アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)とは?
アジアにおいては、90年代後半の通貨危機の経験を踏まえて、金融における通貨・期間のダブルミスマッチ*1軽減による通貨危機のリスク低減やアジア域内の豊富な貯蓄を域内の投資に結びつけるための金融仲介機能の発展・深化が求められています。そのため、アジア各国はアジアにおける債券市場の育成を重要な政策課題と位置づけています。
こうした認識に基づき、ASEAN+3(日中韓)諸国の財務省・中央銀行は、2002年12月に日本が提案した「アジア債券市場育成イニシアティブ(Asian Bond Markets Initiative、ABMI)」を2003年8月の第6回ASEAN+3財務大臣会議で合意し、アジアにおける債券市場育成に向けた包括的な検討を主体的に行っています。日本政府の対外経済政策を実施するJBICも、ABMI推進に向け、アジアの現地通貨建てでの債券発行や債券への保証供与等を行うことを通じて、債券市場の育成に貢献しています。
アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)への対応 

JBICのアジア債券市場育成イニシアティブに関する取り組み
JBICでは、ABMIに関する様々な取り組みを行っています。具体的な事例については以下 をご覧ください。
債券発行・保証実績
JBICによるアジア現地通貨建て債券の発行
- タイ・バーツ建て債券の発行(2005年8月、30億バーツ)
日系FDI主体によるアジア現地通貨建て債券への保証の供与
- タイ・バーツ建て債券への保証供与(2008年8月、10億バーツ)
- マレーシア・リンギット建て債券への保証供与(2007年10月、2億リンギット)
- インドネシア・ルピア建て債券への保証供与(2007年3月、1兆ルピア)
- インドネシア・ルピア建て債券への保証供与(2006年3月、1兆ルピア)
- マレーシア・リンギット建て債券への保証供与(2006年1月、1.5億リンギット)
- タイ・バーツ建て債券への保証供与(2004年6月、35億バーツ)
アジア域内における債務担保証券(CDO)への保証の供与
- 韓国・中小企業の発行する債券を束ねたCBOへの保証供与(2004年12月、77億円)
- 『アジア版MTN(Medium Term Note)プログラムの実行可能性に関する調査報告と提言』(委託調査先:早稲田大学大学院法学研究科)
- 「Exploring the Use of Revenue Bond for Infrastructure Financing in Asia」『JBICI DISCUSSION PAPER』 No.15
- 「タイにおけるストラクチャード債券市場調査("The Structured Bond Market in Thailand")」 『JBICI Research Paper』 No. 35、2007年4月( 委託調査先:The Thai Bond Market Association)
- 「マレーシアにおけるインフラ・ボンド調査("Report on Infrastructure Financing and Bond Issuance in Malaysia")」 『JBICI Research Paper』 No. 34、2007年4月(委託調査先:RAM Economics Research)
- 「タイ、マレーシアにおける主要企業の属性別分布と資金調達構造、日系・外資系企業の位置づけ」『開発金融研究所報』 第31号、2006年9月
- アジアMTNプログラムとアジア資本市場法規制等市場インフラに関する国際フォーラム(2009年11月28日、於東京)
- 「アジア債券市場育成に向けた官民パートナーシップ」セミナー(2007年5月6日、於京都)