エクイティファイナンス部門

部門長メッセージ

2016年度は、10月1日にエクイティファイナンス部門およびエクイティ・インベストメント部を新設し、JBICの出資機能強化に向けた節目の年となりました。

これまでも、海外において事業を行う日本企業の出資法人や、日本企業等が中核的役割を担うファンド等に対する出資に取り組んでまいりましたが、日本の成長戦略の柱の1つである海外の成長市場取り込みにおいて、その重要性が増しているリスクマネー供給強化に対応すべく、出資業務を専門的に取り扱う部門の設置による体制強化を図りました。

エクイティファイナンス部門立上げ以降、JBICによるリスクマネーの供給に対する期待は益々高まっていると実感しており、日本企業の海外における経済活動のさらなる拡大に貢献できるよう、出資というツールを通じて、引き続き日本企業の海外展開を積極的に支援してまいります。

エクイティファイナンス部門長 藤野 真司(常務執行役員)

 

事業環境と重点課題

エクイティファイナンス部門およびエクイティ・インベストメント部の新設

JBICは、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(2013年1月11日閣議決定)を踏まえ、2013年2月に「海外展開支援出資ファシリティ」を創設しました。本ファシリティは、JBICの出資機能を活用したリスクマネー供給を通じ、日本企業の海外展開を支援することを以って、日本企業の海外における経済活動のさらなる拡大やグローバル経済の成長力を日本に取り込み、日本の成長に結びつけることを目指すものです。本ファシリティにおける実績は、2017年6月までに、総額約1,459億円、20件に上っています。

2016年度の日本の経常収支黒字額は20兆円を超え、特に経常収支に占める海外投資資産からの配当等を反映した第一次所得収支は18兆円超と引き続き高水準で推移しています。また、2016年の日本の対外直接投資(暦年、ネット)も18兆円超と過去最高を記録しており、この背景には引き続き活発な日本企業の海外企業に対するクロスボーダーM&Aがあります。2016年のクロスボーダーM&Aの案件数は636件と過去最高を記録しています(出典:(株)レコフ)。

このように、日本から海外への投資が一層進んでおり、同時に、新興国を中心に世界の市場が急速な勢いで拡大を続ける中、日本企業は、熾烈な海外市場の獲得競争に晒されています。収益基盤の多様化や企業価値の持続的成長を視野に海外事業展開を積極的に行う日本企業にとっては、地政学リスクが高まる新興国向けを中心とした長期のリスクマネーのアレンジや、進出国におけるポリティカルリスクの軽減等が、戦略上非常に重要なテーマとなっています。

JBICは、エクイティファイナンス部門の立上げを踏まえ、2017年1月に中期経営計画(平成27~29年度)を一部改訂し、「出資によるリスクマネー供給強化」を、重点取組課題の一つとして掲げました。エクイティファイナンス部門およびエクイティ・インベストメント部という出資業務の専門部署の新設は、リスクマネーの供給を強化し、日本企業の海外における事業展開をより一層支援していくことを目指すものです。

JBICは、これまで培ってきた外国政府等とのリレーションや公的金融機関としての立場を活かし、長期のリスクマネー供給を通じて、日本企業の進出国におけるポリティカルリスク緩和機能を発揮しつつ、日本企業の海外事業展開を支援していきます。

 

JBICの取り組み

出資案件への取り組み

プロジェクトサイトのあるインド・グジャラート州政府と業務協力のためのMOUを締結(2017年1月)マンダル日本企業専用工業団地外観

JBICはこれまで多岐に渡る分野において、出資案件を手掛けてきました。

台湾における石油化学事業向け出資案件では、独自技術やノウハウを有する日本企業が台湾の有力企業と共同で行う石油化学製品の製造・販売事業において、新規の大規模プラント建設プロジェクトを推進するに際し、JBICがプロジェクトの初期段階から関与することで、案件形成を支援しました。

また、インフラ分野においては、中東・北アフリカ・アジア地域等で高いプレゼンスを誇る水事業会社に対する日本企業の出資参画を支援したほか、欧州市場を中心に成長が期待される再生可能エネルギー分野において、日本企業とデンマーク企業間の大型洋上風車製造における技術開発・商業化を支援しました。

2016年度においても、日本企業が実施するインド(グジャラート州)のマンダル日本企業専用工業団地運営事業向けに出資承諾を行いました。本事業は、工業団地内に用地を確保し、中堅・中小企業を含む日系企業向けに貸工場や各種インフラサービスを提供する事業です。インドに投資する日本企業が直面する、基礎インフラの未整備や許認可取得等の煩雑さといった課題に対しても、側面支援を行うものであり、日印首脳が2014年9月に表明した「日印投資促進パートナーシップ(2014年9月)」にも沿ったものです。

加えて、JBICは「海外展開支援出資ファシリティ」を活用し、これまでにメキシコ、カナダ、米国等で事業展開する企業等を投資対象とするファンドへの出資や、ASEAN諸国等のマイクロファイナンス機関向け投融資を行うファンドへの出資等、ファンド向け出資の実績も積み重ねてきています。こうした個別事業やファンドに対する出資を通じて培った経験を今後の出資業務強化に向けて活用していきます。

 

今後に向けて

JBIC IG取締役および監査役

JBICは、2017年6月30日、(株)経営共創基盤(IGPI)と共同で(株)JBIC IG Partners(JBIC IG)を設立しました。JBIC IGの設立は、日本の政策金融機関として海外業務を遂行するJBICと、長期的・持続的な企業価値・事業価値の向上を目的としたハンズオン型成長支援の実績を有するIGPIが、それぞれの強みを活かすことで、海外向け投資ファンドに対する助言を行うことを目的としています。

今後は、JBIC IGの機能も活用しつつ、引き続き、日本企業の海外事業展開支援に際して、多様な出資手法の活用等を通じて案件組成支援を実施していきます。