「ムーディーズ・アナリティックス・ワークショップ」に参加


  ポリティカル・リスクについて講演を行う
外国審査部 古高参事役

株式会社国際協力銀行(JBIC)外国審査部参事役 古高輝顕は、2016年11月11日、ムーディーズ・アナリティックス・ジャパン株式会社が主催する「ムーディーズ・アナリティックス・ワークショップ カントリーリスク評価における様々なアプローチ」に参加し、「ポリティカル・リスクの審査手法」をテーマに講演を行いました。

本会議は、カントリーリスク審査の専門家がそれぞれポリティカル・リスクの審査手法、ソブリン格付手法、信用リスク管理について講演を行い、意見交換を行う場として開催されました。会場には、金融機関や保険機関、研究機関等から約50名の参加者が集い、各講演後には、活発な質疑応答が行われました。

JBICにてポリティカル・リスクの審査を担当している外国審査部の古高は、講演にてまず、クロスボーダー案件審査における「ポリティカル・リスク」の定義づけを行いました。政府の債務支払能力に基づくソブリン・リスクはその定義が確立されている一方で、ポリティカル・リスクには確立した定義はないものの、国際的な業務を行う金融機関、保険機関を対象として、ここでは、「非ソブリン向けの融資・保証・出資等において、プロジェクトが所在する国等に起因して、プロジェクト当事者が、その債務支払意思や支払能力に関わらず、債務不履行に陥るリスク」とポリティカル・リスクを定義づけました。

その上で、ポリティカル・リスクの審査については、欧米の国際的な金融機関、保険会社へのヒアリング結果も紹介しつつ、その手法・指標は標準化されていない一方、ソブリン・リスクとは異なり、外貨交換・送金規制、収用・国有化、政治的暴力(戦争・テロなど)といった個別リスクの性質に応じたプロジェクトベースでの分析の必要性を述べました。また、欧米の国際的な金融機関、保険会社などにおける一般的な社内のポリティカル・リスクの審査体制も紹介しました。

次いで、プロジェクトにおけるポリティカル・リスクを分析の切り口として、「外貨交換・送金規制リスク」を例としてとりあげ、対象となる国でポリティカル・リスク(例えば外貨交換・送金リスク)が発生する蓋然性を分析する「発現可能性分析」と当該プロジェクトにおいてポリティカル・リスクの緩和されている程度(例えばエスクロー口座)を分析する「ヘッジ分析」の二つに分け、前者については経済面・制度面・政策面等、後者については紛争解決枠組とリスクコントロール面から、リスクの程度を総合的に分析するアプローチを説明しました。また、対象となる国が外国投資をどう位置づけるかを評価するにあたり、外国への経済依存度の高さ、国際的な投資協定や貿易協定に対するコミットメントの強さ、対象となる国の統治体制・ガバナンスなどから、当該国における外国投資への基本的な志向性を判断すること、「事情の変更」によりポリティカル・リスクが発生することを踏まえた分析など、ポリティカル・リスク発生の蓋然性分析のヒントを説明しました。

最後に「外貨交換・送金リスク」「収用・国有化リスク」「政治的暴力のリスク」「政府の契約不履行リスク」のそれぞれにつき、どのような点に着目してリスク分析を行うのか、具体的なリスク発生の事例にも言及しつつ、個別に説明し、講演を締めくくりました。

JBICは今後も、このようなセミナーでの講演等を通じ、国際経済・金融に関する様々な情報発信・提供を行って参ります。

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