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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:渡辺 博史)は、わが国製造業企業の海外事業展開の動向に関するアンケート調査を実施し、本日結果を発表しました。今回の調査は、本年7月に調査票を発送し、7月から9月にかけて回収したものです(対象企業数1,016社、有効回答数607社、有効回答率59.7%)。本調査は、海外事業に実績のある日本の製造業企業の海外事業展開の現況や課題、今後の展望を把握する目的で1989年から実施しており、今回で27回目となります。(報告書全文:わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告)
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本年度調査では、例年調査を行っている「中期的海外事業展開見通し」や「海外事業展開実績評価」、「有望事業展開先国・地域」などに加え、個別テーマとして、以下についても調査を行いました。
【個別テーマ】
- 今後取り組むべき経営課題
- 海外M&Aの実施状況と取組方針
- 海外事業展開を行う企業の国内回帰の動向
- 日本のマザー工場と海外工場の比較
- 海外事業展開を行う企業が考慮する最近の国際情勢について
- 中国情勢と今後の事業展開姿勢
- アジア地域におけるインフラニーズと課題
- 新興国事業展開に伴う長期資金(3年超)の借入について
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本調査結果の主な要旨は以下の通りです。
(1)中期的な海外事業展開姿勢
最近の世界経済の状況を反映して、海外展開の強化・拡大姿勢は8割を超えたものの例年の結果と比較すると足踏みの様相。
(2)中期的有望国
前回に引き続き第1位となったインド、第2位のインドネシア及び中国の3ヵ国の得票率が4割前後で拮抗し、下位国に差をつけている。また、ブラジル(第9位)とロシア(第12位)の得票率がそれぞれ大幅に下落する一方、メキシコ(第6位)、米国(第7位)、フィリピン(第8位)の得票率はそれぞれ上昇しており、最近の各国・地域の経済情勢の影響が現れていると考えられる。なお、業種別の有望国のうち、「自動車」では、前回第4位だったメキシコが、業種別の調査を開始以来、初めて第1位を獲得した。(3)今後取り組むべき経営課題
「既存事業の質的・量的拡大」や「高い競争力のある商品(ニッチトップ商品)の開発」という従来型の課題が上位を占めるが、「海外拠点の人材育成」、「新たな成長ドライバーとなる新規事業の創出」、「現地ニーズに合致した商品開発」が、それらに次ぐ重要な課題として認識されている。(4)海外M&Aの取り組み
海外事業展開において海外企業に対するM&Aを重要な経営手段と認識しているとの回答割合が7割以上に及び、海外M&Aに対応しているとの回答割合も5割を超えた。海外M&Aの目的としては、「新規市場開拓、販売網の拡大」の回答割合が8割近くを占めた。(5)国内事業展開と国内回帰
海外事業を強化・拡大する企業のうち、国内事業を維持又は強化・拡大する見通しにある企業の割合は3年連続で上昇し、ほぼ9割となっている。また、国内回帰については、「実施した」又は「今後実施計画がある」との回答割合は計13.8%であり、生産を日本に移管した海外拠点は主に中国の拠点であった。なお、国内回帰を実施した理由で最も多かったのは、「円安により、日本からの輸出競争力が高まったため」であった。 -
JBICでは、今回の調査結果を踏まえ、国際的な競争にさらされている日本企業の海外事業展開支援及び各国・地域の投資環境改善に向けた現地政府当局や関係機関との対話などを引き続き行っていきます。
別紙1:(抜粋)中期的(今後3年程度)有望事業展開先国・地域