定例記者会見(2016年7月20日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2016年7月20日 14:00~14:50
  • 場所)国際協力銀行 本店
  • 説明者)総裁 近藤 章

Ⅰ.2015年度業務実績 資料①:P.2

それでは、私のほうから、資料に沿ってまずご説明させていただきます。最初のページが2015年度の業務実績です。昨年度の出融資・保証承諾実績が、298件・2兆3,974億円でございました。実際にはこれは一昨年の額に比べますと、26.2%の減少でございます。大型の資源案件や化学プラントの案件が一昨年に多くございましたので、その分の反動でございます。

出融資・保証承諾件数は、M&Aや中堅・中小企業向けの支援承諾案件数の増加によりまして、一昨年度対比27件の増加になっております。数字はそこに書いてある通りの数字でございます。

Ⅱ.平成27年度決算概要 資料①:P.3

続きまして、2015年の決算の概要でございます。業務粗利益は昨年度1,092億円となりまして、一昨年度に比べまして39億円の減少、微減でございます。業務純益のほうは916億円、これは45億円の減少と。経常利益でございますが、これは大きく減少しております。一昨年度の1,204億円から777億円減少して427億円になっております。当期純利益はそれにつれて、同じく834億円の減少でございます。これは、そちらの囲みにも書いてございますけれども、昨年度は経常利益段階における貸倒引当金の繰入及び組合出資に関する持ち分損益の減少等によりまして、834億円の大幅な減少となっております。

貸出金の話は先ほど申し上げましたけれども、取り組み自体が減少したことに加えまして、円貨の貸出金の減少、それと円高でですね、外貨を円貨に換算しておりますので、トータルで8,922億円の減少ということになっております。以上が、業務実績と決算の概要でございます。

Ⅲ.最近の取り組み

1.資源確保への取り組み 資料①:P.4~5

続きまして、4ページ以降、最近の取り組みについてご説明いたします。まず第一に資源確保への取り組みでございます。JBICの主たるミッションとしてですね、日本の安定的な資源確保へ取り組んでいくということがございます。上流権益の獲得でございますとか、調達先の分散化、それから燃料バリューチェーンの強化、さらには資源国との関係強化など、幅広く支援することで国民生活・経済活動を担う資源安定確保に貢献してまいりました。2015年度においては、資源分野での取り組みとして計12件、4,892億円の出融資・保証承諾を実施いたしました。

具体的な案件としては、今年に入ってから調印したアブダビ国営石油会社ADNOC向けの融資がございます。金額は21億ドル、この目的は日本企業が長期安定的に原油を輸入するために必要な資金をADNOCに供与するものでありまして、この種の融資はADNOC向けで4回目でございます。産油国との戦略的な関係強化というのはやはり、引き続き、日本企業、日本にとって非常に重要な課題でございます。これを支援いたしました。

その次に書いてありますのは、ロシア連邦のサハリンⅠ・オドプト鉱区Stage2開発プロジェクトに対する融資でございます。これは期末に決まった案件でございますが、JBICが承諾した金額は4.5億米ドル。これは油田の鉱区開発を支援して、日本の原油の輸入ソースの多様化、diversificationに貢献しようというものでございます。

続きまして、トリニダード・トバゴ、メタノール・ジメチルエーテル製造事業向けプロジェクトファイナンスを、昨年の9月に実施しております。カリブ海の国に対する案件としては非常に大きな案件になっております。JBICの承諾額は4.8億ドル、日本企業によるメタノールの海外生産の拡大ということで、メタノールの輸入調達先を多角化するということであります。トリニダード・トバゴに対してはJBICによる初めてのプロジェクトファイナンスの案件でございました。

次に書いてありますのは、LNGバリューチェーン強化のためのLNG輸送船調達に対するプロジェクトファイナンスでございます。これは、アメリカで行っておりますフリーポートのLNG事業において生産される、LNGの輸送に使われるものでございまして、日本の海運会社のノウハウを使いまして、LNGの生産から液化、さらには輸送というバリューチェーンを構築するという目的のものでございまして、承諾額は519億円でございました。

さらには、ブラジル沖合におけるFPSO、下に英語が書いてございますが、要は海上に船を浮かべて、そこから、海底にある石油の処理等しようという、そういう事業でございまして、これは2.5億米ドル。だんだん、陸上から油田が海上に移っていくということで、これはブラジル沖だけでなくメキシコ沖にしましてもどこにしましても、これから出てくる案件でございます。

2.日本企業の海外インフラ事業展開を支援 資料①:P.6~8

次の6ページでございますが、日本企業の海外インフラ事業を支援して参りました。基本的には発電事業に対する投資や、再生可能エネルギー発電等の機器の輸出ということで、これは引き続き、大きな成長が見込まれる市場でございます。

具体的にはカタールのFacility D天然ガス焚き複合火力発電・淡水化事業向けのプロジェクトファイナンスでございます。これが12億米ドル。日本企業の海外インフラのノウハウを生かした事業の展開であります。

さらには今年の3月になりますが、オランダの洋上風力発電事業に対するプロジェクトファイナンスも行いました。再生可能エネルギーの中でも、最も新しい分野の一つでございますが、海外での洋上風力発電事業というのをJBICが長期融資を用いて支援いたしました。金額は2.44億ユーロでございます。

さらには、アイスランドの国営電力公社に対する地熱発電関連機器の輸出支援。金額的には小さいんですが、JBICがアイスランドの企業に融資を行うのは本件が初めてでございます。

その次にありますのは、バングラデシュ電源開発公社に対するガス複合火力発電関連機器等の輸出支援。金額は185億円でございますが、JBICにとりましては15年ぶりのバングラ向け支援でございました。また185億円はバングラに対する支援としては、最大規模の融資でございました。

最後に書いてありますのは、インドネシアの国営電力会社に対する超々臨界石炭火力発電機器の輸出支援でございます。これは、昨年度に融資した98億円と1億7百万ドルの案件です。

その次にありますのは、アフリカの南西にあるアンゴラからブラジルに向けての光の海底ケーブルの敷設プロジェクトに必要なシステム一式を日本企業から購入するための資金を、アンゴラ開発銀行を通じて、ツーステップローンでお貸ししたということであります。金額は6,580万ドル。

最後に書いてありますのは、ミャンマーのダウェーの経済特別区開発会社への出資です。この株主間契約を、ミャンマー政府とタイ政府機関との間で昨年の12月に締結いたしました。これはこれからの事業でありますが、出資という格好で入ってまいりますので、新しい形の一つになると思います。

3.日本企業の戦略的な海外事業活動を支援

(1)M&A支援への取り組み 資料①:P.9

それから今度は、M&A支援なんですが、日本の企業の海外での企業・事業買収等にかかる資金需要は引き続き旺盛でございます。円安になって減るかと思ったら減らなくてですね、また今度円高にふれてますので、M&Aの事業、資金需要というのは今後も出てくると思います。昨年度ですと、M&A、トータルで105件、全体で1兆233億円の融資を実施いたしました。これはそのグラフを見て頂きますとわかりますように、件数でもほとんど倍増、金額的にも非常に速いピッチで大きくなっております。

最近の例ですと、テンプホールディングスによるシンガポール法人の買収案件、それから東京海上による米国法人の買収、というようなのがございます。大型の案件は全部ホームページに出ておりますので、たくさんありますので、見て頂ければと思います。

(2)中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み 資料①:P.10~11

さらにもう一つ、今私ども非常に注力しております業務の中に、中堅中小の海外事業展開への支援というものがございます。ここに書いてございますが、実は株式会社国際協力銀行法が成立したとき、新JBICができたときに、附帯決議でですね、中堅中小にもちゃんと支援をしなさい、というのがございまして、それで我々これ、伸ばしてきたわけでございますが、2012年度、新JBICができた時が34件、その後54件、109件、133件と、順調に伸ばしております。特に地銀さんとの、あるいは信金さんとの協融件数というのが非常に多くなっております。承諾金額そのものは、大口のものが入ると上振れもあり、例えば2014年の1,117億円というのは、ミツカングループさん向けご支援も含まれていますが、いずれにせよ承諾金額も増えているということだと思います。

地銀・信金さんとの業務提携というのはここに書いてあるところと締結しておりますが、近年連携を強化しております。実際地銀さんから東と西、二つのチームにそれぞれ出向して頂いていますが、この人たちも大変よく働いて頂いていて、それで、こういう実績になっているということであります。更に中堅中小の方々への支援というのは海外事業を展開されることに伴う支援でございますので、それを側面サポートするために、例えば、メキシコ州政府との連携をしております。2015年ですと、私ども毎年、もう25年以上になりますけれども、海外直接投資アンケートというものを出しておりますけれども、有望国、これから行きたいという国の中で、メキシコ第6位なんですね。今はインドが1位。メキシコは第6位なんですけれども、業種別には日本の自動車メーカーがたくさん出ておられまして、それに伴って部品メーカーさんがたくさん出て行かれているということで、これは中堅中小の方がたくさんあられるのですが、JBICはここに書いてある4つの州政府と、あるいはメキシコの地場金融機関、BanamexとそれぞれMOUを締結いたしまして、中堅中小企業の各州への進出支援を目的とした枠組みを作っていこうと、そういう努力をしております。

更にJBICは海外事業展開に対するコンサルティングや、専門家によるアジア12か国の法務会計、税務のアドバイザリーサービスを取引先に提供しておりますし、海外進出セミナー、勉強会、たとえばこの間、フィリピンのメトロポリタンバンクと共催でですね、フィリピン進出のセミナーを行いましたけれども、非常に好評で、たくさんの中堅中小の方々、更には地方銀行、信金の方々に来ていただきまして、好評裡に、東と西で行っております。こういうことを地道な努力としてやっております。

(3)現地通貨建て支援 資料①:P.12

その次が日本企業の戦略的な海外事業支援の手法でありまして、それの一つとして現地通貨建ての支援を行っております。ここに書いてある通貨、11通貨になっております、これは今の6月時点で、更に増やしていこうということであります。昨年度の出融資承諾実績は現地通貨建てだったのは18件、74億円相当であります。

昨年度は、JBICは初めてインドルピー建ての融資案件を承諾いたしました。日本電産さんの、インド法人が行う設備投資への融資、あるいは、日鍛バルブさんのインドルピー建ての融資、それから、森六ホールディングスさんへのインド法人、こういうところへの現地通貨建ての融資を始めました。これは割合とニーズが高い分野で、金額はそんなにはらないかもしれませんけれども、我々が現地通貨を調達して、現地でお貸しするということをやっております。

あとは、船舶ですが、カナダ系の海運大手が本邦造船所からアンカー・ハンドリングタグ、これはタグボートですね、を購入するための資金を融資しております。これは先ほど申し上げた海洋石油の開発などに使う船です。

4.地球環境保全等への取り組み 資料①:P.13

地球環境保全等への取り組みについては、Actions for Cool Earth(ACE)などの施策を踏まえて、JBICは途上国の気候変動対策への支援を実施しております。

我々がGREENと呼んでおります地球環境保全の業務については、そこに3つ例が書いてありますが、ブラジル国立経済社会開発銀行には第4次のクレジットラインを設定いたしました。またメキシコ外国貿易銀行に対する第3次のクレジットライン、それからアンデス開発公社に対する第2次のクレジットライン、ということで、中南米の諸国に対する地球環境保全用の資金を供給しております。

また、日本企業が関与する再生可能エネルギー関連事業に対する支援を行っております。先ほどご紹介しました、アイスランドにおける地熱発電、トルコにも地熱発電の機器輸出の支援を行っております。

Ⅳ.JBIC法改正 資料①:P.14

最後は、JBIC法の改正であります。質の高いインフラパートナーシップ等をふまえた、JBICの機能強化を目的とする、株式会社国際協力銀行法の一部を改訂する法律が5月18日に公布されました。改正のポイントは3つあるんですけれども、1つが特別業務、リスクを伴う海外インフラ投融資を行う特別業務を開始するということで、これは、今年度中に政令で定める日からスタートするということで、まだ具体的に決まっておりませんので、今後の課題であります。

2番目と3番目はもうスタートできる話で、先ほど申し上げた外国通貨建ての融資を強化するため、長期の借入ができるようになりました。今まで短期しかできなかったんですけれども、長期の借入が解禁されたことで、今後現地通貨建て融資の取り組みを一層強化していきたいと思っております。

また、支援手法の多様化の中に、海外インフラ事業に関してのツーステップローン、あるいは海外インフラ事業にかかるプロジェクトボンドの取得というのも入りました。それから日系現地法人の海外における製品等の販売支援、これローカル・バイヤーズ・クレジットと言っているんですけれども、例えば日本のタイの法人が第3国に輸出する場合の、あるいは中国から、どこからでもよいのですが、ローカル・バイヤーズ・クレジットが認められる。それから、国産設備の海外向けリースができるようになります。更に最後はイスラム金融というのも、これは今でもできる状況になっております。

以上、駆け足でしたけれども、私からのご説明は以上になります。