- 地域: 中東
- インフラ
- プロジェクトファイナンス
2013年12月13日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:奥田 碩)は、12日(ロンドン時間)、「海外展開支援融資ファシリティ」*1の一環として、住友商事株式会社等が設立したクウェート国法人SHAMAL AZ-ZOUR AL-OULA FOR THE BUILDING, EXECUTION, OPERATION, MANAGEMENT AND MAINTENANCE OF THE FIRST PHASE OF AZ-ZOUR POWER PLANT K.S.C.、(以下「AZN1」)*2との間で、アッズールノース フェーズ1 IWPP*3プロジェクトを対象として、融資額約645百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*4による貸付契約を締結しました。本件は、株式会社三菱東京UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、スタンダードチャータード銀行東京支店、National Bank of Kuwait S.A.K.等との協調融資であり、本邦民間金融機関融資分の一部に対して、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による海外事業貸付保険が付保されます。協調融資総額は約1,430百万米ドルです。本件はJBICにとって、クウェート国向けの初のプロジェクトファイナンスとなります。
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本プロジェクトは、AZN1が、クウェート国首都クウェート市から南に約100kmに位置するアッズールノース地区において、発電能力約1,500MW及び淡水化能力約48万立方メートル/日の天然ガス焚き複合火力発電・淡水化プラントの建設を行い、BOOT*5方式にて40年間に亘ってクウェート国電力・水省(Ministry of Electricity and Water)に対して売電・売水するものです。クウェート国は、急速な経済成長を背景として、2020年までの間、年間約7.6%の電力需要の増加が見込まれている中、電力を含むインフラ開発を民間活力の導入により推進する方針を打ち立てています。本プロジェクトは、こうした同国の政策の下で実施され、同国初の民活型発電・淡水化インフラ案件として大きく期待されています。
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世界的に資源需給の逼迫が中長期的にも見込まれる中、日本にとって資源保有国との関係強化はますます重要な課題となっています。日本とクウェートは、安倍首相の本年8月の同国訪問時に、IWPPを含む同国におけるインフラ開発に関する協力の拡大を表明しています。本件は日本が原油総輸入量の約7%を依存するクウェート国での日本企業によるIWPP事業を支援することで、両国間での更なる包括的・重層的な関係強化にも資するものです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、両国間の経済関係の一層の深化・発展に貢献するとともに、多様な金融ツールを活かした案件組成やリスクテイク機能等を通じ、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 2013年4月1日付お知らせをご参照下さい。
- *2 AZN1は、住友商事株式会社が、フランス国法人GDFスエズ社の子会社であるベルギー王国法人エレクトラベル社(Electrabel S.A.)、クウェート国法人アル・サガール・アンド・ブラザーズ社(Abdullah Hamad Al Sagar & Brothers)、クウェート国政府機関クウェート投資庁(Kuwait Investment Authority)、クウェート国政府機関社会保障機構(The Public Institution for Social Security)及びクウェート国政府民活プロジェクト推進局(Partnerships Technical Bureau)と共に設立した会社です。
- *3 IWPP(Independent Water and Power Producer)とは、自前で発電設備・淡水化設備を建設・運営し、電力・水を販売する独立系発電・淡水化事業者のことです。
- *4 プロジェクトファイナンスとは、主にプロジェクトのキャッシュフローを担保とする融資スキームのことです。
- *5 BOOT方式(Build, Own, Operate and Transfer)とは、契約期間中に民間企業が、発電所等のプラントを建設(Build)、所有(Own)、運営(Operate)し、契約期間後に所有権を公共に移転(Transfer)する事業方式のことです。