


株式会社国際協力銀行(JBIC)は2023年12月15日(金曜日)に東京で、12月19日(火曜日)に大阪で、それぞれ「海外投資セミナー~わが国製造業企業の海外事業展開~(第35回)」を開催しました。東京セミナーは対面とオンラインのハイブリッド形式で、大阪セミナーは対面で開催し、盛況のうちに終了しました。
両セミナーでは、JBIC調査部第1ユニット長の板垣慎一より「2023年度海外事業展開調査」の結果を報告しました。特に「中期的な有望事業展開先国・地域ランキング」でインドが得票率及び有計画率を大きく上昇させ、首位を維持したこと、中国が経済の不調や米国との対立もあり、3位にとどまったことなどを紹介しました。その後、サプライチェーン上で日本企業にとって中国は切り離せない調達先であること、中国政府の規制や西側諸国の対中法的措置が企業の事業運営にもたらす影響について説明しました。また、日本企業の約7割が価格転嫁を進めていること、「生物多様性」や「人権」について理解の困難さゆえに関心や取り組みが進んでいないことにも言及しました。
東京セミナーでは、サントリーホールディングス株式会社サステナビリティ推進部長の北村暢康氏、経済産業省通商政策局国際経済課長兼通商戦略室長の是永基樹氏、慶應義塾大学総合政策学部の白井さゆり教授にJBIC調査部長の川上直が加わり、パネルディスカッションを行いました。北村氏より、日本企業の脱炭素をはじめとするサステナビリティへの取り組みについて、企業の規模によってはウクライナ侵攻や円安の進行等の事情によって事業活動の維持・継続を優先せざるを得ないような状況であり、個々の企業別には、リソースの問題含め、サステナビリティへの取り組みスピードを緩めざるを得なくなってしまった可能性があるとのコメントをいただきました。
次に是永氏より、地政学リスクの高まりの中で、サプライチェーンを特定の調達ソースに依存するということをリスクとして感じている企業も多く、持続可能なサプライチェーンを再構築していくことが避けられない状況になってきているとの指摘がありました。
最後に、白井教授より、日本の価格転嫁はタイムラグを伴って、少しずつ負担にならないように進んでおり、それでも一部の中堅・中小企業が転嫁できない状況は、日本の消費の弱さからきているとのコメントがありました。
JBICは今後も引き続き、日本企業の海外事業展開に関する様々な情報提供を行っていく予定です。
わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2023年度海外直接投資アンケート調査結果)のプレスリリース及び報告書全文はこちら。