株式会社日本政策金融公庫
国際協力銀行

CO2回収・貯留(Carbon Capture and Storage:CCS)プロジェクトを推進する国際的な組織(Global Carbon Capture and Storage Institute:GCCSI)の発足が、4月16日にキャンベラにて開催された創立会合にて、ラッド豪首相より正式に発表されました。株式会社日本政策金融公庫 国際協力銀行(JBIC)は創立メンバーとして参加することを豪政府との間で合意しており、今後、GCCSIへの協力を通じて、CCSの国際的な普及に協力することになります。
CCSは、石炭火力発電所や油田、ガス田等から排出されるCO2を回収し、地底や深海底に貯留する技術で、温暖化ガス排出量を大幅に削減できる新しい気候変動対策の手段として注目されています。一方、設備コストが高いことや、効果の持続性、環境面への影響の評価が定まっていないこと等の理由により、本格的実施には至っていないのが現状です。
こうした状況を踏まえ、2008年7月のG8洞爺湖サミットでは、2020年の本格普及を目指し、2010年までに世界各地で20の実証プロジェクトを立ち上げることが、G8エネルギー大臣会合共同声明として採択されました。

一方、豪政府は、石炭等の化石燃料を大量に輸出する資源国として、国際的な気候変動対策としてCCSの開発・実施を積極的に支援する方針をとっています。その一環として、ラッド首相は2008年9月、国際的なCCSの開発・普及促進のための機関としてGCCSIの構想を発表し、以降、各国政府や関連企業に参加を働きかけてきました。JBICも2009年2月27日、豪政府との間で、GCCSI通じた国際的なCCS促進に関する業務協力協定を締結しました。
GCCSIは、CCSの諸課題を解決し、商業的な事業の普及を促進させる目的で設立されるもので、英国、韓国などの政府のほか、プラントメーカーやオイルメジャー等の民間企業等約60企業・機関が創立メンバーとして参加しています。
JBICは、石油・天然ガスなど資源開発融資や排出量取引の経験、さらにはCCSの事業化支援の情報を活用して金融面からの助言等を行う方針です。また、GCCSIには日本企業も多数参加しており、日本企業によるCCSプロジェクト開発や日本の技術活用にも貢献したいと考えております。