シンガポール国際水週間(SIWW2010)で講演

環境 , ナレッジ提供

2010年6月28日(月曜日)~7月2日(金曜日)に、第3回シンガポール国際水週間(Singapore International Water Week: SIWW2010)がシンガポールで開催されました。

SIWW2010では、水に関する各種フォーラムやネットワーキング・イベントなどが開催され、展示会(Water Expo)には40カ国・地域から500社以上が出展するなど(うち日本パビリオンには16団体が参加)、会期中85カ国・地域より総勢1万4千名の参加者がありました。参加者数は前回(SIWW2009)より約4割多く、会期中に発表された水関連の商談成約額や研究開発投資額などの総額は、前年比27%増の28億シンガポール・ドル(約1,800億円)に達するなど、規模・内容ともに大きな進展が見られました。

国際協力銀行(JBIC)からは、経営責任者の渡辺博史、取締役の星文雄、環境ビジネス支援室長の本郷尚などが参加し、以下の各種イベントで講演などを行いました。

ウォーター・リーダーズ・サミット

【写真】  JBIC渡辺のスピーチ

ハイレベル会合「ウォーター・リーダーズ・サミット」では、国連「水と衛生に関する諮問委員会」議長のオランダのウィリアム・アレキサンダー皇太子殿下(オレンジ公)をはじめ、国際機関、各国・地方政府、グローバル企業などから379名が参加しました。マー・ボウタン シンガポール国家発展大臣は、開会の挨拶において、都市化の進展で水インフラ需要が急増しており都市の持続可能な成長のためには環境と開発の調和が必要であること、そのため本年のSIWWはWorld City Summitと同時開催になったことなどを述べられました。

水資源マネジメント、水処理技術、水関連金融をテーマとした3つのパネルセッションも開催され、JBICからは、経営責任者の渡辺が金融をテーマとしたRoundtable 3(Sound Financing Strategies and Affordability of Water)に参加しました。渡辺は、同セッションにおけるスピーチで、水インフラ事業における金融の役割、課題を紹介した上、水は、人の健康(Health)に関わる基本的な社会インフラであり、環境改善・生活向上のための人々の希望(Hope)でもあり、またビジネスの機会(Opportunity)へと繋がるべきものである。このことは水の分子式H2O(”Health”、”Hope”、”Opportunity”)に象徴されている、など述べました。それに続くパネルディスカッションでは、長期・巨額となることなど水事業の金融についての特徴やそれらの克服へ向けての取組み、また、貧困層でも水道サービスが受けられるための価格設定や事業の仕組みづくりなど水事業の公共政策的側面について指摘しました。

ビジネスフォーラム

「中東・北アフリカ」、「中国」など、8つの地域・国に分けて開催されるビジネスフォーラムでは、それぞれの地域・国における水関連事業の現状などについて議論されました。JBICからは、「日本ビジネスフォーラム」と「インドビジネスフォーラム」において情報発信しました。

日本ビジネスフォーラム

【写真】  JBIC星のスピーチ
【写真】  パネルディスカッション

30日(水曜日)に開催された「日本ビジネスフォーラム」(主催:シンガポール公益事業庁(PUB)、特定非営利活動法人日本水フォーラム)では、日本のグローバルな水戦略などについて議論されました。民間企業に加え政府や自治体からの発信もあり、官民一体で取り組む姿勢とその重要性が強調されたイベントとなりました。

前半のスピーチセッションでは、経済産業省大臣官房審議官(戦略輸出担当)市川雅一氏、旭化成ケミカルズ株式会社膜・水処理技術事業部マイクロユーザ事業統括部長森吉彦氏、JBIC取締役の星の3名が、官・民・金融セクター、それぞれの立場から、水関連事業への取組みや問題意識、官民協力の重要性等について講演しました。

星は、海外水インフラ事業においては、官・民・金融セクターが連携する「パブリック・プライベート・ファイナンシャル・パートナーシップ(PPFP)」が重要であるとし、本年3月末に新たに導入されたJBICの地球環境保全業務(GREEN)を通じて、海外水インフラ事業への支援の準備があることを表明しました。また、現地通貨建ての長期資金が必要とされることや、地方政府リスクを取ることの困難さといった、海外水インフラ事業の課題を指摘した上で、こうした課題に対処するためには、日本の政府・自治体・企業間の協力関係に加え、国際機関やローカル・パートナーなどとの協力関係も重要である旨述べました。

後半のパネルセッションでは、グローバルウォータージャパン代表/水の安全保障戦略機構技術普及委員会委員長の吉村和就氏と、シンガポール国際事業庁副CEOチュア・テイク・ヒム氏による共同司会の下、旭化成ケミカルズ株式会社、海外水循環システム協議会、国土交通省、東京都水道局、厚生労働省、JBIC環境ビジネス支援室長の本郷、アジア・太平洋水フォーラム執行審議会副議長ラビ・ナラヤナン氏、及びハイフラックス社オリビア・ラムCEOが、それぞれの立場から水インフラ事業への取組みの課題などを議論しました。本郷からは、水インフラ事業においては、再生水を含む水の効率的な利用と、水の供給には大量のエネルギーを消費するためエネルギー効率改善が重要であるため、「Water Efficiency」を日本のセールスポイントにしてはどうかと提案しました。また本郷は、投資拡大のためには水インフラ投資についての二次市場作りが重要と指摘しました。海外の企業からは、水関連事業における日本の技術的な強みとファイナンスに期待するなどのコメントがありました。

インドビジネスフォーラム

インドビジネスフォーラムでは、人口増加・経済発展で今後急速に水需要が高まることが予想されるインドでの水インフラ事業の課題や可能性、さらにはインド市場の魅力につき、同国の電力大臣、環境大臣などを歴任したシュレシュ・プラブ・インド水問題大使などが参加して議論されました。CEO Roundtableと題したパネルセッションでは、インド水産業委員会のサンジーブシャンダ委員長(ペプシコインド社長)、アジア開発銀行のアナンド・チプルンカー氏、CH2M Hill社ニール・レイノルズ副社長などとともに、JBIC本郷がパネリストとして参加しました。本郷は、水インフラ事業では貧困などの社会問題と民活によるビジネスとのバランスが重要であり、他方で社会問題対策のコストを民間投資家が負担するのでは投資が成立しなくなるので、投資企業のコストリカバリーを確保することが必要と説明しました。また具体的な事業においては事業で重要な役割を果たす地方自治体のリスクを極小化する工夫も必要と述べました。

新興国における人口増加や、経済成長が続く中、また地球規模の気候変動による水循環システムへの影響が懸念される中、世界の水関連インフラ整備の需要は高まっています。水インフラの分野では、日本の高度な技術力や運営ノウハウが大きなビジネスチャンスに繋がり、また環境改善に貢献することが期待されます。2010年6月に日本政府が策定した「新成長戦略」においても、水は都市交通・エネルギーなどと並び、日本が官民協力して積極的に海外展開を図る分野として明記されています。

JBICは、これまで培った独立系発電事業(IPP)等の民活ファイナンスのノウハウを活かし、海外水インフラ事業に対する金融面での支援を継続していく予定です。

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