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2013年6月5日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田 碩)は、4日、「海外展開支援融資ファシリティ」*1の一環として、ベトナム社会主義共和国法人Nghi Son Refinery and Petrochemical Limited Liability Company(以下「NSRP社」)との間で、ニソン(Nghi Son)製油所・石油化学コンプレックス建設プロジェクトを対象として、16.5億米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*2による貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、株式会社みずほコーポレート銀行及びその他民間金融機関等との協調融資によるもので、協調融資総額は50億米ドルです。これら民間金融機関等融資分に対しては、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)や他国輸出信用機関の保険または保証が提供されます。
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本プロジェクトは、出光興産株式会社、三井化学株式会社、オランダ王国法人Kuwait Petroleum Europe B.V.*3、ベトナム国営石油ガスグループ(Vietnam Oil and Gas Group (Petrovietnam)、略称:PVN)の出資により設立されたNSRP社が、ベトナム・タインホア省ニソン経済区において、製油所・石油化学コンプレックスを建設・運営し、ガソリン等の石油精製品とパラキシレン及びポリプロピレン等の石油化学製品を生産するものです。本件は、ベトナムにおける過去最大規模の石油精製・石油化学プロジェクトであり、同国が推進する社会・経済インフラ整備、産業の多角化、雇用創出等の促進に寄与することが期待されています。
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JBICが2012年度に実施した「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」*4において、ベトナムは中・長期的な有望事業展開先国の第5位に挙げられており、販売市場と生産拠点の両面で有望視されています。本件に参画する日本企業は、ベトナムにおける石油精製品及び石油化学製品マーケットへの参入を通じて、海外における事業基盤の拡大を企図しており、こうした取組みを支援することは、日本の石油精製・石油化学産業の国際競争力の維持及び向上に貢献するものです。
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ベトナム政府は、本プロジェクトを石油精製品の輸入代替プロジェクトとして、同国のエネルギー安全保障上の重要案件と位置付けています。本年は、日本とベトナムの外交関係樹立40周年の節目の年にあたるところ、日本の公的機関たるJBICが本プロジェクトを支援することは、相互理解に基づく日本と同国との関係の一層の深化にも資するものです。
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JBICは、今後も、日本の公的金融機関として、多様な金融ツールを活かした案件組成やリスクテイク機能を通じ、日本企業による海外インフラ事業に貢献し、日本の産業の国際競争力の維持・向上を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 2013年4月1日付お知らせをご参照下さい。
- *2 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのことです。
- *3 クウェート政府が100%出資するクウェート国営石油公社(Kuwait Petroleum Corporation)の子会社。
- *4 2012年12月7日付プレスリリースをご参照下さい。