定例記者会見(2017年2月21日)

株式会社国際協力銀行 総裁記者会見

  • 日時)2017年2月21日 14:00~14:50
  • 場所)国際協力銀行 本店
  • 説明者)総裁 近藤 章

Ⅰ.2016年度業務実績 資料:P.2

それでは、資料に沿ってJBICの現状について説明させていただきます。 まず今年度9月まででどれほどの出融資・保証をしているかといいますと、表の右側の赤い部分、197件・1兆4,270億円であり、昨年度を上回っています。ただし、この数字は全て円建てです。大半の融資はドル建てですので、円ドルの為替の変動要因でかなり振れます。2011年度からの承諾額の増減がありますが、これも円の変動によるものがあります。

Ⅱ.2016年度中間決算概要 資料:P.3

続いて2016年9月までの中間決算の概要でございます。昨年度中間決算と対比して記載していますが、赤い枠の中が今年度のものです。

業務粗利益は489億円となりまして、昨年度に比べまして107億円の減少です。中間利益のところで662億円と、昨年度と比べ60億円増加していますが、こちらは貸倒引当金の戻し入れによるものです。

貸出残高は3,710億円減少し、13兆1,695億円となっていますが、円換算額が円高により縮小したことなどによるものです。

Ⅲ.2016年度振り返り(TICAD VI)資料:P.4

私の着任した直後に最初に訪問したのがケニア・ナイロビであり、TICAD VIに参加して参りました。TICADではナイロビ宣言で、「アフリカの持続可能な開発アジェンダを促進」するということで、質の高いインフラを中心に、2018年末までの向こう3年間で40億ドル強を積み増していくというコミットメントをして参りました。具体的なフレームワークとしては、東部南部アフリカ貿易開発銀行(PTA銀行)への輸出クレジットライン案件をナイロビにてサインしてきました。

Ⅳ.2016年度振り返り(ロシア関連) 資料:P.5

ロシア関係で大きな動きがありました。2016年5月に安倍首相がプーチン大統領に対して提示した「8項目の協力プラン」を具体化させていくということで、12月にプーチン大統領が来日した際に、ヤマルLNGプロジェクト向けの融資契約、我々の分は2億ユーロですが、こちらをフランス・イタリアのECAなどと一緒に融資をするという契約をしました。

また、ロシア直接投資基金(RDIF)との共同投資の枠組みの覚書、極東先進経済特区に係るプロジェクト開発促進会社を設立するという基本合意と、その他5件の業務協力協定を締結しました。

Ⅴ.最近の取組み

1.資源確保への取り組み 資料:P.6~7

最近の取り組みについてです。資料P.6のとおり、JBICは2005年から2015年の間に、総額7兆7千億円の資源確保の案件に取り組みました。P.7は資源確保の最近の取組みですが、資源確保のためにアブダビ・ヘイル油田への融資、インドネシア・タングー3LNGの拡張案件への融資も契約しました。資源産出国との関係強化という面では、メキシコ・PEMEX向けサムライ債保証を行いました。

2.日本企業の海外インフラ事業展開を支援 資料:P.8~11

我々の2番目のミッションに、日本企業の海外事業展開の支援など「日本の産業の国際競争力の維持・向上」ということがあります。発展途上国を中心にこれから世界のインフラ投資の額が増加するという見込みがあります。資料P.8はマッキンゼーの推計ですが、2000-2015年までに31.4兆ドルあったインフラ投資は、今後15年間で1.5倍の49.1兆ドルに達することが見通されています。今までは新興国のシェアが半分でしたが、これが60%まで増えていくということで、これに対応した取り組みが必要です。

P.9は参考ではありますが、我々と同じような仕事をしている国際機関とJBICの貸出残高の推移を示すものです。申し上げているとおり、JBICは為替相場で円の貸出額が変わりますが、2007年度末に7兆2,317億円だった残高が、2015年度末には13兆6,413億円、約1.9倍となっています。これとほぼ同じような動きをしているのがIDBであり、金額としては1.6倍となっています。その他ADBは2倍、EBRDは2.4倍、IFCは1.8倍となっています。

全体の動きについてですが、融資が増えていきますとこれは資本金が必要となります。国際金融機関の場合には、各国による増資の承認を受けなければいけませんが、資本金の増加がずっと続くかというとそう簡単ではないため、オペレーションの方でDebtからEquity、融資から出資に変わっていくという傾向が出てくるのではないかと思っています。これに我々も対応していきたいと考えております。

最近の海外インフラ事業展開はP.10のような状況となっており、2009年度から2015年度までに、総額約2兆2千億円の支援を行いました。

取組みの事例としては、インドネシア・ジャワでのガス焚き複合火力発電案件向けに、民間金融機関と共に協調融資総額317億円の契約を締結しました。今年の1月にはインドネシア・ムアララボー地熱発電所向け融資契約を調印しました。スポンサーは住友商事さん他、売電先はインドネシアの国営電力公社であり、30年間の売電契約、PPAに基づき売電します。JBICはADB他と4.3億ドルの協調融資を行います。昨年の10月にはインドネシアの政府との政策対話を実施しました。

3.日本企業の戦略的な海外事業活動を支援

(1)M&A支援への取り組み 資料:P.12

続きまして3番目に、日本企業の戦略的事業展開を支援するということで、JBICでは日本企業によるM&Aの実施支援の融資・出資を行っております。件数的には、2016年度は第3四半期までで86件、5,555億円ということで、若干、昨年度に比べペースは落ちてきておりますが、引き続き支援をしております。

例えば最近ですと、昨年末にテルモさんによる米国医療メーカーの買収案件を支援しました。私どもがみずほ銀行さんにご融資し、みずほ銀行さんがテルモさんに転貸、テルモさんはアメリカのコイルやカテーテルの製品ラインナップを持っている会社をその資金で買収する、ということになっております。

(2)中堅・中小企業の海外事業展開への取り組み 資料:P.13

P.13は今度は中堅・中小企業の海外事業展開への取組であります。これは、私ども、公庫から分離独立しまして、それは2012年なんですけども、このときにこの前の年ですけども、JBIC法が改正になりまして、そのときに中堅・中小企業の海外事業展開にも積極的に支援するようにとの附帯決議がありました。これを、我々鋭意やって参りまして、件数的には独立前の16件から、昨年度は133件、今年度も第3四半期までで93件という取り組みをしております。2014年が金額的に大きいのですけれども、ミツカンさんの大型案件が入ってるのででこぼこになっておりますが、地道に我々、地銀さんあるいは、3メガさんと協力して、中堅・中小企業の海外展開を支援させて頂いております。

例えばベトナムですとかタイですとか、あるいはインドネシアといったところの案件に、ご融資をさせて頂いております。我々、ドルだけではなくで、現地通貨でもご融資をしておりまして、タイバーツ建てを今年度12月までで11件行っております。これが中堅・中小企業への取組であります。

(3)地域金融機関との連携強化(中堅・中小向け融資以外) 資料:P.14

日本企業の戦略的な海外事業活動を支援するということで、中堅・中小企業支援以外の分野でも、地域金融機関との連携を強化しております。日本企業さん、去年まで非常に関心の高かったメキシコがありますが、メキシコ側とMOUを締結し、地銀・信金とメキシコ各州とを結ぶといった取り組みをしております。それから、インフラ事業向けの我々が持っております債権を流動化して、伊予銀行さん、群馬銀行さん、千葉銀行さんといった地銀さんにお渡しするというような仕事をやっております。

4.地球環境保全等への取り組み 資料:P.15~17

次が地球環境保全への取組であります。COP21で、2015年にパリ協定が結ばれまして、我々もこれに積極的に参加して、環境技術を世界に売っていこうということで、安倍首相のおっしゃる、「美しい星への行動2.0」では、日本が官民あわせて2020年までに年間約1兆3,000億円の気候変動関連事業を実施していこうということでありますし、エネルギー・環境イノベーション戦略の策定をするということもここに盛り込まれております。我々は民間銀行さんの活動を支援する立場にありますので、途上国での温暖化事業に対して、民間銀行さんと共に協調融資し、民間銀行さんの融資部分には保証を付与したりして、全体での取り組みをサポートしていくと、これが我々への地球環境への取組であります。

それからP.16が具体的なお話になりますが、先ほども申し上げた地熱発電事業ですが、日本企業さんは非常に競争力がありまして、アフリカでもやっておりますし、インドネシアでもやっております。色々なところで案件が出てくると思います。それから別の取組ですけれども、フィリピンの銀行であるBDO Unibankに対して、5,000万ドルのクレジットラインを設定して、現地での再エネプロジェクトへの融資をサポートする、こういう取り組みを行っております。

それからP.17はGREENといっておりますけれども、それをまとめたものになりますが、我々こういう現地の銀行などとの間で、環境保全に用いるためのクレジットライン設定などの支援を行っておりまして、今までの実績は出融資保証承諾額で2,400億円相当、30件の出資となっております。グリーンのところが出資、赤い丸が融資になります。国で言いますと、ブラジル、コロンビア、メキシコ、中南米のところはアンデス開発公社へのものであります。あとはフィリピン、マレーシア、南アジアの中ではインド、またトルコ、南アフリカ、というところにも支援を広げております。

Ⅵ.「質の高いインフラ投資」推進に向けたJBIC機能強化 資料:P.18~20

以前から申し上げておりますとおり、2016年5月18日に質の高いインフラ投資支援のためにJBICの機能強化をして頂きました。 質の高いインフラパートナーシップということでありますが、質の高いというのは何かというとですね、日本の商社さんも、色々なスポンサーさんも、海外の競争入札で、全部勝てるわけじゃない。ただ日本の場合は、我々ライフサイクルコストと言っていますが、例えば、日本製の機械は性能が高いので、最初ちょっと高いように見えるけれども、ライフサイクル全体でみると、日本のインフラ投資というのは質が高いという評判を得ており、長持ちするので安くつくということです。ただそれで全部は解決するわけではないのですが、出来る限りそういう格好で長くメンテができるようなものをやっていきたいということであります。

JBICの機能強化の内容ですが、まず去年の10月から特別業務勘定を創設しました。対象分野、金融手法、対応能力を総合的にレベルアップし、今までよりも更にリスクの高いものも取り組んでいくということで、支援対象国の拡大や、支援対象のインフラ案件の多様化を図っております。次に、先進国の対象分野も拡大致しまして、具体的には、道路、橋梁、トンネル、石油・ガス化学製品、廃棄物処理、船舶、人工衛星、粒子線医療施設等を追加いたしました。第三に支援ツールのメニューの強化ですが、3つありまして、プロジェクトボンドをJBICが買うという機能も追加されましたし、現地通貨支援の強化、それからイスラム金融も正式に認められるということになりました。四番目が出資対応能力を強化する。先ほど申し上げました通り、DebtからEquityへという世界の流れの中で、エクイティファイナンスを強化しなければならないと、10月1日から、我々の中にエクイティファイナンス部門を設立して、今、研究あるいは検討を重ねているところであります。

最後のページが、特別業務においてどういう風なことをやるかということの我々のポンチ絵です。公共事業の場合は、例えば本邦企業がプラントを輸出すると、これに対して、我々は日本の民間銀行と一緒に一般業務ではリスクテイク困難な外国の政府等向けに融資する、あるいは海外の国際金融機関と協力して融資するというもの。それから、民活事業の場合というのは、例えば外国の政府、政府機関、あるいは地方公共団体等への売電リスクが高い現地の電力事業に対して本邦企業が出資し、我々が融資すると、そういうような格好であります。その他、もう一つの民活事業の例として、鉄道運営会社というのは、どれだけお客さんが来るかという需要の見通しに立って、活動するわけでありますので、乗客が集まるかというような新しいリスクも我々はとっていこうと、そういう機能強化をしております。

というところが、私の着任後、もう8か月になるのですか、今やっている仕事の概要であります。