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総裁メッセージ

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世界情勢が激変し、分断と不確実性が高まる中、
国際社会の課題解決に、先導役として真摯に向き合っていきます

株式会社国際協力銀行
代表取締役総裁 林 信光

JBICは、人と人、企業と企業を結びつけ、国際社会から信頼される役割を全うする

国際協力銀行(JBIC)に対する皆様のご理解ご支援に、心から感謝申し上げます。

国際社会は今、進みゆく「分断」のただ中にあります。ロシアによるウクライナ侵略が続く一方で、中東での紛争も絶えません。地球上の至るところで分断が生じて経済安全保障を脅かすことに加え、地政学的な対立等から「不確実性」が一層高まっています。このように世界情勢が大きく変貌しているばかりではありません。冷戦後の繁栄をもたらしてきたグローバリゼーションやリベラルデモクラシー、あるいはマーケットエコノミーにさまざまなひずみが生じ、社会の格差や分断をもたらして、フェイクニュースや不確かな情報がSNSを席巻しています。私たちが依拠してきた価値観こそが揺らいでいるのです。

グローバリゼーションを追い風に発展してきた日本経済も、このような環境変化に直面しています。全世界に張り巡らせたサプライチェーンが寸断され、再構築の必要に迫られています。日本にとって重要なエネルギーや資源の確保も、一層困難になるでしょう。他方で、気候変動問題への対処は待ったなしであり、日本の産業界にとっても克服すべき課題であるとともに機会をもたらします。カーボンニュートラルと経済成長の両立を実現するため、革新的な技術による課題解決が求められています。分断と不確実性の高まる世界で、いかにして人と人、企業と企業を結びつけ、国際社会が直面する課題を解決に導いていけるか。国境を越えた金融業務を行う日本で唯一の政策金融機関であるJBICに対する皆様からの期待、JBICが果たせる役割はますます大きいと感じています。

本年6月にウズベキスタンで開催されたタシケント国際投資フォーラムで、ミルジヨーエフ大統領と各国投資家との会合に参加しました。中央アジアは他の地域と比べて日本企業の存在感は限定的ですが、いや限定的であるからこそ、日本への高い信頼の声が寄せられ、特にJBICへの強い期待が表明されました。これまでJBICが進めてきたプロジェクトを通じて、各国政府や関係機関との間で信頼を築いてきた結果だと思っています。こうした信頼感の礎は、これまで先人が積み上げたものであり、東南アジアでの揺るぎない取り組み等、一度決断すれば最後まで責任を果たす日本企業やJBICの姿勢が評価されたものです。

私の好きな言葉である「仕事は裏切らない」のように、真摯に向き合い続けてきた仕事は、必ずその人の糧となり、力となります。JBICが先導役となり、真摯に相手国政府や関係機関と向き合うことで、不確実な時代であっても世界に進出する日本企業の力となり、さらには国際社会の課題解決に貢献できると確信しております。

日本の力を、世界への貢献につなげるために、JBICの独自の立ち位置・機能を活かして中期経営計画を遂行します

連携した4つの重点取組課題を着実に推進し、次年度を見据える

代表取締役総裁林 信光の画像1

JBICは2024年6月に策定した第5期中期経営計画(2024~2026年度)において、重点取組課題として「Ⅰ:持続可能な未来の実現」、「Ⅱ:我が国産業の強靱化と創造的変革の支援」、「Ⅲ:戦略的な国際金融機能の発揮による独自のソリューションの提供」、「Ⅳ:価値創造に向けた組織基盤の強化・改革」の4つを掲げ、それぞれの課題の達成に向けた取り組みを着実に推進しています。

重点取組課題は、それぞれ並列した目標ではなく、相互に連携しています。「Ⅰ:持続可能な未来の実現」の中で掲げた、カーボンニュートラルと経済発展を両立していくには、「Ⅱ」の中の取組目標である「革新的技術・事業の展開支援」が不可欠です。イノベーティブな技術を商用化し、世の中へ普及させるには、JBICが保有する多様な金融機能を駆使してリスクテイクし、「Ⅲ」に掲げる「独自のソリューション」を提供する必要があります。そのためには、「Ⅳ:価値創造に向けた組織基盤の強化・改革」を着実に進め、職員一人ひとりが常に前向きなマインドで働ける組織にしなければならないと考えています。

そして、本計画を遂行するためのテーマは、“Navigate toward and Co-create a Valuable Future”です。JBICが先頭に立ってNavigate(先導)して道を示しつつ、その道のりでさまざまなステークホルダーを巻き込んでCo-create(共創)する。JBICとして付加価値を創出することによって、Valuable Future(価値ある未来)を共に実現していく。そうした決意をこのテーマに込めました。

4つの重点取組課題

4つの重点取組課題の図4つの重点取組課題の図

第5期中期経営計画の初年度である、2024年度の出融資・保証承諾実績は1兆5,061億円となりました。重点取組課題ごとの振り返りとしては以下のとおりです。

重点取組課題Ⅰ:持続可能な未来の実現に資する取り組みとしては、インドネシアでの地熱発電案件やUAEでのアンモニア製造・販売事業等のGXに資する案件、遺伝子治療薬関連事業を行う米国企業の買収案件等の社会課題解決に貢献する案件、またアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想のもとでのベトナム・インドネシア・フィリピン等における官民対話枠組みの立ち上げ・推進等の将来的な案件組成に資する取り組みを進めました。

重点取組課題Ⅱ:我が国産業の強靱化と創造的変革の支援に資する取り組みとしては、銅鉱山開発、半導体、データセンターといった日本の経済安全保障・サプライチェーン強靱化に直結する案件、特別業務を活用したドイツにおける地熱発電・地域熱供給案件、2023年度のJBIC法改正により可能となった特定外国法人向け融資となるドイツでの5Gネットワーク基盤構築案件等の特徴的な案件に取り組みました。また、投資戦略を策定し投資委員会を立ち上げてスタートアップ投資体制の構築を進め、すでに投資活動を開始しています。

重点取組課題Ⅲ:戦略的な国際金融機能の発揮による独自のソリューションの提供に資する取り組みとしては、地政学的情勢や海外投資アンケートを通じた日本企業の投資動向等の情報分析・発信に加え、ウクライナおよびその周辺国支援へ向けた国際金融機関へのクレジットライン設定、ケニアへの地熱発電設備輸出案件、中東の国営石油会社に対する再生可能エネルギー事業向け融資案件等、JBICならではの政策的重要性の高い案件に取り組みました。

重点取組課題Ⅳ:価値創造に向けた組織基盤の強化・改革に資する取り組みとして、研修プログラムや行内外教育コンテンツの拡充等による人材育成や、銀行業務の根幹を支える審査・資金調達・貸出実行等を安定的に実施しています。意思決定プロセスの簡素化や生成AIツールや文字起こしツールの試験的導入を含むDXの推進等にも取り組みました。

JBICは引き続き、スタートアップ向け支援や新たな技術・事業の促進を後押しするリスクテイク機能を通じて、日本と世界、官と民をつなぐ唯一無二の政策金融機関としての独自の立ち位置・機能を活かし、中期経営計画を遂行してまいります。

経営諮問・評価委員会による「2024年度事業運営計画の業務実績評価」についてはこちらをご参照ください。

地球規模課題に向き合う案件を通じて、サステナブルな世界の実現に貢献する

代表取締役総裁林 信光の画像2

世界の課題解決を「先導」し、未来を「共に創る」というJBICの役割が発揮された印象深い具体的な事例をご紹介します。

アフリカ諸国の持続可能な発展の支援につながるものとして、2023年にべナン政府向けのクレジットラインのもとで実施したプロジェクトがあります。地球環境保全業務(GREEN)の一環としての融資で、小学校の屋根に太陽光パネルを設置し、太陽光発電により充電したランタンを生徒に貸し出すことで、未電化エリアにおける各世帯の電化をクリーン電源によって実現するプロジェクトです。先日私も現地を見学する機会をいただき、生徒が持ち帰るランタンの充電を小学校で行うことで継続的に学習する習慣が身に付いたと、地元の皆さんが誇らしげに語ってくれました。同国のエネルギー問題だけでなく、教育機会を拡大するという社会課題にも応えられる有意義なプロジェクトだと改めて実感しました。

本年5月にはコートジボワール政府との間で、再生可能エネルギー導入等の脱炭素関連事業の支援を目的とした、同国政府向けの初めての融資となるGREENのもとでのクレジットラインを設定しました。3年前の第8回アフリカ開発会議(TICAD8)の際に同国経済・財政省と業務協力協定を結んだことをきっかけに、取り組んできた成果です。8月には、TICAD9が日本で開催されます。アフリカ諸国において、いかに日本企業との「共創」による具体的なプロジェクトを実現していくか、そうした思いでJBICもTICADに臨み、各国や政府機関と協議を重ねています。

ウクライナ復興・周辺国支援についても、政策金融機関としてJBICはさまざまな取り組みを継続しています。2023年5月には、ポーランド開発銀行が発行するサムライ債に保証を供与しました。その資金はウクライナ避難民向けに用いられます。2024年9月には、ウクライナの復興に資する事業に対して、黒海周辺の加盟国間の協力推進と経済発展を目的として設立された国際金融機関である黒海貿易開発銀行(BSTDB)に対してクレジットラインを設定しました。同行への機動的な資金供給により、周辺国の復興や脱炭素化に資する事業への融資を可能とするものです。さらにウクライナにおいては、AI技術と3Dプリンタを活用して、義足を低価格で迅速に製造・販売する日本のスタートアップ企業を支援しています。紛争の長期化で義足の需要が高まり、供給が追い付いていないのです。

こうしたウクライナ復興・周辺国支援といったグローバルな課題に貢献できるプロジェクトに携われたことも、本年4月に周辺地域でつくる三海域イニシアティブ(3SI)ビジネスフォーラムにおいて新たなワルシャワ事務所の設置を公表する機会をいただけたのも、これまでJBICが相手国や政府機関の方々との信頼関係を築きつつ、具体的な案件を実現してきた結果だと思っています。

社会に対するコミットメントを果たすために、多様で公平な職場環境づくりを推進していきます

少数精鋭の組織だからこそ、職員一人ひとりのエンゲージメントが不可欠

世界の課題解決に向けた使命をJBICが果たしていく上では、職員一人ひとりにも「先導」と「共創」の力が求められます。その前提として、「公共性」と「国際性」、そして金融に関する「専門性」を高い水準で備えることも必要です。
JBICでは、これらの力を着実に身に付けて発揮できる、優れた人材の獲得・育成と、その活躍を後押しする働き方改革を推進してきました。

2023年4月に、「JBIC Academia」という研修体系を創設しました。この体系の中に、自律的なキャリア形成・能力開発を支援するために、海外職務経験、ファイナンスや言語等の知見、ビジネス・マネジメントスキル等を幅広く習得できる多様な研修を設定し、毎年拡充しています。多様な業務に対応するために、近年、新卒採用およびキャリア採用を強化している中、JBIC AcademiaとOJT(On the Job Training)の組み合わせにより、入行間もない職員も現場で活躍しています。そして人数の限られた組織だからこそ、フラットな関係性の構築に注力しています。最近入行した新入職員やキャリア採用職員が育ち自ら挑戦することこそが、JBICの未来につながるからです。そのために職員から、自分なりに考えたアイデアを引き出して、常に明るく前向きに業務に向き合える環境づくりに取り組んでいます。

JBICは、日本の代表として相手国政府のハイレベルとも交渉することが多く、プロジェクトの内容はもちろん、相手国のマクロ政策や財政政策をも理解した上で交渉を進めていくことが大切です。若手職員には、現場ならではの体験においても視野を広げる絶好の機会と捉え、自ら行動できる人に育っていただきたいと考えています。私も出張で若手職員と一緒に行動することが多く、刻々と変わる予定の調整をサポートしてもらい、交渉の場では相手方との向き合い方を実際に同席して見聞きしてもらっています。

また、職場環境の整備やDX推進、人材育成・福利厚生の制度の拡充等を組織として行うことで、職員一人ひとりのエンゲージメント向上を実施していきます。

職場環境については、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが当たり前になりました。安全で快適な環境で仕事ができるよう、ネットワーク基盤を整備し、職員にパソコンやスマートフォンに加えてタブレット端末を配布して、DXを活用する基盤を整えています。さらに、紙の行内文書の廃止、過去の文書の電子化や文字起こしツールや生成AIツールの導入に向けたトライアル等の業務効率化も進めています。DXをさらに活用して効率化を進めるため、若手職員にもアイデアを募っています。AI等を活用できないなら仕事のプロセスを変えてみることで、残業時間を削減し、よりクリエイティブな仕事にチャレンジすることが可能となります。

ワークライフバランスについては、男性育休の普及を含む育児・介護と仕事の両立支援や勤務体制の柔軟化等を目的として制度を改善し、職員一人ひとりが自分に合った働き方を選択できるよう取り組んできました。第5期中期経営計画のもと、人的資本の充実化につながる環境整備・制度設計を継続し、また多様な考えの人が、働きがいと働きやすさを感じながら気持ちよく働ける、エンゲージメントの高い組織づくりをさらに推進していきます。

全ての職員が社会貢献を実感できるよう役員が率先して組織の在り方を進化させる

代表取締役総裁林 信光の画像3

JBICの仕事が世の中にいかに役立っているか、私は、プロジェクトの担当者にとどまらず、職員一人ひとりが実感できる組織をつくっていきたいと考えています。いわゆるフロント部門だけでなく、ミドル・バックオフィス部門の職員も、直接的に案件に携わるわけではないものの、JBICという組織の運営を通じ、一つひとつの案件を一丸となって支援し、社会に役立っているということを感じてほしい、という思いを持っています。第5期中期経営計画では、そうした思いも込めて、「重点取組課題Ⅳ:価値創造に向けた組織基盤の強化・改革」を設定して推進しています。

2023年6月に決定しJBIC内に発信した「役員コミットメント」は、役員自らが社会に貢献する仕事を組織一丸となって実現していくために数々の行動を率先するということ
を約束したものです。継続的に職員の意識調査を行いつつ、このコミットメントに基づくさまざまな活動を継続しています。2024年度は「職員意見ボックス」という目安箱制度を導入し、職員が日々感じている非合理や業務改善のアイデアを役員が直ちに感知し対応を行う取り組みを始めました。

また、役員主催の自身のパーソナリティに迫るトークイベントを複数回開催し、部署や役職の垣根を越えた組織全体としてのチームビルディングも試行しました。少数精鋭のJBICでは、一人ひとりの顔が見える距離感で仕事をしており、このような取り組みを通じ、役職員全員の能力を最大限に活かし、価値ある未来に貢献できる組織にしていきたいと考えています。

変貌する世界において、日本がプレゼンスを発揮できるよう、私たちJBICが「先導」し、皆様と共に未来を「共創」する

今を、挑戦するチャンスの“潮時”と捉え、日本への期待に、JBICへの「信頼」に応える

国内では、長年続いてきたデフレがようやく終焉して、若い人には経験のない金利のある世界を迎えつつある一方、世界は分断と不確実性がますます高まっています。このような世の中だからこそ「信頼」が不可欠であると考えています。
先が見えない加速度的な変化の時代にあって、日本が世界の信頼に応えてしっかりと役割を果たすことは、非常にチャレンジングであり、チャンスでもあります。これまで信じてきた価値観が揺さぶられるグローバル社会において、日本がプレゼンスを発揮すべき歴史的な局面にさしかかっていると思っています。

シェイクスピアによる『ジュリアス・シーザー』という戯曲のブルータスのせりふに、「There is a tide in the affairs of men. Which, taken at the flood, leads on to fortune;」(人の為すことには常に潮の満ち引きというものがある。満ち潮に乗れば、幸運にたどり着く。)というものがあります。ローマ共和政末期の古典等を日ごろ読んでいて思うのは、この世の運命というものは神の意志で結局は決められてしまうのかもしれない、そうだとしても人間は最善を目指して力を尽くし敢然と決断をしていくべし。ここだという時と場で為すべきことを為すことで幸運をつかむことができる、ということです。不確実な世界の状況を憂うのではなく、挑戦できるチャンスの“潮時”と捉え、JBICがやるべきこと、我々にしかできないことを実現していくことが重要だと思っています。私たちJBICが先導(Navigate)し、ステークホルダーの皆様と未来を共創(Co-create)することで、日本の産業界や各国政府・関係機関からの信頼や期待に応えたいと考えています。

JBICは政策金融機関として、長年世界で培ってきた経験や知識と、グローバルにステークホルダーを糾合するパワーがあります。こうしたJBICのポテンシャルをステークホルダーの皆様に積極的に活用していただき、世界の環境課題や社会課題の解決のために、貢献していきたいと思っています。

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