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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:前田 匡史)は、本日、JBICの2020年度業務実績を以下のとおり公表しました。なお、地域別や金融目的別の実績、過去5年間の推移などについては、別添資料をご参照ください。
I. 出融資・保証業務
- 2020年度のJBICの出融資・保証承諾額は、前年度比54.8%増の約2兆5,993億円となりました。
- 2021年3月末時点の残高は、出融資残高が約13兆9,065億円、保証残高は約1兆8,383億円、合計約15兆7,448億円となりました。
II. 業務上の主な取り組み
2020年に入って新型コロナウィルス感染症が拡大し、国内外経済に与える影響が懸念されました。そこで、2020年4月には、我が国企業の海外展開支援及び質の高いインフラ整備を幅広く支援することを目的とした「成長投資ファシリティ」の下に、「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ*1」を新たに創設しました。また、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(2020年12月8日閣議決定)及び「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(経済産業省策定、2020年12月25日成長戦略会議報告)の一環として、2021年1月には、「成長投資ファシリティ」を再編・強化した「ポストコロナ成長ファシリティ*2」を創設し、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、我が国企業による脱炭素社会に向けた質の高いインフラの海外展開やサプライチェーン強靱化の支援に取り組みました。
1.日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進への取り組み
資源の多くを海外輸入に頼る日本にとって、自主開発比率向上による中長期的な資源の安定確保・開発を進めていくことは重要な課題です。JBICは、資源の上流権益の獲得、調達先の分散化、資源国との関係強化等を通じて、資源の長期安定的な確保に金融面から貢献しています。2020年度においては、資源分野での取り組みとして、計9件、総額約5,077億円の融資・保証承諾を実施しました。具体例として、JBICは、日本企業が参画するモザンビークにおけるガス田開発及びLNG生産事業に必要な資金を融資しました。
2.日本の産業の国際競争力の維持及び向上への取り組み
日本の産業界において、国内需要の減少等を踏まえ海外に収益機会を求める動きが増す中、JBICは様々な金融手法を活用しながら、日本企業による海外市場獲得・サプライチェーンの維持・強化の支援に取り組み、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献しています。この分野における2020年度の出融資・保証承諾は、計164件、総額約1兆4,753億円となりました。
(1)日本企業の戦略的な海外事業活動を支援
① 日本企業の海外投資を支援
日本企業によるスイスのパワーグリッド事業や豪州の板紙パッケージ事業の買収に必要な資金を融資し、海外M&Aを支援しました。また、バングラデシュにおけるガス焚複合火力発電事業や英国の海底送電線事業等、日本企業が参画するインフラ事業向けに融資を行ったほか、アイルランドにおける次世代蓄電池を用いた電力調整サービス事業、米国の水素ステーション運営会社やフィジーの電力会社に対して日本企業と共同で出資を行いました。また、日本企業のサプライチェーン強靱化支援として、インドにおける日系自動車メーカーのサプライヤー及びディーラー並びに日系自動車の販売金融に必要な資金をインドの国営商業銀行を通じて融資しました。
②日本企業の輸出を支援
日本企業による、パラオ向け海底ケーブル関連設備やモンゴル向け建設機械の輸出を支援しました。
(2)中堅・中小企業の海外事業展開を支援
JBICは、日本の中堅・中小企業の海外事業展開支援を目的として、タイにおける包装材の製造・販売事業及び中国における金属熱処理加工事業等、日本の地域金融機関との協調により、計113件、総額約262億円の融資・保証承諾を行いました。また、地域金融機関と連携し、中堅・中小企業の海外事業展開支援に資する情報発信やマッチングイベント等を多数行いました。
3.環境関連分野での取り組み
地球環境保全業務(GREEN)*3においては、ベナンにおける地球環境保全プロジェクトの支援やトルコにおける再生可能エネルギー事業及びエネルギー効率化事業の支援を目的として、地場金融機関等に対しクレジットラインを設定しました。この分野における2020年度の融資・保証承諾は計7件、総額約1,687億円となりました。
また、脱炭素社会に向けた質の高いインフラの海外展開やその他海外事業活動を支援することを目的として、日本企業が出資参画するアラブ首長国連邦ドバイ首長国での廃棄物処理・発電事業やサウジアラビア王国での太陽光発電事業をプロジェクトファイナンスにより支援しました。
4.その他の取り組み
現地通貨建て*4融資の取り組みとして、日本企業が実施する自動車タイヤ製造・販売事業を南アフリカ・ランド建てで支援したほか、完成車物流事業をロシア・ルーブル建てで支援する等、計37件、約1,716億円相当の現地通貨建て融資承諾を行いました。
2020年度の成長投資ファシリティの融資・保証承諾実績*5は、計186件、総額約1兆9,505億円、ポストコロナファシリティの融資・保証承諾実績は、計9件、総額約3,180億円となっております。
〔別 添〕
1. 出融資・保証総括表
2. 地域別・金融目的別承諾額
3. 国際協力銀行業務概況(過去5年間の推移)
注釈
- *1
2020年5月1日付お知らせをご参照ください。
- *2
2021年1月29日付お知らせをご参照ください。
- *3
2010年4月1日付お知らせをご参照ください。
- *4
- *5