わが社の海外展開大阪府守口市 大宝工業株式会社
大型射出成形でプラズマテレビ・プリンター部品などを生産

東南アジア、欧州でグローバル展開

大宝工業株式会社は、射出成形・加工技術を基盤に、家電製品、映像・音響機器、情報関連機器、自動車に使用されるプラスチック部品を大手メーカーに幅広く供給しています。

海外展開では、1979年にシンガポールに製造拠点を設立して以来、マレーシア、フィリピン、チェコ、インドネシア、中国などに相次いで進出し、2006年にはタイに現地生産拠点を設けました。


【写真】國友省爾社長

「会社は社員のもの」であり、私はその代表にすぎません。「人も金も自前で」経営を行い、技術の伝承に努めてきたことが、今日の発展につながりました。

國友 省爾 社長

独自の物作りを全世界で実践



社内では指を1本立てて挨拶

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主要製品

大宝工業グループは、海外6カ国に生産拠点をもつ国際企業です。

「当社の経営の基本は、日本の物作りの思想です。生産技術を磨き、品質を向上し、コスト競争力を高めることで発展してきました。当社は『心はひとつ』を合言葉に、標準化(誰もがつくれる作業と環境の整備)、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)、小集団活動などを、海外でもそのまま実践してきました」と國友省爾代表取締役社長は語ります。そこで、國友社長が物作りのマザー工場に位置づける最新鋭の湖南工場(滋賀県湖南市)を訪ねました。

「この工場では、プラズマテレビやエアコンの室内機の大型外装パネルなどを生産しています。設備の整備はもとより、作業台や部品供給ケースなども自分たちで一番使いやすい形を工夫して自作しています」と阿南憲重工場長は説明してくれました。

58インチプラズマテレビのパネルは2人がかりでないと持てないほど大きな部品ですが、数千トンの圧力で一気に射出成形されます。その金型も巨大で、できた製品を素早く冷却するノウハウも同社のオリジナル特許となっています。

塗装、組立、印刷などの二次工程では、南米からの派遣社員が数多く働いており、そばを通るたびに指を1本立てて笑顔で挨拶してくれます。指を立てるのは「1人前、1流、1番」をあらわすもので、大宝工業グループ全世界の工場の共通語です。始業前にサンバを流し準備体操への参加を促したり、茶話会や盆踊り大会などで交流を深める機会を設けたりすることで、大宝工業に対する愛着を深めてもらうように努めてきた結果、高品質な製品づくりが可能になりました。

ラインの脇にはメンバー表や作業目標などがカラフルに掲示されていて、各人の習熟状況も一目でわかります。“埋蔵金”と書かれたmy雑巾も並んでいて、5Sの実践も創意と工夫で行われています。

「主要取引先である松下グループを手本にして改善に取り組んできましたが、今では、『松下以上に松下的だ』とおほめいただいています」と國友社長は胸を張ります。

大型成形、高品質、コスト競争力を強みに


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チェコ工場

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タイ新工場

大宝工業は、1937年の創業から70周年を迎えました。湖南工場の歴史館には、戦前の航空機用合成樹脂成形品に始まり、1951年に射出成形事業を開始し、洗濯機部品が三種の神器ブームに乗って、群馬、鳥取、滋賀と工場を建設してきた歴史が紹介されています。

その後、ラジカセ、VTR、テレビなど映像・音響機器に進出し、松下電器産業向けの取引が急拡大していきました。「高品質、コスト競争力」を磨き、大型射出成形技術を究め、松下グループだけでなく、エアコンやプリンターをはじめ、トップメーカーとの取引が多いことが成長の秘密です。

1979年、日本メーカーの海外生産移管に対応して、大宝工業は初の海外製造拠点をシンガポールに設立し、マレーシア、フィリピン、チェコ、インドネシア、中国へと生産拠点を広げてきました。その間、ブラウン管がプラズマや液晶に変わったように、大きなイノベーションがありましたが、大宝工業グループは常に最先端技術に応えてきました。

特に、大型プラズマテレビのプラスチック部品を量産できる企業は少なく、松下電器産業のチェコでの生産においても進出要請を受け、2000年にDaiho Czech s.r.oを設立しました。この事業資金として国際協力銀行(JBIC)が融資しています。

「社会主義でしたから手厚い保障制度もあって、当初は労働意欲に乏しい面もありました。『力を合わせて競争力をつけないとEU社会で生き残れない』と幹部が説得し、率先垂範で実践を進めたことで、見違えるように生産性が高まりました。当社は中小企業ながらグローバル企業をめざしており、日本人社員の2割は海外に出したいし、現地の幹部社員の育成に力を入れています。今では、マレーシアで問題が起きるとフィリピンの現地幹部が応援に行くなど、人材が育ってきたのがうれしいですね」(國友社長)

東南アジアでは、家電製品向けとともにプリンター部品などを製造しています。最近の話題として、日本の大手情報機器メーカーの世界戦略の一環として、ある日系企業のタイ法人が高機能複合機の委託生産を始めることになりました。この会社から大宝工業に協力依頼があり、タイでキャビネット部品を供給するために、2005年にDaiho Industrial (Thailand) Ltd.を設立し、2006年から操業を開始しています。JBICはタイでの事業に対しても融資を行っています。ちなみに、供給先となる日系企業に対しても、JBICは融資しています。

先を見る眼で新たな戦略


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阿南憲重工場長

「当社の強みは、『人も金も自前』であることです。コーポレートガバナンスでいえば『会社は社員のもの』であり、私はその代表にすぎないと思っています。上場という道もありますが、当社は社員・役員で株式の37%を保有しており、系列にしばられないで独自経営を行っています。

国内では、1996年から大宝関東、大宝関西、大宝九州などを分社してきましたが、海外会社を含めて、それぞれが自立した経営を行うことが大事です。また、ハイテク製品は動きが激しいだけに、常にスクラップ&ビルドを推進しています。重要なのは先を見る眼であり、欧州ではチェコに続く拠点づくり、東南アジアではベトナムやインドへの進出などを検討するように担当役員に伝えています。そして、世界のマザー工場である湖南工場を仕上げ、次なる技術開発を進めることも最重要に考えています」

國友社長は、週に4日は湖南工場に詰め、作業服で社員と一緒に働いています。

先を見る眼は技術開発にも向けられ、環境調和型技術として回収プラスチックの冷蔵庫へのリユースを進め、紙繊維を使ったパルプ射出成形の国際特許を確立し、薬品ケースやCDケースへの利用などをめざしています。

事業の拡大・再編に継続的な支援を

JBICの融資支援に対して、國友社長は「チェコ、タイ進出に際して、長期・安定的な資金調達が可能になったことに大変感謝しています。特に、日本企業の進出が少ないチェコで、豊富な情報と実践的な知識・ノウハウを提供していただいたことがありがたかったですね。ハイテク製品部品を担当する当社は、常に欧州・東南アジアでの事業の拡大と再編を進めていく必要がありますし、今後、自動車部品なども強化したいと思っています。JBICには、現地通貨建てでの長期・安定的な融資メニューなどをご提案いただければと期待しています」と語っています。

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