- 地域: アフリカ
- 一般機械・設備
- 輸出金融
- プロジェクトファイナンス
2010年8月10日
- 国際協力銀行(JBIC、経営責任者:渡辺 博史)*1は、9日、エジプト・アラブ共和国法人EGYPTIAN REFINING COMPANY (TAKRIR) S.A.E.(略称:ERC)との間で、総額900百万米ドルを限度とするプロジェクトファイナンス・ベース*2のバイヤーズ・クレジット*3の融資契約に調印しました。本融資は、JBICと民間金融機関(株式会社三菱東京UFJ銀行(幹事行)、ソシエテ ジェネラル銀行東京支店、香港上海銀行東京支店、スタンダードチャータード銀行東京支店、クレディ・アグリコル銀行東京支店、住友信託銀行株式会社)との協調融資により実施され、民間金融機関融資部分には独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による貿易代金貸付保険が付与されます。また、韓国輸出入銀行(KEXIM)、欧州投資銀行(EIB)、アフリカ開発銀行(AfDB)といった他国輸出信用機関や国際機関も参加する国際協調融資案件です。なお、本件はJBICのエジプトにおける初のプロジェクトファイナンス案件となります。
- 本プロジェクトは、エジプトの投資会社であるCitadel Capital S.A.E.が、エジプト石油公社(EGPC)等と共に出資するERCが、EGPC所有のカイロ製油所から出る残渣油を精製するため、二次精製設備を建設・所有・操業し、EGPCに対してディーゼルを中心とする石油精製品を長期にわたり販売するものです。JBICは三井物産株式会社が参画する共同事業体(J/V)が一括受注した二次精製設備にかかる建設資金をERCに対し供与することにより、日本製プラント、機器類の輸出を金融面から支援します。
- エジプトは、老朽化した一次精製設備のみの製油所が多いため、ディーゼルを中心とする国内の石油精製品需要が満たされておらず、余剰の重油を輸出している一方で、ディーゼルを輸入しています。本プロジェクトは、高度な二次精製設備の導入によりディーゼル等の輸入代替を図るものであり、また、最新鋭設備を導入して高品質の精製品を生産することから、精製・燃焼時に排出されるNOxやSOx等の大気汚染物質が抑制され、環境改善に繋がることも期待されます。
- また、日本政府は、2008年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)において、JBICによる5年間で総額25億ドルのアフリカ向け金融支援実施を表明していますが、本融資は日本企業の輸出支援を通じてこの目的にも寄与するものとなります。
- JBICは国際金融不安の影響を受けて資金調達計画の再考を余儀なくされた本プロジェクトに参加し、プロジェクトファイナンスの豊富な経験を生かし、他の公的機関と協調し円滑な融資組成の実現に貢献してきました。今後も日本企業の輸出機会創出のため、日本の公的機関としての知見、リスクテイク機能を活用し、様々な金融手法により日本企業の海外における活動を金融面から支援していく方針です。
注釈
- *1 国際協力銀行(JBIC)は、株式会社日本政策金融公庫(総裁:安居 祥策)の国際部門です。
- *2 プロジェクトファイナンスとは、主に対象となるプロジェクトのキャッシュフローを担保とする融資スキームのこと。
- *3 バイヤーズ・クレジットとは、外国の輸入者が日本企業から機械設備等を輸入するための資金を、JBICより外国の輸入者に直接融資する形態。