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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、15日、株式会社日立製作所(以下「日立」)の完全子会社のイタリア共和国法人日立レールSTS S.p.A.(以下「日立レールSTS」)らが出資するカナダ法人Connect 6ix General Partnership(以下「Connect 6ix」)との間で、融資金額450百万カナダドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社三井住友銀行及び農林中央金庫等との協調融資により実施するもので、協調融資総額は1,100百万カナダドルです。
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本プロジェクトは、カナダのオンタリオ州トロント市にて、全長15.6kmの地下鉄を建設し、完工後30年間に亘り運行するものです。Connect 6ixは、車両及び鉄道システムの供給並びに完工後の運行・保守事業を担います。
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カナダのトロント市及び近郊部では、移民の受け入れを背景として年々人口が増加しており、それに伴い増加する交通需要への対応が喫緊の課題となっています。そうした中、オンタリオ州政府は、本プロジェクトを含む4件の新規地下鉄建設事業及び延伸事業を優先プロジェクトとして位置付け、これを円滑に進めるための法整備を行うなど、鉄道網の整備を推進しています。オンタリオ州政府の試算では、本プロジェクトの実施により、一日当たり28,000台分の自動車交通量の減少及び年間720万リットル分の燃料削減が見込まれており、交通渋滞緩和及び温室効果ガス排出量削減を通じて、地球環境保全に貢献するものです。
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日立は、日立レールSTSが2019年10月にオンタリオ州ミシサガ市及びブランプトン市を結ぶLRT建設プロジェクトを受注する等、民間資金活用による社会資本整備を積極的に進めてきたカナダを重要市場と位置付けています。そのような中、本融資は、地球環境保全業務(通称「GREEN」)*2の一環として、カナダドル建て資金により、カナダの鉄道市場における日立の取り組みを支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものです。
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日本政府は、「インフラシステム海外展開戦略2025」(令和4年6月追補版)において、我が国の優れた技術による環境性能の高いインフラによるカーボン・ニュートラルへの貢献、質の高いインフラと現地との協創モデルの推進、日本企業がコアとなる技術・価値やプロジェクトの主導権を確保しつつグローバル・パートナーシップを通じてインフラ案件を実現する「CORE JAPAN」の推進を掲げており、本融資はこうした日本政府の政策にも沿ったものです。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、こうした現地通貨建て資金ニーズへの対応を含め、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じて、日本企業の海外事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキームです。
- *2
2018年7月2日付お知らせご参照ください。