株式会社国際協力銀行(JBIC)は、2019年5月21日、中国国家開発銀行(China Development Bank:中国開銀)本店にて、中国開銀との共催で、「日中第三国市場金融協力フォーラム」を開催しました。同フォーラムは、2018年10月、中国開銀との間で締結した、第三国でのプロジェクトに対する協力の推進を目的とした覚書*1に基づき、日中両国企業の第三国市場における協働について、JBIC、中国開銀、日中両国の民間企業や金融機関間での意見交換およびビジネスマッチングを目的とするものです。
劉金中国開銀副行長による開会挨拶の後、鄭之傑中国開銀行長により行われた基調講演では、日中両国間の分業構造は、垂直分業から水平分業へ移行しており、日中両国企業による第三国市場での協力は時代の流れに沿うものとの言及がなされました。また、日中両国首脳の第三国市場での協力に関する合意を着実に履行するため、中国開銀が、経済・金融協力の深化を促進するために積極的な役割を果たすとの考えも示されました。
続くJBIC総裁前田匡史による基調講演では、これまでJBICが中国開銀や中国輸出入銀行との間で、日中企業が協業する第三国での案件を支援してきた点を紹介しつつ、2018年10月に締結した第三国市場協力にかかる覚書に基づき、JBICと中国開銀が、開放性、透明性、経済性、財政健全性、法令順守といったグローバルスタンダードに則った金融支援を進めることが、両国企業のみならず対象国にも裨益をもたらす点を強調しました。
また、横井裕在中国特命全権大使より、2030年までに毎年1.7兆ドルの規模に達すると見込まれるアジアのインフラ需要に対し、日中両国の金融機関や企業が手を携えて対応する必要があると述べられました。鄭持平国家発展改革委員会外資司副司長および羅暁梅商務部アジア司副司長からは、日中第三国協力を実現する上での金融協力の重要性が言及され、国際スタンダードに則ったプロジェクト実施が必要であるとの考えが示されました。
最後に、日中両国企業及び金融機関代表から「日中第三国協力の課題と展望」というテーマに基づきプレゼンテーションが行われ、中国中信集団常振明董事長、三井物産株式会社米谷佳夫常務執行役員、中国工商銀行胡浩副行長、三菱UFJ銀行吉川英一副頭取の4名が登壇し、これまでの第三国市場での協力実績や両国企業の強みに加え、今後の課題、新たに協力が期待される分野等について言及がなされました。
同セミナーには、日中両国の政府関係者、民間企業および金融機関関係者等、計100名余りが出席し、第三国協力に関して、関係者間での幅広い意見交換の場となりました。
JBICは今後も、日本の公的金融機関として、他国の公的機関とも連携しながら日本企業による海外ビジネス機会の拡大を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
2018年10月26日付プレスリリースをご参照ください。