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2014年7月18日
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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、17日、「海外展開支援融資ファシリティ」*1の一環として、三井海洋開発株式会社(以下「MODEC」)が三井物産株式会社、株式会社商船三井及び丸紅株式会社と共に出資するオランダ王国法人Carioca MV27 B.V.(以下「CMV27」)との間で、融資金額約564百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*2による貸付契約を締結しました。本融資は、ブラジル連邦共和国(以下「ブラジル」)沖合Carioca鉱区*3の権益を有するブラジル国営石油会社Petróleo Brasileiro S.A.(以下「ペトロブラス」)をはじめとするコンソーシアム*4が設立したオランダ王国法人Guara B.V.向けのFPSO*5長期傭船サービス事業を対象としており、株式会社三菱東京UFJ銀行(幹事行)、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社及びING Bank N.V.との協調融資によるもので、協調融資総額は約1,128百万米ドルです。
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本プロジェクトは、MODECが超大水深(水深2,000~3,000メートル)対応のFPSO1基(生産能力:原油10万バーレル/日、ガス177百万立方フィート/日、貯蔵能力約160万バーレル)を建造し、CMV27が20年間に亘り、Guara B.V.に対して傭船サービス(リース及び運転・保守点検等のオペレーション)の提供を行うもので、本FPSOは、Carioca鉱区の開発に投入される予定です。
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近年、各国石油会社が海底油ガス田の開発を積極的に進める中、南米(主にブラジル)、西アフリカ地域を中心に新規FPSO需要の拡大が見込まれています。特に、ブラジル近海のプレソルト層が分布する一帯において大型油ガス田の発見が相次いでおり、中・軽質油を主とする巨大な埋蔵量が確認されているこれらの油田は、世界的な注目を集めています。本件は、Lula鉱区(旧Tupi鉱区)向けFPSO、Guara鉱区向けFPSO、Cernambi South鉱区向けFPSO及びIracema North鉱区向けFPSOに続き、MODECが関与する5隻目のプレソルト層油田向けFPSO傭船事業です。
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海洋基本計画*6では、日本周辺海域に相当量の賦存が期待されるメタンハイドレートについて、「平成30年代後半に、民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトが開始されるよう、国際情勢をにらみつつ、技術開発を進める。」とされています。海洋資源開発が大水深化など高度化の一途をたどる中、本プロジェクトを通じ、日本の海洋エネルギー事業者が、海洋資源開発に不可欠なFPSOの傭船サービスを継続して提供することは、大水深鉱区でのFPSOの操業に係る技術供与・ノウハウの向上に資するものです。また、これらを通じ、日本企業の海洋資源開発分野における国際競争力の維持・向上が図られ、日本近海における海洋資源開発を含めた日本の資源の確保及び安定供給に貢献することも期待されます。
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JBICは、日本の公的金融機関として、海洋基本法及び海洋基本計画を踏まえ、重要資源の開発・取得の促進及び日本の海洋産業の国際競争力の維持・向上を念頭に、今後も海洋資源開発の活発なブラジルやアフリカ地域を含む海外における日本企業の事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 2014年7月1日のプレスリリースを ご参照下さい。
- *2 プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュ・フローに限定し、プロジェクトの現地資産等のみを担保として徴求する融資スキームのことです。
- *3 リオデジャネイロ沖合南約300kmに位置するSantos盆地プレソルト層(岩塩層)下にある巨大油田です。
- *4 ペトロブラス、英国法人BGグループ、スペイン法人Repsolグループ及び中国Sinopecの各グループ会社によるコンソーシアムです。
- *5 FPSO:Floating Production Storage and Offloading Systemの略です。浮体式の原油の一次処理(井戸元より生産された原油から、随伴ガス、水を分離すること)・貯蔵・積出のための設備です。
- *6 2007年7月に施行された海洋基本法に基づき策定され、2013年4月に見直しの上、閣議決定されました。