株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:前田 匡史)は、2018年10月11日、インドネシア共和国(以下「インドネシア」)財務省との共催で、「連結性強化に資するグリーンインフラ開発への民間資金の動員について」と題するセミナーを開催致しました。同セミナーは、インドネシア・バリ島で開催された第73回IMF・世界銀行年次総会の機会を捉え、アジアにおけるグリーンインフラ開発の可能性及びそれらインフラ開発への民間資金動員における課題等について、インドネシア政府、国際機関の専門家及びインフラ開発に関わる主要なステイクホルダーによる基調講演・プレゼンテーションを通じて、関係者間で共通の問題意識や方向性を得ることを企図したものです。
冒頭、石井 正文駐インドネシア日本国特命全権大使による開会挨拶の後、スリ・ムルヤニ・インドラワティ インドネシア財務大臣により行われた基調講演では、電力インフラや交通インフラといった連結性強化に資するグリーンインフラの拡大に対応するため、グリーンスクーク(イスラム債)の発行等のインドネシア政府が行う民間資金動員の取り組みについて紹介されました。
次にJBIC総裁前田 匡史による基調講演では、「グリーンインフラ」を「第3期中期経営計画」(2018~2020年)における重点取組課題の一つとして積極的に取り組んでいることを紹介しました。また、こうしたグリーンインフラへの民間セクターによる投資促進を支援するため今年7月に創設した「質高インフラ環境成長ファシリティ」*1を活用する考えを示しました。
続いてパネルディスカッション第1セッションでは、エコプトロ・アディジャヤント インドネシア国家開発企画庁(BAPPENAS)顧問、バンバン・スサントノ アジア開発銀行(ADB)副総裁、ウィウィック・ディアナワティ・サントソASTRA Infra社取締役及び米谷 佳夫 三井物産株式会社執行役員・プロジェクト本部長の4名が登壇し、インフラ開発の政策における課題について議論されました。その中で、民間セクターが新しく革新的なビジネスモデルを生み出していくためには、ホスト国政府の強いコミットメントに基づき、透明性の高いインフラ開発のフレームワークが構築されることが重要であることについて言及がなされました。
最後のパネルディスカッション第2セッションでは、トレイシー・ウェブ米国海外民間投資公社(OPIC)副総裁、サルマ・クナラトナム Asia Power Development Platform社最高経営責任者(マッコーリー・キャピタル・アジア顧問)及び小林 真 株式会社三菱UFJ銀行常務執行役員・ソリューション本部長の3名が登壇し、グリーンインフラ開発における民間資金動員の課題について議論しました。インフラ開発に伴う様々なリスクの中でも、とりわけ需要リスクについては、政府の適切な支援があれば、民間投資家の参画が見込める点、また、地方政府等のサブソブリンによる電力等の購入に係るオフテイクリスクを緩和するためには、影響力の強い国際開発金融機関(MDBs)や公的輸出信用機関(ECA)による参画の必要があるとの考えが示されました。
同セミナーには、国際機関、各国政府関係者、国内外の金融機関、日本・インドネシア企業、学術機関等から150人以上の参加があり、グリーンインフラ開発への民間資金の動員に対し、各方面から高い関心が寄せられました。
JBICは今後も、政策対話やこうしたセミナー等の機会も活用しつつ、日本政府の諸施策を踏まえ、ホスト国政府との連携を更に強化し、日本企業が取り組む海外インフラプロジェクトへの支援を積極的に行っていきます。
注釈
- *1
2018年6月28日付お知らせをご参照下さい。