株式会社国際協力銀行(JBIC)は、2019年6月18日にトルコ輸出入銀行(トルコ輸銀)と共催で、「日トルコビジネスマッチングセミナー」と題したセミナーを、トルコ海外経済評議会、トルコ建設業協会、JETRO、イスタンブール日本人会の協力のもと、日系企業の集積するイスタンブールにて開催しました。セミナー当日は、政府関係者、金融機関、トルコ企業、日本企業関係者等、実務レベルを中心に約130名の出席がありました。
本セミナーは、①日トルコ企業協調に関する成功事例を紹介すると共に、ビジネスマッチングの機会を設けることにより、トルコ国内のみならず第三国、特にアフリカでの日トルコ企業の連携を促進すること、②JBIC及びトルコ輸銀の業務内容及び支援事例を紹介することを通じて、両機関を活用した日トルコ企業の連携を促進することを目的としたものです。
JBICは、アフリカでの日本企業のビジネス拡大を後押しするべく、2018年3月、トルコ輸銀との間で、日トルコ両国企業による第三国における事業展開支援のための業務協力を目的とした覚書*1を締結しました。本セミナーは同覚書に基づく両機関の具体的協力の一環として開催されたものです。
前半では基調講演及び協業・支援事例の紹介、後半では日本側及びトルコ側から参加した双方の出席者が交流を深めるべくレセプションを行い、長時間にわたり参加者間での事業紹介や意見交換が活発に行われました。
冒頭挨拶では、JBIC欧阿中東地域統括の谷本より、今年は「日本におけるトルコ年」であり、JBICとしては、両国企業の協働による第3国、特にアフリカでのインフラ案件支援に前向きに取り組む方針であり、本セミナーを通じてアフリカでのインフラプロジェクト推進に向けた取り組みが加速することに期待したい旨発言しました。
海外経済評議会(DEIK)トルコ日本経済委員会のŞeref Tosyalı委員長からは、近年のアフリカへの総投資額からも両国のアフリカビジネスへの取り組み意欲の高さが伺え、トルコは日本とのパートナーシップに基づき、幅広いセクター、とりわけIT、エネルギー、インフラ、自動車産業における投資を推進していきたいと述べられました。また、本年11月1日には第25回日トルコ合同経済委員会が東京にて開催予定であるとの案内がありました。
トルコ建設業協会(TCA)のBurak Talu副会長からは、トルコの建設企業はアフリカにて1972年以降、41か国で1393のプロジェクト(総額676億米ドル)を実施したとの説明があり、続いて日本とトルコの協働プロジェクトでは、トルコ国内のイキテリ病院PPP事業、イズミット湾横断橋、マルマライ・プロジェクト等、第3国ではカザフスタンのアスタナ国際空港、ジブチの航空機用格納庫、トルクメニスタンのアンモニア・尿素肥料プラント等、多くの実績紹介がありました。
イスタンブール日本人会の稲田会長(三菱商事株式会社トルコ総代表)からは、三菱商事が1954年のトルコ拠点発足当初から60年以上トルコとのビジネスを行っており、幅広い分野で協働してきた旨ご紹介がありました。その経験から、トルコのインフラセクターは施工能力や意思決定のスピード、海外進出力において優れ、日本の誇る先端技術(エンジニアリング、製造、調達における)及びノウハウ、経験、ファイナンス力、ジャパンブランドを加えることで、高い競争力が実現可能であると述べられました。その他にも、多くの登壇者から、日本とトルコの関係性の強化及びアフリカでの協業に期待する旨のご発言がありました。
トルコは伝統的な親日国であることに加え、約8,000万人の人口と若い労働者を有し、欧州、中東、中央アジア、コーカサス地域の結節点として地政学的にも要の位置にあります。トルコ政府はこのような地理的優位性を活かし、アフリカ域内における在外公館数やトルコ航空の就航先を増加させる等、2002年からアフリカ向け貿易・投資の拡大に取り組んでいます。
本年8月には横浜にて第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の開催が予定されています。トルコをはじめとするアフリカ地域に強いプレゼンスを有する国々との連携を進めることにより、同地域への日本企業の更なる進出を促し、日本とアフリカ地域間の一層の経済関係強化に繋がることが期待されます。
JBICは、日本の公的金融機関として、日本企業による、アフリカ向け輸出や同地域での事業参画機会の拡大を支援するべく、引き続きトルコ輸銀との間で具体的なプロジェクトの形成・推進に向けた協議を進めていきます。
注釈
- *1
2018年3月13日付プレスリリースをご参照下さい。