政策金融機関ならではの取り組みで世界の脱炭素化に貢献する
※本ページの内容は、日経ビジネス2023年12月25日・2024年1月1日合併号に掲載したタイアップ広告を再構成したものになります。
政策金融機関として、脱炭素化をはじめサステナビリティに関する取り組みを積極的に推進している国際協力銀行(JBIC)。そのビジョンと具体的な取り組み事例について、同行 企画部門 執行役員サステナビリティ統括部長の矢野裕子氏に聞いた。
サステナビリティの実現に向け「JBIC ESGポリシー」を公表
企業理念の「国際ビジネスの最前線で、日本そして世界の未来を展きます。」を掲げ、日本および国際経済社会の持続的な発展に向け、地球規模の課題解決に取り組んでいる国際協力銀行(以下、JBIC)。2021年10月には「JBIC ESGポリシー」を策定した。
「脱炭素化をはじめ、地球や世界の人々が直面するサステナビリティの諸課題への対応方針を掲げています。とくに15年のパリ協定を機に取り組みが加速し、先進国のみならず新興国・途上国を含めた世界レベルでの対応が急務な気候変動問題については、重点的な対応方針を定めました」と語るのは、同行 企画部門 執行役員サステナビリティ統括部長の矢野裕子氏である。
気候変動問題への対応方針では、政策金融機関ならではの機能をフル活用し、各種ファイナンスやエンゲージメント、多国間連携等を通じ、新興国・途上国のエネルギートランジションを加速させ、世界全体でのカーボンニュートラル実現に貢献していくことを謳っている。また、パリ協定実現に貢献するため、50年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロを追求することも表明している。
多様な政策金融ツールを活用して世界の脱炭素化を積極的に支援
投融資先の脱炭素化を支援するため、JBICはグリーンファイナンスとして様々な金融メニューを活用した支援を積極的に行っている。例えば、日本企業がフランスやエジプトの企業と共に出資するエジプトの陸上風力発電事業プロジェクトに、欧州復興開発銀行などとの協調融資を実施した。「他にも、日本企業が関わる数多くの再エネ事業を支援しています。再エネ事業は電力の安定供給も課題であり、国を越えて電力を融通し有効活用することで電力供給の安定化を図る国際連系線事業への支援にも注力しています。また、脱炭素化に向けては多様なエネルギー源の活用が重要と考えており、再エネのみならず水素等の新エネルギー事業の支援にも特に力を入れています」(矢野氏)。
また、世界には経済発展段階・地理的特性や業界特性を踏まえれば急速な脱炭素化が困難な国や業種が存在する。そうした国や業種におけるエネルギー移行の取り組みを支援するのがトランジションファイナンスだ。JBICは、日本企業が参画するウズベキスタンの天然ガス火力発電事業などにトランジションファイナンスを供与している。「脱炭素社会に移行する過程において重要な役割を果たす天然ガスなどのプロジェクトでは、国際的な合意や日本政府の方針を踏まえつつ、当該国の脱炭素化戦略のロードマップや、その中におけるプロジェクトの位置付けなどを十分に精査、検討した上で支援を決定しています」(矢野氏)。
また、グリーンファイナンスに充てる資金の調達方法の一つとして、JBICは23年10月までに3回にわたりグリーンボンドを発行している。グリーンボンドとは、気候変動対策など、環境問題を解決するプロジェクトの資金調達を目的に発行される債券のことだ。
エンゲージメントや多国間連携を強化 日本企業によるイノベーションも支援
脱炭素化の推進に当たっては、資金の提供のみならず、個々の国の経済発展戦略やエネルギー戦略などを深く理解し、その実現に向けた幅広い協力関係を築くことも重要だ。
JBICは新興国・途上国の支援において、2国間のエンゲージメント、多国間連携、国際金融機関などとの連携を通じて、脱炭素社会の実現に繋がる日本の技術やノウハウの活用も含めた案件組成支援を行っている。
「政策金融機関として培ってきたネットワークを生かし各国の脱炭素化に向けた取り組みを加速させると同時に、日本企業の事業機会創出やビジネス促進にも繋がるWin-Winの関係構築を目指しています」と矢野氏。
また、JBICは、気候変動以外のサステナビリティ課題についても積極的に支援。例えば資源の再生や再利用といった「循環経済」を促進するプロジェクトである、日本企業が出資するカナダでのEスクラップ(電気・電子廃棄物)の回収処理事業などに融資を行っている。
矢野氏は、「循環経済の確立は、気候変動問題の解決に資するものでもあります。また、脱炭素化や循環経済を含むサステナビリティの諸課題の有用な解決策の一つは、イノベーションです。23年4月に国際協力銀行法が改正され、脱炭素化等の成長分野を見据えた、スタートアップを含む日本企業のさらなるリスクテイクの後押しを推進すべく、当行の機能強化が図られました。当行の今後の課題の一つはこうした機能をフル活用した、日本企業によるイノベーションの支援であると考えています。当行は、これからも政策金融機関としての機能を存分に発揮しながら、サステナブルな社会の実現に貢献していきます」と語った。
国際協力銀行 企画部門 執行役員サステナビリティ統括部長
矢野 裕子氏
1993年入行。産業ファイナンス部門 船舶・航空宇宙部長、審査・リスク管理部門 審査部長などを経て、2022年6月から現職。