定例記者会見(2016年2月18日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2016年2月18日 10:00~11:00
  • 場所)国際協力銀行 3階AB会議室
  • 説明者)総裁 渡辺 博史

総裁からの説明

本日の趣旨は、あと2ヶ月弱で年度が終わりますが、4分の3が終わったところで年度を振り返るということ。あともう1つは、ただ今予算審議を国会で行っていただいておりますけれども、その関係で来年度について何を考えているか。今年はご高承のとおり、私共の法律の改正を併せてお願いしているところで、先週法案自体も提出されております。そのあたりを踏まえて、平成27年度の現状分析と平成28年度のいくつかのポイントをご説明するものです。

平成27年度業務実績(第1~3四半期) 資料①:P.2

第3四半期までの出融資保証承諾実績は185件・1兆490億円という状況です。平成26年度の数字よりは下回るかと思っております。平成25年度実績との関係は、案件1つずつの大きさにばらつきがあるので、単に平成27年度の第3四半期までの実績を3分の4倍したら平成25年度と同じ数字になるわけではありませんので、似たようなことになるか、あるいは若干下回るか、と考えているところです。
それから、出融資の中身を輸出金融、輸入金融、投資金融、事業開発等金融、出資と分けてありますが、平成26年度から輸入金融が0、今年度も今のところ0となっています。輸出入銀行だった時代から言いますと、エネルギーとミネラルを日本に輸入するというのが1つの輸入業務、それに対して日本で作ったものを如何に海外で売っていくかというのが輸出業務でしたが、状況は大きく変わっています。例えば、今言いましたように、昨年度の輸入金融は0ですが、輸出金融もウェイトがどんどん下がっていまして、投資金融のウェイトが高くなっています。後程申し上げますが、日本にエネルギーとミネラルをひいてくるという仕事をうちがやっていないわけではなくて、どちらかというと、油田や鉱山の権利自体を企業が取りにいく、そこをファイナンスするという形で、投資金融のところにかなり輸入の話が入ってきている。
一方で、輸出の方も今や国内で作ったものを外に売りに行くということ自体は段々なくなってきています。最近の例で言いますと、made by Japanであるということについては、私共も1つの国の機関としての役割があるわけですが、どこで作っているかということについては、力点の置き方が前とは変わってきている。このあたりは経産省あたりとも相談しながら、産業の空洞化、雇用が日本から逃げていくという話もありますので、なるべく日本の中で作っていただいているところには多少の配慮はしております。一方でコストを全体として下げて、トータルとして売っていくときに、すべて日本の国内で、ということにはやはり無理がありますので、その日本の中で作ったもののウェイトを何割か下げていくと同時に、日本の企業が日本の外で作ったものについてもファイナンスをしていく、あるいはその日本の外で作るための工場の展開についてのファイナンスをするという状況になっております。そのため、輸出・輸入金融のウェイトがどんどん落ちてくるのに対して、投資金融のところで幅広く扱っているという状態ですので、この5分類で言いますと、なかなか中身が見えてこないので、そこについてご説明をした次第です。
1番下のところはもうちょっと遡っていますが、トレンドとしては大きく変わっているわけではないです。

平成27年度中間決算概要 資料①:P.3

中間純利益は去年と比べて2割前後伸びています。トータルで貸付残高が伸びていることに伴い、受取収入が増えているのがその主たる要因です。最終的に28年3月で締めたところでどのような数字になるかは必ずしも予測ができないところもありますし、マーケットもちょっと荒れておりますので、少し様子を見たいと考えております。下の箱でまとめているとおり、業務純益は108億円増加しており、経常利益自体も125億円増加していることから、中間純利益は126億円の増加となりました。
昨年度は1,200億円を超える利益が出ました。今年はそれを上回るかわかりませんが、そんなに大きく下回ることはないだろうと見ております。ただ、色々な国際情勢の変化の中で、いくつかの国が難しい状況に陥ってしまった場合、その陥り方によっては3月までに私共の決算に跳ね返る可能性もあります。通常は数か月様子を見てということになりますので、何か起こっても平成28年度の話であると思いますが、これだけは何が起こるかわからないので、様子を見ながらやっていければと思っているところです。
それから若干の注釈でありますけれども、貸出金残高について、円貨貸出の減少とか外貨貸出の増加と書いてあるわけですが、これは実際に貸出が増えている部分と、為替が効く部分があります。私共の場合はかなりのウェイトをドルなりユーロなり外貨で貸しているわけですが、それを国の機関の決算として締める場合には全部円換算しなければなりません。業務の増え方、減り方とそれを円に換算したときの動きにはかなりズレが生じることがありますので、それだけちょっとご認識していただければと思います。
例えば2009年に、ちょうどリーマン・ショックの後、世界中の経済がよろしくないときに私共がかなり出融資を外貨建てで増やしましたが、その間にどんどん円高が進んだので、円建てではほとんど増えていないという状況になりました。逆に一昨年あたりは私共の業務も巡航スピードになったと思ったのですが、円安になったものですから、円ベースではどっと仕事が増えたように見えました。
私共の仕事にかけるエネルギーの量と、結果として円建ての数字で出てくるものにややズレが出てくるということはございます。ただ、去年から今年にかけてはそんなに大きく為替が動いているわけではないので、やや実力に相応した動きになったかな、という風に見て頂ければと思います。

最近の取り組み

資源確保への取り組み 資料①:P.4~5

資源確保は引き続き私共の重要な課題です。特に、まだ原発が動いていないため、電力構成においては原油や石炭焚き、あるいはLNGのウェイトがしばらくは高く維持されるべきですし、そのためにも調達先の分散が必要ですので、そういう面での仕事をしております。
4ページ目の例は、原油を如何にきっちり日本にひいてくるか、という典型的なもので、アラブ首長国連邦のアブダビの石油会社との間で、これまでも何回かこういう形の融資をしています。日本企業がアブダビの沖合やオンショアの油田で新規に権益を取得する、あるいは持っている権益の更新を可能にするために、広い意味での外交的な配慮ということで、アブダビ側から日本の企業に対してある程度の優遇をしていただくことを狙いとしながら、融資を行っています。このような形でADNOCに融資をするのは今回で4回目です。他の国との間でも色々な形でこういう意味でのファイナンスが必要ですが、このアブダビのADNOCという石油公社への融資が一番典型的且つ安定的に行われているので、ここに例としてあげました。
2017年から2019年あたりで、アブダビにおける権益の更新や新規権益の開放が多くある予定ですので、それを日本の企業が落札するのを支援しています。先方は非常に優良な会社ですので、貸したものが返ってこないという事態はめったにないので心配していませんが、そういうところの資金提供がぐるっと回って如何に日本の資源権益の確保につながるか、という観点で仕事をしております。
5ページ目は、単に油田や鉱山の権益取得の支援ではなく、日本にどうやって資源をひいてくるかについて、広く様々な取り組みが最近行われているということで、いくつか例示したものです。
1番上はトリニダード・トバゴにおけるメタノール・ジメチルエーテルの製造事業向けのプロジェクトファイナンスです。日本企業もなかなかカリブの国での事業をできていませんでした。その大西洋側で、どういう形でどこで生産し、それをどこで売るかというバリューチェーンみたいなものを全体として考えていく中で、日本の企業も、どちらかというとアジアを含む太平洋側の仕事をしている方が多いわけですが、大西洋側という大きなウェイトを占める世界経済圏にどういう形で入っていくかを日本企業が考えられるのであれば、それを支援していこうということです。地域的にも今まではアジアのウェイトが高かったわけですが、これから中南米、アフリカあるいはアジアの中でも中央アジアなどでの仕事は徐々に増えていくので、そういう意味でも地域的展開の1つの例としても見て頂ければと思います。
2つ目のLNGバリューチェーンの関係は、ご承知のとおり、海を超えてアメリカのシェールガスを運ぶときにはパイプラインは使えないので、基本的にはLNGにするわけです。そのLNGにまず加工する作業と、できたLNGを日本に運んでくる作業と、この両方についてそれぞれファイナンスをしています。ここでは例示として、LNG輸送船のファイナンスを挙げています。最近モノの動きが鈍くなって海運価格が下がっていますが、LNGについてはまだそこそこ動いており、特にばら積み船とは異なる特殊形状の船が必要となります。そういうところについては安定的に供給しておきませんと、仮に次に需要が増えたときに、コンテナ船やばら積み船であればたくさんあって転用できるわけですが、やはりLNG船という特殊形状の船の場合は小回りがきかないので、ある程度のラインを確保するという観点でファイナンスしています。
3番目のところは、油の生産も陸上からちょっと沖合になって、それでどんどん深いところになって、段々大変な作業になってくるわけですが、その中でもフロートしている船で採掘・加工をするという深海型のものが増えています。その1つの例として、ブラジル沖合においての日本の企業による傭船事業をお手伝いしています。とりあえず今動いているのはブラジルと、ブラジルとも手を握りながらですが、メキシコあたりでこの深海ものが増えているので、そういうものについて需要が出てくれば私共がファイナンスをさせていただくということです。

日本企業の海外インフラ事業展開を支援 資料①:P.6

この何年かはやはりインフラについての対応を強めています。特に今までのようにタービンを売っただけで終わりではなくて、それを引き続き現地で保守及び運営まで行うという定着型、あるいはそういうことを全体として行うという意味で包括型のインフラという作業を、私共としてはファイナンスしていこうということでやっています。
その中の例示としてここに3つあげています。1つは中東湾岸諸国で昔から典型的にあるような火力発電及び淡水化ということで、水の方が油より高いという国において、こういうオペレーションが続いているわけですが、その中でも引き続きカタール周辺で我々がファイナンスをしている状況です。1つには、これまで3,4割の湾岸プロジェクトはヨーロッパがファイナンスをしていましたが、ヨーロッパの銀行の体力が落ちている中、近場のアジアだけではなく、湾岸くらいまでを含めて、日本や韓国などのアジア系やオーストラリア・大洋州系の銀行がファイナンスをするのが全体として必要な状況です。その中でも、日本企業が中核となってオペレーションを行うものについては、引き続き積極的にファイナンスする考えでいます。
特にアジアの国でインフラ事業をやる場合には、人口は7,000万だ1億だと沢山いるので、良いタービンを送ってくれれば、そのうちオペレートする人を育てられます、となるので、まさに最初の1、2年の試験期間だけちゃんとトレーニングして頂ければ、あとは受入国側でちゃんとやります、という発展の形がありました。しかし、どうも湾岸あたりを見ていると、それぞれの国にそんなに人口がいるわけではないので、乏しい人口で何とかの専門家、何とかの専門家と全部作るわけにはいかないようです。そのため、タービンを売るのではなく、ずっと電気を売ってくれというのが向こうの要請だとすると、機器を納めて、その後オペレーションをやってという全体に日本が責任を持つことが求められていると思います。その中でそれを全部日本人がやるのか、あるいはアジアの他の国を交えてやるのか、そこは中核にいるオペレーターの判断になりますが、そういう形の事業への支援をしていこうとしています。
アイスランドの国営電力公社の案件は、先進国間のファイナンスではありますが、やはり地熱の世界では日本とアイスランドが先端を走っているわけですから、相互連携を強めることも含めてファイナンスをしていこうということです。私共がアイスランドにファイナンスをしたのは今回が初めてですが、これからは増えていくのではないかと思っています。
ミャンマー・ダウェーの特区向けですが、これは個別のプロジェクトというよりは、これから何をやっていくのかについて割合早い段階からJBICも含めてオペレーションしていこうというものです。JBICの場合には日本側の企業とも相談しながら、日本の企業が入りやすい、あるいは日本の企業にとって何が重要かということについて、優先順位をつけてもらうことが必要ですので、それをタイ政府やミャンマー政府と一緒に私共が考えていこうということです。
例えばインドのデリー・ムンバイの産業回廊でも既に似たような会社があってそれに私共が出資をしていますが、全体のグランドデザインというかブループリントを作る段階において、日本的なるものを早く入れることによって、その後に日本企業が入ってきやすくするのは1つ重要なことだと考えています。日本の企業は割合そういう意味での調整能力が高いので、アングロサクソンが中心になって作ったような案でも飲み込んでやってきました。しかし、段々規模が膨らむと、最初から日本的なるものがもしあるとすれば、なるべくそれが入りやすい形でのオペレーションを仕込むことが必要なので、そういうところを私共が代表してやらせていただいているわけです。
ミャンマーについてはご承知のとおり、ヤンゴンのすぐそばにティラワで既に産業開発あるいは工業団地の形成をやっています。ここの部分はどちらかというとミャンマー政府自身がドライバーズシートに座って仕事をしている感じがあります。ミャンマーもあちらこちら同時多面作戦をやる余力にはやや乏しい部分があるかもしれないのと、このダウェーはインドシナ半島を東から西につなぐ東西回廊の西の端でもあり、東西回廊に関わるタイ、カンボジア、ベトナム、そこに日本とADBなどが噛んで横展開していく、その1つのポイントではあるので、これからもインドシナ半島の東西回廊についていくつかの観点で私共が仕事をすることを考えています。

日本企業の戦略的な海外事業活動を支援

M&A支援への取り組み 資料①:P.7

先ほど申し上げたとおり、既に油田や鉱山については権益を買いに行くということをやっていたわけですが、それ以上に最近は企業自体のネットワークを手に入れるというのが多いです。元々日本企業はやや日本的な部分に少しこだわりがあって、現地に行っても、まず日本人がたくさんいて、こういうやり方でやって、こういうものを作らなければならない、それで信頼感を得て、というところがあります。そういう形で自らが種を撒いて、水を撒いて、芽が出てくるというところまで全部やっていくというのでは、ちょっと世界全体の動きに追いつかないところがあります。ですから、ある程度動いているネットワーク自体を取り込むことによって、加速度的に仕事を展開するというやり方が最近行われていて、M&Aという形で現地の企業を買収し、そこを日本の本店の機能と併せていくという形でのオペレーションが増えてきたところです。
もちろん、元々は円高だったときに相対的に円ベースで買うと安くなるよね、ということで始められた会社もありますし、そこを私共がファイナンスしたのもありますが、やはり最近の状況を見ていると、このJBICによるM&A支援実績のグラフを見ても、特段黒田バズーカ以降の円安になったからといって大きく減っているということではないです。やはり世界全体において日本の企業がどういうオペレーションをするかというのは、日本国内全体の人口及びその購買力が減っていることの裏返しの形であって、外でネットワークを維持し、需要を喚起することについての企業の意欲はあまり為替に左右されずに徐々に増えているという印象です。よって私共のM&A支援実績も比較的安定的に推移しています。金額自体は1件毎にどかっと大きいのが入ると上下しますが、件数的に見ても、ほとんど横ばいですし、金額もそんなに大きく動いているわけではないです。全体としては、先ほど申し上げたような形で、引き続き海外へ展開していこうという需要が増えていると思っています。
特にこれまでは例えば自動車とか電機製品とか大型のものを日本の企業が現地に出ていって投資をするという進出方法がありました。M&Aの場合はそういう形で現地で事業展開をするということではなくて、例えばサービス業やdistributionとかそういったところの展開を広めていく、そのためのファイナンスというのが増えている状況にあります。業種も従来の製造業とは違ったところで、リースとかコンビニとかあるいは食品とかという形で、現地の需要を反映した方が仕事が伸びる、というものについて割合集中が進んでいると思います。
例示として下に書いていますが、1つはテンプホールディングスが行いましたシンガポール法人買収で、これは人材紹介・人材派遣事業ということです。やはり東南アジア全体において、これから若い人が相当増えるわけですから、その人材を如何に動かすか、それをシンガポールの中だけでということではなくて、アジア全域でどう動かすかという観点で、シンガポールあたりに拠点をというご意向があったと理解しています。
1番下の例は、損保会社がアメリカの法人を買ったというものです。今までは生保にしても損保にしても、各国バラバラで動いていたところがありますが、やはり同じ海事保険にしても両側で売っているわけでありますから、ものの動きを出発点と着地点と、ひっくり返してみれば同じことを逆にして行われているわけでありますから、そういう形で何をとらえていくのかということからいえば、海外展開は必至です。それに加えて生保の場合は、従来それぞれの国の国民性みたいなものがありますから、なかなかよその国に入っていき難い部分がありました。しかし、保険の世界も段々個別の分野の保険が膨らんでくるとすると、そういうものを新規にひねり出すのも1つの手ですが、既に行われているものを取り込むことによって全体としてのパイを大きくする、というオペレーションも増えていますので、それについてのファイナンスをしているところです。

中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み 資料①:P.8~9

今年度の第1~3四半期の間で82件の承諾をしました。全体として200件、300件くらいしかない中で、数としては非常に大きなウェイトを占めている状況です。中堅・中小の場合は海外に出ていくパターンが2つありまして、1つは自動車部品等が典型ですが、真ん中の組み立ての大手が出ていくのに対してTier1、Tier2というサプライヤーが一緒についていくというものです。特に日本の組み立ての方は在庫を持ちたがらず、すぐそばに供給者がいるというのが重要なので、海の向こうからどんぶらこと部品を運ぶようなことは大体考えていません。Tier1、Tier2、場合によってはTier3までも一緒に来てくれ、という形の海外展開もある。それに加えて、最近特にアジアで多いのが、B to Cで消費者の需要なり、趣向・テイストを割合早く取り込んで、現地で大部分を作ることで、わざわざ日本まで持ってこなくても、現地で対応するというもので、これら2つのパターンが増えています。
これまでも私共がメガバンクなり地銀にお金を一遍お渡しして、そこからツーステップで流れていくというルートがありました。ツーステップの場合にはうちと最終的な中堅・中小企業の間には債権債務関係が起こらないわけです。それに加えて私共と例えば地方銀行、第2地方銀行、信用金庫で協調融資を行うという形で、うちが直接の貸し手となる、うちが相手との関係で債権者になっているという形で、資金を流しているものもあります。基本的には地銀さんの顧客の海外に出ていきたいという意向がどんどん増えているわけですが、なかなか外貨ファイナンスのところは地銀さんにそれだけ能力があるわけでもないということから、うちを使ってということになります。
今までの例を見ますと、どうしても地域的な偏向があります。これまでは北限があり、大体九州、中国、四国、関西、東海くらいまではかなりのウェイトがあったんですけれども、なかなか北関東、東北、北海道というところの需要がありませんでした。しかし、最近ちょこちょこと東北地方も出てきましたので、全国展開ができるかなという感じがしております。
先ほどの自動車の例で言いますと、メキシコに中堅・中小企業が出られているので、宮城県に行った際も半分冗談で、「昔、日本から最初にメキシコに行ったのは宮城県出身の支倉常長さんなのだから、頑張ったらどうですか」というようなことも言いながら仕事をしているという状況です。
金額としてはそれぞれのロットが小さいので、トータルで占めるウェイトは小さいわけですが、これだけの件数になりますと、私共も相当のエネルギーを使っているというところはあります。私共が独立した2012年の法律の改正の関係で、ツーステップの形でお金が流れているのはよくわかるけど、やはり、「なんとなく国際協力銀行の敷居が高い」と民間が思っているのはよろしくないので、敷居を下げるのをJBICが直接やるべきだということで、今仕事をさせていただいている。そうはいってもメインバンクというのがあって、私共は日常の運転資金を流すわけにはいきませんから、それぞれの企業がメインバンクをお持ちであるわけですが、そういう地方銀行とも連絡をとってということで、一番下にもありますとおり、業務協力協定をいくつか締結しています。この中でも例えば、群馬銀行など徐々に北にあがってきているというのを見ていただければと思います。
そんな中で国内の金融機関とも相談させて頂いているわけですが、やはり受入国側の対応も私共がある程度サポートした方がよいと。様々な情報については私共の事務所、私共の事務所がないところではJETROあたりの情報を使って出て行かれる中堅・中小企業に対してサポートする。それからちょっとしたトラブルについては、私共が日弁連と業務協力協定を結びまして、法律相談についての情報提供などをさせて頂いております。個別の話になりますとやはり個別に裁判手続きになりますので、直接私共が表に出るわけではありませんが、情報提供みたいなことについてはさせて頂いているわけです。それだけではなくて、受入国側においても、日本企業はこういうもので、こういう特性がある、こういうことに非常に関心があると現地にお伝えして、それに対する対応を整えてもらうことが必要だと思っています。アジアの場合にはいくつかの地場の銀行がジャパンデスクというのを積極的に作っていて、日本からの留学生がそこに行っているということで、そこに行くとバンコクであろうとジャカルタであろうと、日本語で話せるということがあるわけです。それと似たようなことを自治体にも徐々に広げられないかということで、メキシコの国とは前から十分私共として仕事をしているわけですが、先ほど申し上げたような自動車の業界などが行く中でいくつかの州に集積が始まっておりますので、日本の中堅・中小企業の良いところあるいは若干制約があるところを現地にご理解を頂くということについて、私共が橋渡しの仕事をしていこうということで、アグアスカリエンテス州やハリスコ州と業務協力協定を結びました。

現地通貨建て支援 資料①:P.10

10ページ目以降の内容は、今回の法律改正と絡みますが、1つは日本企業が出ていくときにやはり現地通貨建ての仕事がメインになる。これまで私共の融資は、圧倒的にドルのウェイトが高くて、あとは若干のユーロ、若干の円でした。大企業や中堅・中小企業にしても、まず現地に行ったときに生産機械は外から買ってくるわけですから、これはハードカレンシーで構わないのですが、現地で建設したり、そこからあと色々なものを動かしていくときには現地通貨が必要になります。私共もこれまでは地場の銀行とも連絡しながら、我々はハードカレンシーをお貸しして、ローカル・カレンシーについては地場の銀行で対応するという形の連携をやってきたわけです。一方で、JBICがある程度まとめて現地通貨を出してくれた方が窓口が減るのでやりやすい、ということで、それについても色々努力をしています。ドルを除いた11通貨について、私共が直接外貨を手当てをしてお貸しをするということを既にやってきました。
ただ、ここに書いてあるような国はある程度まとまった金額が出てくれば、例えば我々がタイ・バーツ建てとか、カナダ・ドル建ての債券発行をして、それをうちがプールとして持ってお貸しできるわけですが、それだけの金額がまとまらないと必ずしも簡単ではないわけです。今、私共の法律上の制約としては、1年を超える借入を民間銀行との間ではできないことになっています。仮に現地通貨を借りたいという日本の企業があったとしても、そこに私共が提供するための資金調達は1年が限度というのはやはり短いということもありますので、今回の法改正の中では、1年超えの借入も私共ができるようにして、例えば私共がインドネシア・ルピア、あるいはタイ・バーツを借りて、それを全体としてのパッケージとして日本の企業に提供するということを可能にして頂くようお願いしています。
イギリス・ポンドとかカナダ・ドルあたりは、債券発行をしてまとめて処理するのも可能だと思いますが、それ以外のところはどうしてもスワップを組むかローカル・カレンシーを地場銀行に直借りするという形のオペレーションになっていくと思いますので、そんなことを今膨らませてやっていければと思います。27年度には初めてインド・ルピー建ての融資案件を承諾したところですので、こういう仕事をさせて頂くということです。

地球環境保全等への取り組み 資料①:P.11

去年の12月にパリでCOP21がそれなりの結論になったわけですが、私共の方もこのACE、クールアースのオペレーションは前から行っています。その中で開発途上国等におけるCO2排出削減を如何に支援するかというのは、私共の4つのミッションの中の1つに入っているわけでありますので、それの実現ということで、いくつか例を挙げています。
特に現地で小口でお金を使うということから言えば、ある程度現地の銀行とも連携をしながらということで、例えばブラジルでは、BNDESという国立経済社会開発銀行に対してクレジットラインを提供して、それを現地で小口で使って頂くということになります。それから先ほど申し上げましたが、アイスランドの地熱の発電とかトルコにおける地熱の発電についても、直貸し、あるいはツーステップのような形でうちが最終的なファイナンスの出し手になるという形での支援をさせて頂ければと考えているところです。

質の高いインフラパートナーシップ等を踏まえた機能強化 資料①:P.12

今年度法律の改正をお願いしていまして、海外のインフラ事業について、色々広げていきますと、なかなか受け入れ側の国自体が、IMF等の縛りなどもあって保証が出しにくいとか、あるいは国は出せないんだけれども地方政府なら出せるとかですね、少し従来の意味でのリスクテイクのパターンと違ってきているところがあります。極めて保守的に言えば、そういうものにはなるべくお貸しをしないことになりますが、世界全体として、中央政府が外からの借入、あるいはそれに対する保証の負担を減らしていこうというトレンドがあるとすると、なかなかそれを無視するわけにもいかない。一方でリスクがどんどん増して、それでもよいですよと言って貸すわけにもいかない。それはやはり銀行としての宿命があるわけですから。その中でどういう接点がうまくできるかということで、法律改正によってリスクテイクが可能になるような特別業務勘定というものを作って、その中でどういうことが可能か政府と検討していこうとしているところです。
やや誤解されていて、質の高いインフラではなくて、リスクの高いインフラをJBICがやるのではないかなどと言われていますが、我々としては、その質の高いというのは安倍総理が言われているように品質が良いと、それから20~30年というトータルのライフタイムでみたコストがあまりかからない、他国製ですともう5年目から壊れているとか、3年目から穴が開いているとかには日本の場合はならない。確かに初期価格は高いかもしれないが、全体25年締めたところで見れば日本のものを買ったほうが安かったね、ということがあるわけです。しかし、受け入れ側の国は最初に安いものを買いたいというバイアスがどうしてもかかります。会計検査院みたいなところが発達した国はですね、トータルコストということを言ってくれるのですが、そうじゃないと大体議会にいくと、安いものを買えということになってしまうところがあります。それを打開するためにも、初期コストが高いという状況をどうやってファイナンスの世界である程度緩和できるか、その中で先方がどれだけ債務の保証をできるのか、それができないときにどういう形でassuranceができるのか、そういうことについての話もしながら、今までやってきたわけです。そういう質の高いインフラの仕事についての私共の懐を少し深くしようということで、今回法律改正をお願いしているところです。
②は先ほど申し上げたとおり、現地通貨建て融資の話でありますし、それから③のところも、海外でのインフラ事業向けツーステップローンや債券取得等を行えるような機能強化が盛り込まれています。今、世界全体としてODAのような公的資金が絞られてきているわけですが、一方においてマネーそのものはだぶついていることは間違いない。そういう中でなるべく長期の資金をインフラのプロジェクトに持っていくためにどうしようかということを今やっているわけです。例えば、シンジケーションでまずプロジェクトを始めて、それがうまくいって当初のグリーンフィールドのものが実際に動き始めてブラウンフィールドになったところで債券化して売るというのはたぶん王道だと思います。一方において最初の段階からボンドが発行できる幸運なケースがあれば、そのときにJBICも融資の代わりにボンドを買って欲しい、というお話が出てくると。従来対応ができなかったそうした債券取得を含めてやっていこうということでして、できればなるべく早く国会でご審議をして頂ければと思っています。