- 地域: 大洋州
- 資源
- 投資金融
- 出資
2012年7月31日
- 株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田碩)は、本日、東京電力株式会社(以下「東京電力」)、三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)及び日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)(以上を総称し、以下「民間株主」)、並びにパンパシフィックエネルギー株式会社(民間株主及び独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が出資、以下「PE社」)との間で、総額273百万米ドル限度の議決権のないPE社の優先株式引受に係る契約を締結しました。また、これとは別に、東京電力及びPE社が出資する豪州法人PE Wheatstone Pty Ltd(以下「PEW」)との間でも、総額約1,927百万米ドル限度(JBIC分)の貸付契約を締結しました。本融資は、民間金融機関との協調融資によるものです。なお、本件は、JBICの「円高対応緊急ファシリティ」*1の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件であると共に、同ファシリティの下でのJBICによる初の出資案件となります。
- 本プロジェクトは、PEWが、米シェブロン、英蘭シェル、九州電力株式会社(以下「九州電力」)や他のスポンサーと共同で、西豪州北西部沖合鉱区のウィートストーン・イアゴガス田などから産出される天然ガスを西豪州アシュバートン・ノースに輸送し、年間890万トンの液化天然ガス(LNG)等を生産するプロジェクトです。
- 本出融資は、PEWがシェブロンから上流ガス田権益の10%を取得してガス田開発に参画すると共に、液化設備等の権益の8%を取得してLNGを生産するために必要な資金を供与するものです。これにより、PEWは権益保有分として年間約70万トンのLNGを引き取る権利を得ることとなり、全量東京電力が購入する予定です。また、東京電力は、別途、年間約350万トン*2のLNGを長期購入契約に基づき引き取る予定であり、権益保有分と合わせて年間約420万トンのLNGを本プロジェクトから引き取る計画です。なお、本出融資とは別に、JBICは2011年11月、九州電力の豪州現地法人に対しても、本プロジェクトへの参画に必要な資金を融資しており、九州電力は本プロジェクトから年間約83万トンのLNGを引き取る予定です*3。これら東京電力及び九州電力の引き取り分を含め、本プロジェクトから日本に供給されるLNGの総量は年間700万トン程度となる見込みです。
- 2011年3月の東日本大震災を受け、本プロジェクトに対し単独で参画することが困難となった東京電力の資金制約を踏まえ、民間企業及び民間金融機関のみでは拠出が困難である本プロジェクトへの参画資金及び開発資金の一部をJBICが出融資により拠出することで、官民一体で重要なエネルギー資源の確保を図るとともに、日本の電力安定供給に貢献するものです。
- 世界のLNG需要は、新興国での需要増や環境意識の高まり等から、今後も増加することが予想されています。日本にとっても、近年、LNGの安定調達への期待が一層高まる一方で、主要なLNG供給源である東南アジア諸国からの供給が、今後減少することが見込まれている他、その他の国々との長期購入契約についても順次更新時期を迎えており、埋蔵量が豊富且つ政治・経済情勢が安定している豪州のLNG供給国としての重要性は益々高まっています。こうした中、本プロジェクトは、日本へのLNGの安定供給確保の観点から重要な意義を有します。
- JBICは今後も、日本企業の天然ガスや原油などの権益取得や開発を積極的に支援し、日本のエネルギー安全保障に貢献していく所存です。
注釈
- *1 2011年9月22日付お知らせをご参照下さい。
- *2 東京電力の長期購入契約に基づく年間調達量の約2割に相当。
- *3 2011年11月14日付プレスリリースをご参照下さい。