JBIC・タイ財政政策研究所共催セミナー「グローバル経済と金融市場 ~2011年の展望~」を開催


【写真】  会場の様子

国際協力銀行(JBIC)とタイ財政政策研究所(FPRI:タイ財務省傘下の政策シンクタンク)は、2月8日、バンコク市内にて「グローバル経済と金融市場 ~2011年の展望~」セミナーを共催しました。

金融危機後のグローバル経済のけん引役として、タイを含めた新興国が注目を集める一方、新興国への資金流入等を背景としたインフレなどの懸念が高まっています。東南アジア最大の輸出立国であるタイは、グローバル経済や世界的な金融市場の動向の影響を受け易く、その見通しを十分に踏まえながら産業政策や企業行動の舵取りをしていく必要があります。このような状況を踏まえ、JBICは、FPRIと共催で、「グローバル経済と金融市場~2011年の展望~」をテーマとしたセミナーを開催しました。本セミナーには、日タイ双方の、政府・政府機関、大学、金融機関、企業などから約170名が参加しました。

セミナーでは、冒頭、小島在タイ日本国大使館特命全権大使により開催挨拶がなされました。挨拶の中で小島大使は、2011年も3~4%レベルでの安定した経済成長が見込まれているものの、世界経済は相互連関・相互依存を強めており、各国単位でのコントロールは限界があることや、資金フローの不安定性などについて述べ、グローバル経済全体を見据えた上でタイ経済を考えていくことが重要であることを述べました。

続いて各プレゼンターより以下のプレゼンテーションがなされました。

プラサーン・タイ中央銀行総裁

プラサーン総裁は、タイを始めとするアジア諸国は近年著しい経済成長を遂げているとした上で、今後、タイは、経済成長を伸長するための明確な国家開発戦略が必要であり、その戦略を成功に導くために、外国からの安定的な投資、ノウハウの蓄積やハイレベル技術の移転、生産性の向上が必要であると述べました。その上で、現時点での主なリスクファクターはアジア外からの大量かつ急激な資本流入であり、タイ中銀はかかる外部環境を注視すると共に、このような資本フローに適切に対処するために、中銀の策定する資金フローマスタープランの改善や、金融ヘッジ手段の有効活用、民間セクターの為替管理能力の向上が重要と述べました。中銀としては、物価の安定化に注力することで、金融インフラ面の安定に努め、民間セクターの活動を支えていくとの発言がなされました。

ナロンチャイ・MFC Asset Management会長/タイ輸銀元会長

ナロンチャイ会長は、今までのグローバル時代を、第一期(1800年~1945年;西側諸国主導の時代)及び第二期(1945年~2008年;西側諸国+日本主導の時代)と定義した上で、2008・09年の国際金融危機を契機にアジアやBRICsなど新興国が世界経済の牽引力になり、世界の構図が変化しつつあることを説明しました。その上で、2011年の世界経済、特に西側諸国の経済は不安定である中、タイが2011年も引き続き安定的な経済成長を遂げるためには、タイ国内の格差問題を解決し国内を安定化させる政策が重要であり、また同時に、貿易・投資に関しFTA(自由貿易協定)/RTA(地域貿易協定)スキームを更に利用することが必要と述べました。

伊藤隆敏・東京大学大学院教授

伊藤教授は、最近の米サブプライム金融危機、欧州金融危機等について説明を行い、その教訓並びに結論として、近年の金融危機は先進国・新興国共に免疫がなかったこと、管理為替制の新興国は慎重に資本自由化を進めるべきであること、資本自由化を行った場合には金融監督を強化すべきこと、短期外部負債に対する外貨準備比率は高い水準(1以上)を維持すること、平常時には財政収支、国際収支を黒字にしておくことが重要であると述べました。

渡辺博史・JBIC経営責任者 

【写真】  JBIC渡辺

JBIC渡辺は、国際金融市場や世界経済の現状について述べ、今後、世界経済はアジアを中心とする新興国が牽引していくことになるとした上で、アジアにお ける将来のインフラ投資の特長としては、時間・地域共にシームレスな投資になること、クロスボーダーの地域プロジェクトとなること、小国や最貧民にも配慮 した包括的思考が必要であること、環境に配慮したものであることを述べました。その上で、アジア地域の質の高い経済成長の実現のため、都市交通、農業セク ターの生産性向上、環境に配慮した発電、教育投資等が重要であると述べました。

そのような状況を踏まえ、JBICとしては、4つのミッション((1)日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進、(2)日本の産業の国際競争力の 維持及び向上、(3)地球温暖化防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、(4)国際金融秩序の混乱への対処)に即しながら、再生エネルギー、高効率発電、都市交通などの分野を中心に積極的に支援を行っていきたいとの説明がありました。

討論・質疑応答

【写真】  討論の様子

最後に、カニット・タイ財政政策研究所所長の司会により4名の講演者とセミナー参加者も交えて討論・質疑応答を行いました。

討論のなかで、プラサーン・タイ中央銀行総裁からは、過去2年間の力強い景気回復を持続させるために、インフレを適切なレベルに抑えるべく為替水準・資本流入の管理及び対外投資の促進などといった複合的な施策を進めたいとの発言がありました。

また、JBIC渡辺は、2010年4月にJBICの業務に加わった「地球環境保全業務」、通称「GREEN」(Global action for Reconciling Economic growth and ENvironmental preservation)の概要を説明すると共に、JBICの公的金融機関としての出資・保証機能を積極的に活用し、民間資金を最大限動員してアジア向けインフラ案件などを支援していきたいとの発言がありました。

JBICは、引き続き国内外の政府・政府機関・企業・金融機関などとの連携を積極的に進め、日本のビジネスと開発途上国のニーズに応える具体的な貢献を行うよう努めていきます。

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