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2013年11月1日
株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田 碩)は、本日、平成25年度第2四半期(7~9月)の業務概況について、以下の通り公表しました。なお、金融目的別の承諾額等については、別添資料をご参照下さい。
Ⅰ.出融資・保証業務
1.承諾状況
平成25年度第2四半期の出融資・保証承諾は、72件、6,317億円となりました。
2.実行・回収・残高状況
第2四半期の実行額は8,433億円、回収額は2,505億円であり、その結果、同期末残高は、出融資計12兆709億円、保証2兆4,059億円、合計14兆4,768億円となりました。
Ⅱ.主な取り組み
1.資源分野での取り組み
資源関連の取り組みとしては、開発中の豪州鉄鉱山の権益を日本企業が取得するために必要な資金を融資しました。
また、チリの銅鉱山から産出される銅精鉱を日本国内の精錬所に輸送すると共に、国内精錬所から副産される硫酸をチリに輸送するための鉱石・硫酸兼用船運行事業を支援しました。更に、ガーナ沖T.E.N.油田向け大水深対応FPSO*1傭船事業をプロジェクトファイナンスにより支援しました。
その他、ブラジルの資源メジャーVale S.A.との間では、日本の鉱物資源の確保及び安定供給等に資するプロジェクトの実現に向けた協議等を目的とする業務協力協定を、また、アラスカ州天然資源局との間では、アラスカ州が促進を期待する資源開発プロジェクト等に係る情報・意見交換を目的とする覚書をそれぞれ締結しました。
2.日本の産業の国際競争力の維持・向上への取り組み
(1)日本企業による海外M&Aを支援
「海外展開支援融資ファシリティ」の一環として、民間金融機関との間で締結済のM&Aクレジットラインの下、(株)キッツや日本軽金属(株)等の日本企業の海外M&A支援として、10件、計1,010百万米ドルの融資承諾を行いました。
また、「海外展開支援出資ファシリティ」の一環として、丸紅(株)の米国穀物等取扱大手Gavilon Agriculture Holdings, Co.の穀物・肥料販売事業買収を支援しました。
(2)中堅・中小企業の海外事業展開を支援
ゼネラル(株)のマレーシアにおけるOA関連製品の製造・販売事業や、ウラセ(株)のインドネシアにおける染色加工及び染色加工品販売事業といった日本の中堅・中小企業の海外事業展開を合計14件支援しました。
また、古山精機(株)のインドネシアでの二輪・四輪自動車部品の製造・販売事業向けに、初の中堅・中小企業向けインドネシア・ルピア建ての融資による支援を行いました。
日本の中堅・中小企業によるM&A案件の支援として、(株)エポック社の100%出資子会社が、中国玩具企業を買収するために必要な資金の一部を支援しました。
加えて、ベトナムのJoint Stock Commercial Bank for Investment and Development of Vietnam及びJoint Stock Commercial Bank for Foreign Trade of Vietnamとの間で、日本の地域金融機関を通じた中堅・中小企業のベトナムへの進出支援体制の整備に係る覚書をそれぞれ締結しました。
(3)現地通貨建て融資を通じて日本企業の海外事業展開を支援
タイでのトヨタフィナンシャルサービス(株)の現地法人による自動車販売金融事業をタイ・バーツ建てで、インドネシアでの田辺三菱製薬(株)の現地法人による医薬品の製造・販売事業及び住友電工焼結合金(株)の現地法人による自動車用焼結部品の製造・販売事業をインドネシア・ルピア建てで、また中国での帝人(株)の現地法人によるポリエステル製品のリサイクル及びリサイクルポリエステル繊維の製造・販売事業を人民元建てで支援しました。
(4)日本企業による海外インフラ事業展開を支援
インフラ分野では、オマーン国におけるアルグブラ海水淡水化プロジェクトをプロジェクトファイナンスにより支援しました。本件はJBICにとって、発電を含まない海水淡水化プロジェクト向け初のプロジェクトファイナンス案件です。
また、ベトナム国営石油グループに対して、蒸気タービン等設備一式を購入するために必要な資金をバイヤーズ・クレジットにて支援しました。
その他、ロシア極東及びバイカル地域のインフラプロジェクトにおける日本企業の貿易投資及び案件形成を支援するため、ロシア法人The Far East and Baikal Region Development Fundとの間で「極東・バイカルインフラ開発パートナーシップ」設立に係る業務協力協定を締結しました。
(5)日本企業による輸出支援
船舶輸出については、台湾法人U-Ming Marine Transport Corporation及びシンガポール系Berge Bulk グループのパナマ法人が、それぞれ日本の造船所で建造するばら積み船3隻及び大型鉱石運搬船1隻を購入するために必要な資金を融資しました。
機械・設備等の輸出については、トルクメニスタン国営化学会社が日本企業から硫酸製造プラント設備一式を購入するために必要な資金をバイヤーズ・クレジットにて支援しました。
また、トルクメニスタン国立対外経済関係銀行との間で、日本企業が輸出者として関与する同国でのプロジェクト等の実現に向けた協力等を目的とした業務協力に関する覚書を締結しました。
また、ロシアのズベルバンクとの間では、日本からの建設機械及びその他のインフラ関連設備、医療設備等の一般設備の購入に加え、再生可能エネルギー関連設備及び気候変動緩和セクター関連設備の購入も対象とした輸出クレジットラインを設定しています。
(6)ローカルバイヤーズ・クレジット*2による支援
香港を拠点とするPacific Basin Shipping Limitedとの間で、中型ばら積み貨物船2隻を日本の造船会社の海外現地法人から購入するための資金を対象とするローカルバイヤーズクレジットの貸付契約を締結しました。
また、ブラジル石油公社との間で、輸出クレジットライン及びローカル・バイヤーズ・クレジットラインを設定した他、コスタリカ銀行との間で、日本からの一般設備等の購入に加え、再生可能エネルギー関連設備や気候変動緩和セクター関連設備の購入も対象とする輸出クレジットライン及びローカル・バイヤーズ・クレジットラインを設定しました。
(7)サムライ債発行支援への取り組み
チュニジア中央銀行の第2次サムライ債(私募円建て外債)発行を支援する一方、メキシコの公募円建て外債の一部取得を通じてメキシコ政府の資金調達手段の多様化及びサムライ債市場の活性化に貢献しました。
その他、マレーシアの政府系投資会社である1Malaysia Development Berhadとの間で、サムライ債発行支援に関する覚書を締結しました。
3.環境関連分野への取り組み
地球環境保全業務(通称「GREEN」)の下、JBICは、トルコのデニズバンクとの間で再生可能エネルギー事業やエネルギー効率化事業を利用する環境関連事業を対象としたクレジットラインを設定した他、メキシコ国内の再生可能エネルギー及び省エネルギー事業を投資対象とするファンドに対する出資契約に調印しました。
注釈
- *1 FPSO:Floating Production Storage and Offloading Systemの略。浮体式の原油の一次処理 (井戸元より生産された原油から、随伴ガス、水を分離すること)・貯蔵・積出設備。
- *2 近年は、日本企業が機器を海外に販売する際に、日本からの輸出に限らず、第三国の日本企業の現地法人から直接海外の購入者に納品するケースも増えています。こうした取引を支援するため、JBICは、2013年2月より、日本企業の海外現地法人等による第三国への輸出や進出国での販売支援のための投資金融(「ローカル・バイヤーズ・クレジット」)の運用を開始しています。これは、日系現地法人等の生産・販売する財・サービスを購入する買主(バイヤー)に対する融資を通じて、日本企業の海外拠点での取引を支援することを目的としたものです。詳細については、2013年2月1日付お知らせをご参照下さい。