株式会社国際協力銀行(JBIC)のハノイ駐在員事務所は、8月21日に、東京大学および同大学院の学生14名の訪問を受け、ベトナムの経済・社会課題および日本企業・JBICの現地活動に関する講義や、参加された学生との意見交換を実施しました。
東京大学では、2012年度から、今までの生活と異なる文化・価値観に触れる体験型教育プログラムを実施しており、ベトナムは国際交流体験における活動先の一つとなっています。今年度のハノイでの体験プログラムでは、日系企業やハノイ法科大学等のほかに、新たにJBICも訪問先に加わりました。
講義では、JBICインフラ・環境ファイナンス部門審議役(ベトナムおよびASEAN広域連携担当チーフアドバイザー)兼ハノイ首席駐在員の安居院より、現地駐在を通じて得た知見・実体験に基づき、①「ASEAN最有望の進出先」としてベトナムが日本企業から注目される理由、②「高所得国入りへの成長と変革」に邁進するベトナムで、日本企業が直面する課題と求められる変化、③「日本企業の課題解決」に向けたJBICの現地活動上の創意工夫と実践、その一例としてのアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想推進への日越官民対話の枠組み作りなど、豊富な事例を交えつつ、日越間の経済関係を見ていく上でのいくつかの視点について解説しました。
その上で、「品質や信頼など『日本企業の強み』を生かしてベトナムの成長に貢献することで、双方が果実を享受出来るのみならず、現地での『日本の存在感』を高めていけるのではないか」、「海外に出て異質な社会に触れる中で、はじめて『日本』や『日本人』の特長に気付くことが出来るのではないか」との問題提起を行いました。
学生との質疑応答では、①ベトナム共産党トップが短期間に矢継ぎ早に改革を進める中、外国資本は対応していけるのか、②長期の為替変動を含めた事業環境の変化に、日本企業はいかに適応しているのか、③大規模プロジェクト開発の遅延などの事業上の課題解決を、JBICはどのように支援しているのか、④AZECの下で支援する脱炭素化とベトナムの高所得国入り目標との両立へ、JBICはいかなるアプローチや配慮をしているのか、⑤大学卒業後に専門性を身につけるため、社会人として研鑽や経験をどのように積んできたのか等、幅広い視点から活発な議論がなされたほか、⑥今回の訪問で、ベトナムへの解像度が引き上げられた、とのコメントも頂戴し、学生の皆さんの関心の高さが伺えました。
JBICは、ベトナムを含め、海外駐在員事務所の幅広い現地ネットワークを活かした、ホスト国政府・産業界を交えた政策対話、案件形成や調査等の活動を通じて、各国・地域に関する知見を日々蓄積しています。これらを活かして、今後も日本企業の海外事業展開に関するさまざまな情報提供を行うとともに、日本企業の海外でのビジネス展開および投資環境改善に貢献すべく、積極的に取り組んでまいります。


