2009年度日本金融学会秋季大会で「インドネシア経済:世界金融危機の波及と政策対応」について報告
JBIC増田
会場の様子2009年11月7日、8日、香川大学(香川県高松市)で日本金融学会秋季大会が開催され、国際協力銀行 (JBIC)からも報告を行いました。
日本金融学会は1943年に創設され、63年の歴史を有する伝統的な学会です。研究者と実務者が会員となっており、学術研究発表に加えて、研究者と実務家の意見交換の場として貴重な機会を提供しています。当日は、2つの講演、4つの共通論題、14の自由論題で行われ、2つの講演と49の報告が行われました。日本全国から数百名の研究者および実務者が参加し、闊達な議論が交わされました。
11月7日、自由論題の「アジアの金融」セッションにて、JBIC外国審査部長の増田篤が、「インドネシア経済:世界金融危機の波及と政策対応」と題して報告を行いました。
この報告では、まず、金融危機のインパクトがインドネシア経済に与えた影響について、為替、株式、債券、貿易、消費者物価等のデータを踏まえて提示しました。
次に、インドネシア経済に及んだ市場ストレスの波及の原因について、5つの仮説((1)外資の流出、(2)預金の動向、(3)実質為替レートの調整プロセス、(4)金融資産の銀行集中の弊害、(5)為替レート・ボラティリティの「長期記憶性」)について、妥当性の検討結果を説明しました。
さらに、インドネシア政府の危機対応策について、景気刺激策の政策効果をVAR(Vector Auto Regression: 多変量自己回帰)モデルにより推計をし、その結果を発表しました。
最後に、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、JBICが参加して実現した危機対応の金融支援パッケージについて解説をしました。JBICの支援実施のための協定が2009年4月に締結され、この協定に基づき、インドネシア政府が発行するサムライ債にJBICが保証を行なったことは、JBICが実施する「市場アクセス支援ファシリティ(Market Access Support Facility、MASF)」の適用第1号として危機対応策の先駆的ケースとの意義を有する点を説明しました。
報告後、座長である広島大学 矢野順治教授や、討論者の慶應義塾大学 吉野直行教授を始め、参加者から活発な質疑がなされました。今回の危機波及に対応した新しい金融支援の実施内容を踏まえた、インドネシア経済の分析である点等が評価されました。
JBICは今後も引続き、日本および国際経済社会の健全な発展に向けて、融資・保証等を通じた業務に取組むと同時に、国際経済に関する種々の問題についても理論的な分析を行い、日本金融学会等さまざまな場を通じて対外的に発表していきます。