エネルギー制約と二酸化炭素制約-低炭素社会の実現に向けて-セミナーを開催

環境
 セミナーの様子 セミナーの様子

 国際協力銀行(JBIC)*1は、2008年11月14日、国際エネルギー機関(IEA)、国際排出量取引協会(IETA)、 (財)海外投融資情報財団(JOI)との共催により、本セミナーを開催いたしました。エネルギー制約と二酸化炭素制約、排出量取引の活用と金融危機の影響について活発な議論を行いました。当日は関係企業・機関から200人を超える出席者がありました。

冒頭のJBIC副経営責任者森田の挨拶では、今回のセミナーでは、各国の排出量取引市場の現状と動向を踏まえながら、長期の視点からの議論を期待するとし、金融危機と温暖化の両方のグローバルな課題を同時に解決していく必要があると述べました。

基調講演

◆IETA会長ヘンリー・ダーウェント氏より、EU、米国における排出量取引制度の紹介と、各国制度の接続についてご説明がありました。 
「小さな問題」は、初期割り当て(allocation)の考え方の違い、セクターの対象範囲、取引期間である。また、「大きい問題」は、自主目標か絶対目標かの目標のタイプ、総量目標か、原単位目標かによるクレジットのタイプ、バンキング・ボローイングのシステム、プライスキャップと、スキームの目標レベルである。今後の日本の市場のEU/米国市場との接続を望む一方、EU-ETSに関しては、2005年から2007年にあったような価格暴落は避けなければならない。

◆JBIC環境ビジネス支援室長本郷より、京都クレジットの中長期的不足感と、発行の遅れ、金融危機のカーボン市場への影響など、カーボン市場における現状の課題の整理、プライマリークレジット情報の提供サービスと日本市場の新しい動きの紹介を行いました。

◆IEA田中事務局長から「World Energy Outlook 2008」の概要につき解説を頂きました。
エネルギー市場と金融の対話が不可欠であると感じている。金融危機のさなかにあっても、中長期的な供給側への投資が、継続されることを希望する。油田の生産能力の減耗状況を考慮すると、現在の生産水準を維持するためだけでもサウジアラビア国4つ分のキャパシティの増強が必要である。マーケットには、「Cheep energy price is over」とのメッセージを送りたい。財政的なインセンティブを付与するためにも、2007年にOECD非加盟国の上位20カ国で3100億ドルにも達したエネルギー消費関連の補助金を除々に廃止する必要がある。先進国にとって、省エネルギーの為の自国への投資をして、エネルギー需要そのものを小さくするか、もしくは、エネルギー需要の増加を抑制せず高価格の原油を買い、産油国にお金を落とす方が良いか、この答えは自明と思う。
 

【当日の資料はこちら】
1.IETA会長 ヘンリー・ダーウェント氏
2.JBIC環境ビジネス支援室長 本郷
3.IEA 田中事務局長

パネルディスカッション

 JBIC本郷をモデレーターに、IEAシニアエコノミスト ファティ・ビロール氏、IETA会長 ヘンリー・ダーウェント氏、BPジャパン株式会社代表取締役社長 脇若英治氏、ナットソース・ジャパン株式会社代表取締役 高橋庸夫氏をパネリストに迎え、パネルディスカッションを行いました。
 

【BP脇若氏】1998年から、2010年までにCO2排出量を1990年比レベルで10%排出削減の目標を立て、社内排出量取引制度などを用いて2001年にはその目標を達成するなど積極的に気候変動に対して取り組んできた。BPでは、年間200億ドルの投資があるが、10%はオルタナティブ・エナジー(代替エネルギー関連)事業に向けられている。またマッケンジー試算のCO2削減のためのコストカーブにもあるとおり、現在は省エネが最も効率的な手段であることに変わりない。BPとしては、気候変動問題へのチャレンジのために、継続的な技術開発、投資、補助金、政府の政策についての4つの努力が必要であると考えている。 

【ナットソース・ジャパン高橋氏】景気悪化の恐れなど幾つかの要因により買いが手控えられる中、EUA及びセカンダリーCERの排出権価格は下落している。ただし、値ごろ感からセカンダリーCERに買いの手が入るとセカンダリーCERのみ上がることもあり、両者の価格差は4ユーロ台から2ユーロ台へと縮小傾向にある。景気の見極めがつくまではこれらの価格は低迷する可能性が高いが、景気回復の兆しが出てくると反騰も充分ありうる。  

【IEAビロール氏】まだアジア地域の成長がピークに達したとは思わないが、世界経済は厳しい状況にある。プロジェクトは、独立系、メジャー系を問わず延期になり、供給サイドのクランチを起こしかねない状況にあり、需要が急に回復した折には供給サイドがネックになる。十分な備えが必要である。
排出量取引が次期枠組みのオプションになるためには、世界のエネルギー消費のかなりのシェアをカバーする必要があり、主要排出国の関与がないと厳しい。初期割り当ての販売、オークションによる収益は追加投資の財源となる。価格についてはコントロールすべきものか、メリット・デメリットを慎重に議論すべき。 

【JBIC本郷】排出量取引市場への投機的動きをどうやって少なくするか。 

【IETAダーウェント氏】「投機」の定義を明確にする必要がある。英語での意味と異なり、日本語においては余り良い意味を持たないと聞いている。しかし、投機は経済にとって不可欠であり、マーケットの正常化の促進に役立つと考えている。現在、欧州市場において、投機的な大幅な価格動向は確認されていない。  

【ナットソース・ジャパン高橋氏】その通りである。日本では投機はマネーゲームと見る人が多い。過度の価格上昇、変動はコントロールされるべきものの、マーケットは取引量が増加しないとうまく機能しないので、流動性を保ち、市場の価格発見機能を保つためにも金融機関による投機マネーの参加は役に立つと思われる。
 

  1. *1 国際協力銀行(JBIC)は、株式会社日本政策金融公庫(総裁:安居 祥策)の国際部門です。
     
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