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2014年7月15日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、14日、JX日鉱日石開発株式会社(以下「JX開発」)が50%、アメリカ合衆国法人NRG Energy Inc.(以下「NRG」)が50%間接出資するアメリカ合衆国法人Petra Nova Parish Holdings LLC(以下「PNPH」)との間で、融資金額175百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社みずほ銀行との協調融資(協調融資総額250百万米ドル)によるもので、民間金融機関融資部分には独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による保険が付保されます。本件は、JBICの「海外展開支援融資ファシリティ」*2の下での資源・エネルギーの確保・開発の促進に係る案件です。
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本プロジェクトは、NRGの子会社がテキサス州で保有するW.A.パリッシュ石炭火力発電所にCO2回収プラントを建設*3し、同発電所の排ガスから抽出・回収したCO2を同州メキシコ湾岸のWest Ranch油田に圧入することで原油の増進回収を図るCO2-EOR (Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)プロジェクトです。JX開発は、PNPHに50%間接出資することにより本プロジェクトに参画し、West Ranch油田の権益の25%を保有し、保有権益に見合った生産原油の処分権を取得します。本融資は、プロジェクトに必要な設備や権益の取得に必要な資金の一部に充てられます。
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本プロジェクトでは、2016年第4四半期から同油田へのCO2の圧入を開始し、その原油生産量を現在の日量約500バレルから同12,000バレル(期間平均生産量)まで高める計画です。なお、CO2を活用した原油の増進回収はこれまでも世界中で実施されておりますが、石炭火力発電所の排気ガスから回収するCO2を活用した商業ベースの大規模な原油増進回収事業は、本プロジェクトが世界初となります。また、W.A.パリッシュ石炭火力発電所から大気中に放出されるCO2が年間約160万トン削減されると同時に、既存油田からの追加原油生産を可能にするもので、本プロジェクトは、地球環境への負荷低減とエネルギー資源の増産の両立に貢献するものと期待されています。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業による重要資源の開発・取得の促進を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのことです。
- *2 2014年7月1日付お知らせをご参照下さい。
- *3 本プロジェクトのCO2回収プラントは、三菱重工業株式会社の米国事業会社である米国三菱重工業と米国の大手建設会社TIC(The Industrial Company)によるコンソーシアムが建設しますが、そのCO2回収能力は日量4,776トンで、排ガスからCO2を回収するプラントとして世界最大となります。