- 地域: 中南米
- インフラ
- 事業開発等金融
- 保証
2008年12月10日
- 国際協力銀行(JBIC、経営責任者:渡辺 博史)*1 は、12月9日(パナマ時間)、パナマ共和国パナマ運河庁(Autoridad del Canal de Panamá:略称ACP)との間で、パナマ運河拡張プロジェクト向けに総額8億米ドルを限度とする事業開発等金融の融資契約に調印しました。本融資は、三菱東京UFJ銀行及び三井住友銀行を共同幹事行とする民間金融機関との協調融資であり、民間金融機関の融資部分に対しては、JBICが保証を行います。
- 本プロジェクトは、パナマ運河の現在の運航容量を倍増させ、大型船舶(ポスト・パナマックス船*2)の運航を可能とするために、閘門設備(2基)の建設、既存航路の拡張及び浚渫等を実施するものです。パナマ運河は北米東海岸と日本をはじめとするアジア地域を結ぶ海上交通の要衝であり、日本の外航海運にとって必要不可欠な存在です。日本発着の船舶は、本運河の全通行量の14.0%(2007年実績)を占めており、日本は世界第3位のユーザー国となっています。
- 本拡張により、ポスト・パナマックス船舶の運航が可能となるほか、運河のキャパシティが現状の2倍となるため、他ルートへの迂回を余儀なくされていた大型船舶の航行が可能となり、混雑による待ち時間も解消されます。この結果、パナマ運河の大口ユーザーである日本の海運業界及び北米向け輸出を行う日本の輸出者にとっては、輸送コストの低減及び輸送時間の短縮が期待されます。また、アフラマックスサイズ *3のタンカーやLNG船の航行も可能となるため、南米等からの原油やLNGの輸入が円滑に行われるようになり、日本にとっては、資源供給先国の多様化が推進され、資源の安定供給確保につながることが期待されます。
- 本プロジェクトは、総事業費52.5億ドルのうち23億ドルを借入により調達しますが、JBIC以外に、米州開発銀行(IDB)、国際金融公社(IFC)、欧州投資銀行(EIB)及びアンデス開発公社(CAF)が本プロジェクトに融資を行います。JBICは、これらの国際機関と協調して本プロジェクトを金融面から支援することにより、日本の国際競争力維持・向上や資源の安定供給確保に貢献します。
- *1 国際協力銀行(JBIC)は、株式会社日本政策金融公庫(総裁:安居 祥策)の国際部門です。
- *2 パナマックス船とは、パナマ運河を満載状態で通航し得る最大船型。パナマ運河を通航可能な船の最大幅から、通常は船幅を32.2メートルとしている。一般的には、コンテナ船であれば4,000TEU程度。ポスト・パナマックス船は、パナマ運河拡張後に運航し得る最大船型。船幅を48.8メートルとし、12,000TEUの大型コンテナ船や11万載貨重量トン数(D/W)のアフラマックスタンカー、大型LNG船がこれに含まれる
- *3 AFRAとは、Average Freight Rate Assessmentの略。1954年4月よりロンドン・タンカー・ブローカーが作成している運賃指標。現在では、8万載貨重量トン数(D/W)から12万D/W程度のタンカーを広くアフラマックスタンカーと呼ぶ。