- 地域: アジア
- インフラ
- 一般機械・設備
- 輸出金融
2014年9月2日
-
株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、1日、ナレンドラ・モディ・インド首相が公賓として来日している機会を捉え、インド最大の国営商業銀行であるインドステイト銀行(State Bank of India、以下「SBI」)との間で、融資金額約81億円(JBIC分)及び約12百万米ドル(同)を限度とする輸出バンクローン(輸出金融)の貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社三菱東京UFJ銀行との協調融資によるものであり(協調融資総額はそれぞれ約135億円及び約21百万米ドル)、株式会社三菱東京UFJ銀行の融資部分に対しては、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による保険が付保されます。なお、同日に発表された日印共同声明「Tokyo Declaration for Japan-India Special Strategic and Global Partnership」のファクトシート「India and Japan - Partners for Common Development」において、本貸付契約の締結を歓迎する旨、言及されています。
-
本件は、Meja Urja Nigam Private Limited(以下「MUNPL」)*1がインド北部のウッタル・プラデシュ州メジャ地区において超臨界圧石炭火力発電所(660MW×2基)を建設するにあたって、株式会社東芝及び同社のインド現地法人である東芝ジェイエスダブリュー・パワーシステム社(Toshiba JSW Power Systems Private Limited)から蒸気タービン発電機等の設備一式を購入するための資金をSBI経由にて融資するものです。
-
インドでは、近年の急速な経済発展に伴い電力需要が急増する一方、電力需要増大に応じた必要な発電所建設が追いつかず、慢性的な電力不足が続いており、インドに進出する日系企業にとっても電力不足解消は重要な課題です。*2インド政府は、こうした状況を踏まえ、電力供給能力の拡充を優先課題と位置付けており、第12次5ヵ年計画(2012~2017年度)の下、大規模な電力設備増強を計画しています。このうち火力発電は80%以上を占める計画であり、同国では豊富な国内炭を利用した高効率の石炭火力発電へのニーズが高いため、同分野で高い技術力を有する日本企業にとっても、ビジネス機会の拡大への期待が高まっています。
-
SBIは、1806年に設立されたインド国内で第1位の資産規模を有する国営商業銀行であり、同国での電力セクター及びプロジェクトファイナンス分野における最大の貸し手です。JBICとSBIは、1990年代より、日本からインドへの機械・設備等の輸出に対する融資等を通じて協力関係を築いています。最近では、2012年8月*3に本邦中堅・中小企業の同国への進出支援体制の整備に関する覚書を締結し、また2013年5月*4に地球環境保全業務(通称「GREEN」)*5の一環として、本邦の優れた環境技術の活用が期待される同国でのエネルギー効率化事業及び再生可能エネルギー事業を融資対象としたクレジットラインを設定しました。本件は、今後、SBIとの間でインフラ関連等での様々な協力関係の構築が期待される中、両行の連携を一層深めるものです。
-
JBICは今後も、日本の公的金融機関として、地場金融機関とも連携しつつ、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業のインフラ関連設備等の輸出や海外事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1 MUNPLは、インド国営火力発電公社(NTPC Limited)とウッタル・プラデシュ州電力公社(Uttar Pradesh Rajya Vidyut Utpadan Nigam Limited)が50%ずつ出資して設立された合弁会社です。
- *2 JBICが実施した「2013年度海外直接投資アンケート結果(第25回)」においても、インドで事業展開している企業のうち約6割の企業が電力インフラに問題があると回答しています。詳細については、2013年11月29日付プレスリリースをご参照ください。
- *3 2012年8月31日付プレスリリースをご参照下さい。
- *4 2013年5月30日付プレスリリースをご参照下さい。
- *5 2010年4月1日付お知らせをご参照下さい。