JBIC‐ICRIER共催コンファレンス「日印グローバル・パートナーシップ推進の好機 ― インフラストラクチャー、環境、ファイナンス」


【写真】  左から、モンテック・アルワリア国家計画委員会副委員長、パルトサラティ・ショームICRIER所長、JBIC経営責任者 渡辺

日印両国は、インド国内の親日感情にも支えられて、長年にわたる友好関係を維持しています。特に近年では、2000年の森首相(当時)訪印を契機として、さらなる関係強化の機運が高まり、2005年以降は毎年、首脳会談が行なわれています。2006年のマンモハン・シン首相来日時には「戦略的グローバル・パートナーシップ」の構築に合意しました。2010年10月のシン首相来日に際しては、菅首相との間で、「次なる10年に向けた日印戦略的グローバル・パートナーシップのビジョン」と題する共同声明や日印包括的経済連携協定(CEPA)の交渉完了を確認する共同声明が署名されています。

国際協力銀行(JBIC)は、10月の首脳会談に先立つ9月中旬、インドのニューデリーにおいて、インド国際経済関係研究所(ICRIER)と共催で、「日印グローバル・パートナーシップ推進の好機 ―インフラストラクチャー、環境、ファイナンス」と題するコンファレンスを開催しました。当コンファレンスは、「JBICアジア パートナーシップ フォーラム」プログラムの一環として開催したもので、財団法人 国際金融情報センター(JCIF)の協力、財務省財務総合政策研究所の後援を得ました。

今回のコンファレンスは、セミナー(13日)とワーキングセッション(14日)で構成され、持続的成長を実現するために重要な3つの分野(インフラストラクチャー、環境、ファイナンス)に焦点を当てました。日本とインドの産学官から幅広く、セミナーには約120名、ワーキングセッションには約50名の参加者を得て、両国がそれぞれの強みと比較優位を活かして、経済的な相互補完関係を深め、「相乗的な成長戦略」を追及するための課題について議論しました。

セミナー:開会セッション

【写真】  歓迎挨拶を行なうJBIC渡辺

冒頭、ICRIERのパルトサラティ・ショーム所長は、開会の辞の中で、日本とインドが経済的な相互補完関係を活用することの意義を強調すると共に、今回のコンファレンスを出発点として、両国の産学官関係者が政策対話に積極的に参加することを期待すると述べました。

これに続く歓迎挨拶では、JBIC経営責任者の渡辺が、日本とインドの経済関係強化は、世界経済の動きの中で益々大きな意味をもつとした上で、両国の協力関係から成果が期待される分野のひとつとして、持続可能なインフラの開発を挙げました。

国家計画委員会*1のモンテック・アルワリア副委員長は、基調講演の中で、官民連携(Public-Private Partnerships)を活用したインドにおけるインフラ開発は、日本が参画する多くの機会を提供すると述べた上で、インフラ整備は環境保全と両立すべきであり、日本の協力が極めて重要である点を強調しました。

【写真】 左:基調講演を行うモンテック・アルワリア国家計画委員会副委員長、右:セミナーの聴衆、メインテーブルの左から3人目にイシャ・アルワリアICRIER会長、その右隣に榊原英資教授、水沼正剛J-Power取締役

セミナー:パネルディスカッション

【写真】  パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションでは、(1)ビジネス環境に関する認識ギャップが日本からの投資を妨げているか、(2)日本のビジネス界には、より具体的な期待や要望はあるか、(3)インドでのビジネスを巡る諸外国との競争について、日本側はどのように捉えているか、(4)日印それぞれの強み、比較優位を前提にすれば、我々はどのような成果を得ることができるのか、という論点を中心に議論を行ないました。

パネリストは、日印間の経済交流緊密化を支持するとの姿勢で一致し、両国にとって互恵の機会であることを強調しました。また、世界経済の危機を契機として、両国の経済関係深化の必然性が一層強く認識されるに至ったとの指摘がありました。

さらに、インドにおける環境保全と両立するインフラ開発(“green infrastructure development”)は、日本の経済再活性化戦略とインドの持続的経済成長という喫緊の課題とが、相乗的に成果を上げうる分野であることが強調されました。

しかし、他方で、インドのビジネス環境に対する認識ギャップが根強いという現実があることも理解されました。パネルセッションでは、ビジネス環境に対する懸念や不安の中には、もっともな根拠があるものがある一方、日本の投資家のリスク回避姿勢も障害のひとつではないかとの率直な指摘もありました。前進の余地は大きいため、両国のすべての関係当事者が定期的に対話することが提案され、コンセンサスとなりました。

パネルディスカッションの中で、JBICの渡辺は、インドにおいて環境への影響を抑えつつインフラ開発を効率的に推進するため、JBICはグリーンプログラムを含め、様々な業務によりニーズに応える用意があることを強調しました。また、これまでインドにおける日本企業のビジネスを支援してきた実績を紹介しました。さらに、ビジネス環境に対する認識ギャップがあることから、政府機関であるJBICとしては、両国関係者が対話を続けるチャネルを設けることや、両国政府と連携して認識ギャップの解消に貢献したいとの考えを明らかにしました。

ワーキングセッション

14日のワーキングセッションでは、4つのテーマ別セッションで、日印両国の産学官関係者が議論を行ないました。

セッション1:日本の中長期経済戦略とインド経済の中長期展望

【写真】  セッション1の報告者ほか

チェア:サンジャヤ・バル氏 (ビジネススタンダード新聞 編集長)

リードディスカッサント:幸田 円氏 (国際金融情報センターアジア第3部 主任研究員)

セッション2:インドにおける喫緊の課題としてのインフラ整備

【写真】  セッション2の報告者ほか

チェア:西沢 利郎氏 (国際金融情報センターアジア第2部 部長)

リードディスカッサント:パルタ・ムコパジャヤイ氏 (政策研究センター 上級研究員)

セッション3:インドにおける金融自由化の将来

【写真】  セッション3の報告者ほか

チェア:S.ナラヤン氏 (アジア研究センター所長、元首相経済顧問)

リードディスカッサント:K.P.クリシュナン氏 (首相経済顧問府事務局長)

セッション4:低炭素経済に向けた日印連携

チェア:キリット・パリク氏 (IRADe 会長*3、元国家計画委員会委員)

リードディスカッサント:ミータ・ケスワニ・メーラ氏 (ジャワハルラル・ネルー大学国際貿易開発研究所 准教授)

  • 報告1:内田 俊博氏 (中京大学経済学部 准教授)
    「低炭素経済に向けた日印連携:日本の視点 -India-Japan Partnership towards a Low-Carbon Economy: An Indian perspective-」(サマリープレゼン資料)(英文資料)
  • 報告2:アパルナ・ソネイ氏 (ジャワハルラル・ネルー大学国際貿易開発研究所 准教授)
    「低炭素経済に向けた日印連携:インドの視点」(サマリープレゼン資料)(英文資料) 
  • 議論の要旨(英文資料)
【写真】 左:セッション4の報告者ほか、右:閉会に際して謝辞を述べるJBICニューデリー首席駐在員の木村 
注釈
  1. *1 インド政府内で首相閣僚会議の下に設けられ、首相が委員長を務める委員会。
  2. *2 2010年10月から、インド商工会議所連合会(FICCI)事務総長。
  3. *3 Integrated Research and Action for Development

 

ページの先頭へ