株式会社国際協力銀行(JBIC)は、7月16日、ベトナム国家大学ハノイ校傘下の経済大学にて、日本企業のベトナム進出状況や今後の事業展開の展望・課題、JBICにおける現地での活動状況についての出張講義を行いました。
本講義では、インフラ・環境ファイナンス部門審議役(ベトナムおよびASEAN広域連携担当チーフアドバイザー)兼ハノイ駐在員事務所首席駐在員の安居院より、JBICが毎年実施している「2024年度海外事業展開調査」の結果を参照しつつ、①ベトナムを日本企業が投資先としてどのような意味で有望と捉え、課題を感じているか、②グローバル・サプライチェーン変容の中での日系企業のベトナムへの生産・調達シフト傾向、③急速な経済成長や周辺国からの進出企業増加に伴う足元の人件費上昇と日系企業の対応等を中心に、解説しました。
特に、日系製造業企業の中長期的な有望事業展開先として、ベトナムは、2年連続世界第2位、6年連続ASEAN首位と非常に有望視されているほか、過去20年超にわたり世界第5位を下回ったことがないことから信頼・安心感を持って受け止められている、と説明しました。
また、安居院は、JBICのベトナムでの活動として、電力インフラ事業や日系製造業等向け融資を通じて日本からベトナムへの投資拡大や同国の経済成長に貢献していることや、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想の推進を通じて、同国の脱炭素化に貢献していることを紹介。特に、JBICが共同リーダーを務める「AZEC/GX推進ワーキングチーム」の活動を例に、日越官民対話によるエネルギー投資環境改善や、計15件・総事業費200億米ドル相当の「日越協力プロジェクト」の実現加速に向けた、現場でのダイナミックな取り組みを紹介しました。
本講義には国際ビジネス・経済学科から70名以上のベトナム人学生が参加。学生との質疑応答では、「経済成長を通じてベトナム自身も変化する中で、投資先としての魅力をいかに持続できるのか」、「ベトナムのビジネス環境をJBICや日本企業がどのように改善しようとしているのか」、といった視点から活発なディスカッションがなされ、学生の関心の高さが伺えました。
JBICは、ベトナムを含め、海外駐在員事務所の幅広い現地ネットワークを活かした、ホスト国政府・産業界を交えた政策対話、案件形成や調査等の活動を通じて、各国・地域に関する知見を日々蓄積しています。これらをもとに、今後も日本企業の海外事業展開に関するさまざまな情報提供を行うとともに、日本企業の海外でのビジネス展開および投資環境改善に貢献すべく、積極的に取り組んでまいります。

