっていた数字ということで聞いていただければと思います。
出融資保証承諾額について、平成24年度は円高対応緊急ファシリティなどの出発の年でしたので、かなり大きめの数字になっておりますが、平成26年度は平成25年度実績と大体同じような規模ということで見ていただければと思います。もちろんこれに第4四半期の数字が加わりますので、もう少し大きくなりますが、為替で若干膨らんでいる部分がありますので、実額だけで見て、というのはちょっと違うという風に見ていただければと思います。
輸出金融、輸入金融、投資金融、事業開発等金融、出資の内訳を見ると、それぞれでこぼこが多少ございます。平成24年度の場合、輸入金融は、民間だけではLNG購入に対応しきれないということで、少しお手伝いをしたため膨らんでおります。投資金融の方はM&Aなどがありましたので、多少円高から円安になったということで、少しペースが落ちかかってきているというところです。
保証も含めての全体の数字を平成22年度から並べて見たとき、それぞれのシェアがそこまで変わっていない、ということを見て頂ければと思います。

平成26年度中間決算概要 資料①:P.3

平成26年度中間決算については昨年11月に既に担当者から皆様にご説明しておりますが、平成25年度と平成26年度の中間決算を並べてみましても、大体似たような数字なっているという風に見ていただければと思います。
先ほども申し上げたとおり、貸出金の残高自体は9,229億円増となっていますが、これは計数として伸びている部分と若干為替で膨らんでいる部分と両方あるとご理解いただければと思います。
年度後半はどういう利益構造になるのか、今の段階ではっきりとはわかりませんが、大きく変動があるということはなかろう、ということでございますので、大体これを順当に伸ばしたような数字になればよいと思っております。ちなみに昨年度は史上最高利益となりましたが、今年はそういう風になるかわかりませんが、大体似たような規模感になっているかなと見ております。これは3月末で締め、7月までにもう1度ご説明したいと思います。
以上、計数の説明をしましたが、これ以降は重点項目で最近どういうことをやっているのかということを、多少の例示を交えながらご説明をしていきます。4ページ目から、エネルギー、インフラ、中堅・中小企業、地球環境保全業務、M&A、その他の取り組みの順番で進んでいく形になります。

最近の取り組み

エネルギー・鉱物資源確保への取り組み 資料①:P.4

日本が海外からエネルギーや鉱物を輸入するという需要は、様々な理由で高まっており、事業は順調に伸びています。
①の「日本企業によるエネルギー資源の権益取得や開発を支援」について、先ほど輸入金融が平成24年度に増えたと申し上げました。あのときは電力会社等がLNGを輸入するにあたって、普通はメガバンクやそれぞれの電力会社の本店所在地近傍の地域金融機関等が中心になって大体ファイナンスできているわけですが、ご承知のとおり原発が止まっていることによってLNGの輸入が増えたため、先ほど申し上げたような従来の金融機関だけでは多少足りないということが起こってくる場合に、私共としてはご要望があればそれに対して対応していこうということです。これはある意味ではスポットでの対応ということになります。他方、この4ページ目の①に書いてありますのはもう少し長期的な視野に立ってということでございます。
これから起こってくることで1番大きいのはシェールガス等の新規のエネルギー源、これについて日本企業がどのように噛んでいくのかというところかと。また一般的に一か所に集中するというよりはなるべく分散化・多様化をした方がよいと。これまでで言いますと、中東や北米等が中心でしたが、これから南米やオーストラリア、南部アフリカというところに段々対象が増えてくるところであります。そうなりますと、ツール自体も従来のように単に油田を買って採掘するというだけではなくて、いわゆる深海油田のようなものも出てきます。最初にご紹介しているブラジル沖でのFPSOというのはまさに浮いている船の上で原油の処理をするという形での新規のツールであり、こういうことをやっていこうという風に思っております。
それから米国のキャメロンLNGプロジェクト、フリーポートLNGプロジェクトというのは、先ほど申し上げたシェールガスに対応したものになりますが、元々の発端はアメリカが他の国からLNGを輸入していたときにそれを陸揚げする施設を作ってあったわけですけれども、今やアメリカは輸出国化しようということで逆にそこでLNGを作って売るという形のいわゆる業容変更みたいなことを現地でやっていますので、それに日本の企業が噛んでいくことについて我々としてサポートさせていただいているというところです。同じように従来の我々に対するエネルギー供給地域だったインドネシアでも、ここに紹介しているドンギ・スノロLNGプロジェクトへの支援を行っています。
その次にご紹介している米国での石炭火力発電所の排ガスを活用したCO2-EORについて、全体としてエネルギー効率を高めていくということは後程申し上げる環境対応のプロジェクトに関連するわけですが、単に燃やして発電するというだけではなく、なるべくより少ない消費でより大きな発電をするという方に持っていくというのが日本の企業のこれからの最大の強みになるわけです。そういう点について実際にワークし得るような形でのファイナンスをしていこうというのが①の説明です。
②のところはいわゆるエネルギー以外の鉱物については、ここに書いてあるような銅鉱山についての権益を守ったということでありますし、あるいはそれを新規に買ってきたというところであります。
このような形の①、②というのはある意味では日本の国富が外に増えるということです。最近時々議論にもなっているように貿易赤字が定着してきたわけですが、それを超えて今のところ所得収支の黒字があるので、全体としてかろうじて経常収支は黒字になっているわけです。そういう意味での将来の所得収支を生む源泉としての海外資産をどうやって積み上げるかというのが1つの課題でありますので、そういうものについての貢献にも結果的に対応できているというところであります。
それから真ん中で申し上げておりますとおり、エネルギーや鉱物というのは、これまでは長期の契約を結ぶことによって相手方が売ってくれる、それを安定的に買いましょうということである程度融資ができていたのですが、段々新興国も含め需要が伸びてくると、単にお金を払うから買えますという状況ではなくなってくる。従って今やっておりますのは、油田、ガス田、銅鉱山や石炭の炭鉱等で一定程度のシェアを持ち、その分については当然出資見合い分として日本に輸入するということ。それに加えて、現地の山を持っている企業が海外に販路を持っているわけではないので、海外で販路を探す中で、共同で出資している日本のパートナーがこの部分についても一部日本に輸入するということで出資分+αという形で日本にひいてくるということがある意味での安定的な供給に役立つ。ですから、そういう意味での支援ということもありまして、上流権益という言い方をしておりますけれども、油田、ガス田、鉄鉱山等についての出資あるいは持ち分権益についてもファイナンスをさせていただいています。

海外インフラ事業等への取り組み 資料①:P.5

次に5ページ目の「海外インフラ事業等への取り組み」について、これも数年前からパッケージ型インフラについての支援をしております。日本は元々インフラ事業に強く、その強かった当時のパターンは、インフラに必要な機器を売る、例えば発電で言えば、発電所の建物というよりは中のタービンを売ってそれを使っていただく形だったわけですが、段々受け入れ側の国の需要が変わってきておりまして、単に機器をもらうだけではなくて、その機器をオペレートして電気を起こしてもらう、あるいは水であれば水処理をしてもらう、そういう方に需要が移っていきているというところはあります。特に従来日本の企業が得意としていた東南アジアや中国等においては、人口が非常に多いため、とりあえずは機器を買って、それに技術支援ではなく技術トランスファーをすることによって現地でそういうオペレーターを育てて、ある程度の期間が経てばまさに現地の人が全部オペレートすると、そういうパターンが中心でした。しかし、段々中東とかアフリカになってきますと、元々国としての人口がそこまで多くないので、自国民をオペレーター等に育てあげるというよりは、元々日本で作ったもので日本人がオペレートしてくれる、ですから今どちらかというと発電のタービンを売るのではなくて、電気そのものを現地で供給すると、そういうことについての需要が出てきております。そういうことについて言えば、従来型のものを売るのではなくて、オペレーションあるいはマネジメント全体を売ると、こういう考え方がパッケージ型のインフラだったわけですが、それについて最近ではいくつかのオペレーションが増えています。
①はそのうち融資を行ったもの、②は出資を行ったもの、金融手法のあり方で2つに分けております。例えば①の融資の方では、最初に丸紅がやった英国洋上風力発電事業についてのファイナンスを紹介しております。それから2つ目では関西電力がやりましたラオスの水力発電所、それから3つ目は三井物産によるモロッコでの超々臨界圧石炭火力発電事業、こういうものをやってきているわけですが、これも先ほど申し上げましたとおり、地域的な多様化ということではなくて、新しいプロジェクトにファイナンスをしているということです。特に洋上風力発電事業では、これまで発電を風力でやるというのは各地であったのですが、やはり環境問題や低周波が出ることによる人体への影響などもあって、多くの国においてオンショアよりオフショアになってきています。比較的遠浅のところであれば、単に足を下に少し伸ばすだけで済むわけですが、すぐ深くなるようなところでは、それこそfloatingのようなものが出てきます。そうなりますと、それに対して安定的に制御をするといった能力も必要になってくるので、そういう意味で将来につながるようなことを始めていくわけで、そのファイナンスをしたというのが洋上風力の話であります。
それから下の方のアフリカ大陸の超々臨界圧について、特に石炭火力の場合には石炭を燃して出るときのCO2に比べまして相対的に単位当たりのエネルギーが少ないということで、非効率ではないかという言われ方をしてきたわけですが、高熱・高圧をかけることによって、発電量1単位当たりの石炭消費量を減らすことが可能になり、結果としてCO2の排出が減っていくということがあります。これはある意味でほとんどの国にある程度普遍的に存在している石炭という地下資源を使って発電をするということについて貢献するというのは大きなことであります。今でも確かにLNGを使った方がCO2の排出量が単位当たりで少ないことは事実ですが、やはりLNGを産出する国というのは残念ながら世界で二十数か国くらいに限られていますので、そこは結局買う必要のある国というのが結構出てくる。やはり国際収支への影響が出てきますので、そういうものを乗り越えるためにはそれぞれの国にある程度普遍的にある石炭資源を使って、よりクリーン且つ効率的な発電をする、そういうものがこれから世界全体に必要ではないかということです。そういうものについてのファイナンスをさせていただいたということです。
それから出資による場合はどちらかというと、融資に比べて規模が小さくなりますが、やはり立ち上がりのところの資金が乏しいような国においてはそういうものが必要になってきます。下の方の特にミャンマーについてはややそういう面がありました。それについての出資を行ったということです。ドバイの方は先ほど申し上げたような意味でお金がないという地域ではないのですが、ドバイ・アブダビというのはどちらかというと産油国でありながらエネルギーの総合利用あるいはrenewableエネルギーについての推進というのを国是としてやっているということでありますので、そういうところで立ち上がりがうまくいくということについてJBICとしても貢献ができないかということでやっているわけです。水事業もこのあたりの地域ですと、単に雨水がきれいになるというだけではなくて、海水を変えるといった意味での総合的な水の創造作業になりますので、そういうものについての支援もさせていただいております。

中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み 資料①:P.6~P.7

最近私共のプレスリリースを見ていただいた方は既にお気づきかと思いますが、かなり多くのプロジェクトが中堅・中小企業向けになっております。昨今の円高・円安という為替の振れの状況等を見ておりましても、大企業の場合は既にもうこの世紀に入ってからかなり多様化というのを進めている。多様化というのは生産自体の拠点を各地に分けているのと、もう1つは売り先をドルを使っている地域とユーロを使っている地域に分散させるということをやってきたわけであります。ですから、そういう意味で言えば為替等が動いても相互にオフセットできるという形で対応できたわけであります。中堅・中小企業の場合には今申し上げた生産や販路の多様化に必ずしもうまく対応してきているわけではないのでありますけれども、段々これからこういう企業等の海外展開というものを日本全体としての産業、あるいは日本全体としての雇用をどういう風に維持するかという点からは必要な場面が出てくるということで、私共としても国会からそういうご要望も得ているということもありまして、今傾注してやっているということであります。
最近の中堅・中小企業の展開を見ておりますと、この数か月の間にいくつかの地域に行って地元の企業の方とお話してきたのですが、大きく言って2つのパターンがありまして、1つは自動車のように真ん中の組み立てのいわゆる大メーカーが外に行く、従ってそれに対して部品等を提供する企業が一緒に出ていくということがあります。もちろんその親としての真ん中の企業に引っ張られていくだけではなくて、現地に行くことによって、そこにある程度産業集積で他の国からも組み立ての会社が出てきておりますから、そういうところにも合わせて売れるということで、販路の拡大みたいなことも狙って行かれているということです。
もう1つのパターンはどちらかというとBtoCで個人消費者に対して直接ものを提供するような会社が、これから中堅・中小企業でも外へ出ていこうということが見られるわけです。日本の人口がこれからどういう風になるかわかりませんけれども、自然体でいくと8000万人まで現在より3分の1程度小さくなるわけですけれども、その中で、海外展開が必要になっている。その海外展開をするにあたっては、現地で直接その地域の手法を取り入れて製品開発をする、あるいは現地のニーズを製品に反映するということから、やはり市場に近いところの生産が必要ではないかということで、そういう形での展開を皆さんやられているわけであります。
従ってこういう考え方から言いますと、円高だからやって、円安になったから楽して日本に戻ってくるということではなくて、長い目で見てのマーケットを確保するということから言えば、為替関係なしに外に出ていくということが結構増えてきております。ですから、私共の方もその企業展開のための融資をしておりますが、M&A自体はやはりまとめて買うということになり金額が大きくなりますので、それは80円で換算したときと、115円で換算したときとで相当違うわけです。しかし、今申し上げたような2つの理由で海外に展開する場合は、為替というよりは将来の自分達の営業基盤あるいは販路をどうやって確保するかという観点からおやりになっているので、あまり為替の上下というか増減に左右されないで、海外展開を今なお志向されている会社が増えてきているというのが私たちの印象です。
その中でいくつか申し上げますと、中堅・中小企業案件の出融資承諾実績を見ていただきますと、平成23年度から徐々に、倍々ゲームとまでは言いませんが、かなり増えてきておりまして、今年度もあと1四半期残っておりますのでもう少し上乗せできるかなと考えているところです。では、そのときにどういう金融機関と一緒にファイナンスをしているかということも合わせて見ていただこうということで下に書いているのですが、日本の地域金融機関との連携ということで、その中で地銀や信金との協調融資が増えてきております。例えば平成26年度の3つの四半期連結で言いますと、中堅・中小企業案件全体が82件、そのうち地銀と信金協融案件は合わせて33件、残りはメガバンクと協融しているわけでありますが、こういう形での中堅・中小の企業に対して地域金融機関と一緒に、ご協力いただきながら融資しているという構図になっています。
やはり国内の金融自体が若干過剰なようなところもあるし、なかなか借り手がないということでありますが、海外展開をしていくにあたってはそれなりの需要がまだあるということです。円建ての資産についてはそれぞれの銀行が潤沢な預金を持っているわけですが、それを海外にどうやって持っていくか、あるいは外貨転換するときにどういう形でのご支援ができるかということについて私共がある程度の情報提供をさせていただいております。
具体的には7ページのとおり、いくつかの銀行と業務協力協定というのを直近3年間で結んだ例を挙げています。これは日本の国内でやっているわけですが、それと同時に海外の金融機関との連携も進めていまして、その海外の金融機関から、例えば現地での通貨を供給していただくということがこれから必要になってくると思います。先ほどのインフラの場合も、インフラで水とか電気とか売る場合には現地での収入はどうしているのかというと、現地通貨になるわけですから、作るときに借りたお金が円なりドルなりユーロということになりますと、必ずそこに為替のリスクがプラスマイナスどちらになるかわかりませんが出てくるわけです。最初から収入の大半が現地通貨であるというところについては、我々も現地通貨を提供すると。それからBtoCで個人向けの消費物資をやっている方においても、やはり売値は基本的には現地通貨になるので、やはりこういう企業に対するファイナンスでも現地通貨の要望が結構あがってくるということから言いますと、それぞれの国の金融機関との間で協力関係を結べたらある程度効率的にできるかなということで、7ページの真ん中にありますとおり、とりあえず今5つの国のいくつかの銀行と私どもが覚書を締結して、そこと日本の金融機関との間での連絡役、橋渡しみたいなこともさせていただいているということでございます。
それから後は、やはり新しく別の国でというときに、現地の会計制度、法制度、税制、破綻制度ということについての情報というのが、非常に近場のASEANのオールド5みたいなところはある程度集積されていますが、それでも大企業の場合は自ら情報収集することは可能ですが、やはり中堅・中小企業になりますと、それだけのコストをかけるということはそう簡単ではない。非常に重点をおいた1つの国については例えば全部自前で情報収集するけれども、その周辺国で例えば4つだ5つだというのはコストパフォーマンスの問題がありますので、そういうものをどうしようかと皆さん悩まれているということがありました。それについては私共の方から、私どもが事務所を持っているところについては直接情報収集しておりますのでその情報を提供する、あるいは私どもの方で事務所がないところについてはJETROと協調して情報の提供をさせていただくということを今やっているところであります。
それから国内でも、単に現地での制度の問題だけではなく、例えば税制や会計の問題については国内の税金の処理や会計処理に跳ね返るところがありますので、私共の方で会計事務所あるいは日弁連などと連携をすることによって、比較的手軽に中堅・中小の方がそういう情報に接することができるような形での取組をやっていくということであります。

地球環境保全等への取り組み 資料①:P.8

昨年はCOP20があり、1つのメルクマールになった年であります。これについては既に日本政府としては様々な形での環境改善のプロジェクトに対しての支援ということをいくつか案として提案しているわけですが、JBICにおきましても、その第4の業務ということで、地球環境保全に対するファイナンスをつけているわけであります。そういうものについて今引き続き作業しているところであります。
例えば最初のGREENというところでメキシコの話がありますけど、これはカンクンでCOPがありましたときに当時のメキシコ政府から、「我々にとってはCOPの場所を提供するのも重要だが、やはり自分の国でそういうものを進めていくという姿を示さなければならないので、それをやりたいのだが、ファイナンスが全体としてまだまだうまくまとまらない。」という話がありましたので、カンクンでの会合をある程度にらみながら、こういう形でのファイナンスをうまく進めていくということをやっておりまして、それで2014年にメキシコ外国貿易銀行との間でクレジットライン締結をさせていただきました。これは主として、renewableとエネルギー効率化のプロジェクトを対象としたものであります。
それ以外のところでも再生可能エネルギーについては、特に水力発電所の事業や太陽光の発電事業について、いくつかの途上国において今進めているということであります。日本国内で言いますと、もう水力資源は大体使い切られているので難しいのですが、まだいくつかの途上国においてはそういう重要なところもありますし、あるいはラオスのように「インドシナ半島の乾電池」という別名もあるくらい水力資源がある国もある。ただ、これもあくまでも発電につながらないといけないので、どのようにやっていくのかということについて、世界銀行、アジア開発銀行、私共も含めて色々な形で苦心してきています。ラオスにおいてはこのような良いケースが1つ動いているということだと思います。インドネシアと、ここにあるインドともそういうような方向感をつけていくことができればと取り組んでいるところです。
その他の取り組みのCO2-EORプロジェクトは先ほども申し上げましたが、石炭火力自体でどうやって効率的に発電するかということと同時に、そこで出てきた熱ガス、排ガスを一緒に使うことによって、地域暖房、それ以外のところの熱供給ということも合わせて、全体としての効率化を進めていくということがあります。よくエネルギー問題をやるときにはどうやって効率的に供給を増やすのかという方にどうしても頭が回ってしまいますが、全体としてバランスをとるためには消費を減らすということも合わせてやらなければならない。そういう面についても日本の企業がかなり目配りをされていますので、JBICとしては実際に動き始めるようなプロジェクトがあれば支援をしていきたいということで今回このようなご協力をしたということであります。

M&A支援への取り組み 資料①:P.9

M&A支援について、これも従来の日本の企業の場合にはまず日本から人を送って支店なり出張所を作って、生産や販売を始め、徐々にネットワークを作っていくというのが一般的であったわけですが、やはり最近時間の流れが非常に速くなっていることもあり、そういう形で時間をかけてネットワークを作っていくというやり方ではやや立ち後れが見られるという傾向があります。そういう場合には既に存在しているネットワークをいかに自分のところに取り込んでいくのかということが必要になってくるため、今M&Aが進められているわけであります。
さすがにM&Aということは、先ほども申し上げましたとおり、まとめてお金が出ていきますので、やはり為替によって多少影響は出る部分がありますけれども、先のことを考えるとそれでもやはり続けていくべきだということで、今なおM&Aについての需要があるわけです。
従来ですと出資に対するバックファイナンスをするというパターンでしたが、段々そういうことだけではなくて、より様々な形でJBICが関与することによってM&Aの推進をしていこうということです。そういう意味で言うと、例えばハイブリッドファイナンスということで、従来の単なる融資ではなくて、優先、劣後の関係が付いた形での融資、それによって融資を受けた企業の財務格付が大きく変動しないということによって、安定的に資金調達をしながら業容拡大を図れるということについて貢献ができます。1つの例としてはサントリーが昨年アメリカのビームを買収した際にそういう形のファイナンスをさせて頂いたということであります。
それ以外もいくつかの案の提示を受けておりますが、我々としては法律の趣旨等に則っている限りにおいて、様々な形のファイナンスでお手伝いをしたいと思っております。それは先ほども申し上げましたとおり、大企業に限らず、中小企業等においてもそれが行われてきているというのが最近の傾向です。

その他の取り組み 資料①:P.10

現地通貨建て支援

先ほども申し上げたとおり、インフラの場合やBtoCの企業の場合にはどうしても収入が現地通貨建てになるということから、為替リスクをなるべく最小化するためには、現地通貨建てのファイナンスが必要になります。申し上げましたとおり、現地の金融機関を通じてのファイナンスというのもありますが、なかなかそういう提携先がない国もありますので、そういうものについて私共がある程度為替についての対応をするということで、円とかドルとかユーロではなくて、それぞれの国の通貨をお貸しするということをやっております。私共は個別にスワップを組むというのが基本ですが、段々量がまとまってきて、金額・件数共に膨らんでくると、私どもが債券を現地通貨建てで発行して、その発行代り金を使うということによって、JBIC自身も為替リスクをとらなくても対応できるというものも徐々に増えてきております。これまでにハード・カレンシー以外に11の通貨について実績がございます。

船舶関連支援

船舶の関連で、これは従来から我々の典型的な融資対象の1つですが、段々船の形に対する需要が大きく動いてきておりまして、ご承知のとおり、タンカー型のものとばら積み型とコンテナ船とあったわけですが、そういうものが個別専門的になってきまして、自動車運搬船というのもあるのですが、最近で最も先端を行っているのはLNG対応の船でして、LNGを冷やしたままどうやって持ってくるかというのを考えなければいけないので、かなり変わった船型のものが出てきている。こういったものについてのファイナンスが各国で必要になってきているので、従来のコンテナ船やばら積み船では価格まで含めて言えば日本企業の競争力は中国や韓国に追いつかれているという状況があったのですが、今申し上げたようなLNG船やFloatingで油を開発するような船についてはまだ日本の企業に強みがあるので、なるべく推進していこうということで今ファイナンスをやっております。

プラント輸出支援

プラント輸出についてはある程度古典的な事業展開の支援でありますが、新たな地域ということではトルクメニスタン、中央アジアなど、ある程度地域展開が広がってきています。日本企業自体もこれから新天地をある程度狙いながら、これまでの東南アジア、南アジア、中南米から中央アジア、アフリカという風に展開をされていくと思います。そういうところである程度ベストプラクティスと言いますか、ある程度実績を残さないと次に出ていくときのモチベーションがなくなってしまうので、そういうものはなるべく実現できるように今やっているところであります。

貸付債権等の流動化への取り組み

融資業務と直接の関係があるわけではありませんが、非常に大きな金額の融資をしたときに私共がずっと貸し手であり続けるということが、市況等の変化によっては私共の財務基盤を損なう可能性もあるということで、私共がもち続ける部分と、民間の投資家が出てくればお渡しすることによって、うちとしての債権を縮小させることが必要になってきています。逆に民間の方もこれだけ金利が低くなってくると、通常の融資や債券取得では必要なリターンがなかなか出てきません。そのため、インフラのようなものについての私共の債権を流動化することによってRate of Returnをあげていこうというものです。ただ、投資家にとってインフラについてはプロジェクトが実際に動いてみないとわからないという不安感があります。立ち上がりのところがグリーンフィールドと言われていて、実際に動き始めているところがブラウンフィールドという風に言われますが、やはりグリーンフィールドのところはある程度Due Diligenceなり目利きができる機関でなければできないということで、ここにどっとファイナンスをするファンドや長期の資金や年金基金はそう多くない。ある程度立ち上がりのところは金融機関等が目利き力を利用してファイナンスをするのですが、実際に完工してそのあと何年かオペレーションをしてこれくらいの収支がうまく回っているというブラウンフィールドになったところで、回していくということが、実は長期資金を有効活用するために必要になっており、それは世界全体の長期資金に対しての問題でもあります。グリーンフィールドだと株よりもリスクが高いという考え方もありますので、それであれば私共がグリーンフィールドの部分を持って、それをブラウンフィールド化したところでご所望があれば、そこを譲り渡すということによって民間の投資利回りや効率があがるということと、私共にとってもエクスポージャーが減るということを両方見ながらやっていくということです。それもそういうことをやるときには様々な知恵がいりますので、そういうことも勉強しながらやるわけであります。その第1号の案件は、ここにある豪州ロイヒル鉄鉱山及び関連インフラ開発・操業事業向けプロジェクトについての私共の債権の一部売却により、流動化を行いました。

GATEによる支援

GATEというのはサムライ債に対する保証及び一部取得によって、東京市場に今まで必ずしも馴染みがなかった発行体による日本での起債をお手伝いするということでやっています。世界各国の政府債、政府そのものではないが公的機関の発行する債券について私共が保証をする。ただいつまでも保証を続けるということではなくて、やはり本来の民間の債券市場というのは自力で発行すること、そのためにはちゃんと格付が必要なわけですが、最初のところでどうしても馴染みのない発行体の場合には本来の実力よりも格付が下がる可能性があります。下がるということは発行利回りが高くなる。そこはある程度補完できて、私共がバックアップすることによって本来の実力にふさわしい格付が得られるということは発行体にとってもよいことでありますし、東京市場の資金提供者である投資家にとっても、様々な発行体が出ることによってポートフォリオの分散を図れるということでやっています。従って本来償還能力がないような国や機関の債券を保証しているわけではないですし、いつまでも私共がバックアップしているのも変なので、通常は何回か債券の保証をして、最初からフル保証ではなく一部穴あきの保証にしていますが、徐々にその穴あきの部分を大きくすることによって、投資家の方で目利きをしていただくということになります。またそれをちゃんと踏まえたうえで値付けをするという発行体の方の勉強もしていただく。最終的には私共の保証がなくてもできるという将来の展望があるような発行体について私共で対応しようということでこのGATEという仕組みをやっているわけです。最近の例でいきますと、トルコ政府とチュニジアの中央銀行、中央銀行ですとほとんど政府のようなものですが、インドの場合は政府そのものでなくてインド輸出入銀行という、我々と割と同種の仕事をしている機関、こういうところが発行する債券についてもこの9か月の間に保証をさせていただいたわけです。先ほど申し上げたような最初は我々がお手伝いをして徐々に市場における認知度があがってきて、最後独立して自力で発行できるようになったという典型的な例はメキシコです。その後をトルコとインドネシアが追いかけているというような形で、複数回の発行のお手伝いをさせていただきましたが、徐々に皆さん自由に独立して動けるような状態になってきた、これはやはり資金調達の世界では良いことですし、結果として東京市場にとってもよいことだということで、作業を続けております。