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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:近藤 章)は、29日、「海外展開支援融資ファシリティ」*1の一環として、三井海洋開発株式会社(以下「MODEC」)が三井物産株式会社、株式会社商船三井、丸紅株式会社及び三井造船株式会社と共に出資するオランダ王国法人Sepia MV30 B.V.(以下「SEPMV30」)との間で、融資金額約492百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス」*2による貸付契約を締結しました。本融資は、ブラジル連邦共和国(以下「ブラジル」)の国営石油会社Petróleo Brasileiro S.A.(以下「ペトロブラス」)が権益を有するブラジル沖合Sepia油田*3開発のためのペトロブラス向けFPSO*4長期傭船サービス事業を対象としており、株式会社三井住友銀行(幹事行)、ING Bank N.V.、Société Générale、株式会社みずほ銀行、Oversea-Chinese Banking Corporation Limited、株式会社三菱東京UFJ銀行及びABN AMRO Bank N.V.との協調融資によるもので、協調融資総額は約987百万米ドルです。
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本プロジェクトは、MODECがFPSO1基(生産能力:原油18万バーレル/日、ガス212百万立方フィート/日、原油貯蔵能力140万バーレル)を建造し、SEPMV30が21年間に亘り、ペトロブラスに対して傭船サービス(リース及び運転・保守点検等)の提供を行うものです。
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近年、各国石油会社が海底油田の開発を積極的に進める中、南米(主にブラジル)、西アフリカ地域を中心に新規FPSO需要の拡大が見込まれており、ブラジルにおいて多数の海底油田開発を手掛けるペトロブラスは、同開発への注力を明言しています。MODECはブラジルをFPSO事業の有力マーケットと位置付けており、本プロジェクトはMODECが関与する10隻目のペトロブラス向けFPSO傭船事業です。
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「未来投資戦略2017」(2017年6月9日閣議決定)においては、日本周辺海域に相当量の賦存が期待されるメタンハイドレートについて、「開発・商業化に向けた技術開発等の官民協力を促進する。」とされています。本プロジェクトを通じ、日本の海洋エネルギー事業者が、海洋資源開発に不可欠なFPSOの傭船サービスを継続して提供することは、FPSOの操業に係る技術供与・ノウハウの向上に資するものです。また、これらを通じ、日本企業の海洋資源開発分野における国際競争力の維持・向上が図られ、日本近海における海洋資源開発を含めた日本の資源の確保及び安定供給に貢献することも期待されます。
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JBICは、日本の公的金融機関として、重要資源の開発・取得の促進及び日本の海洋産業の国際競争力の維持・向上を念頭に、今後も海洋資源開発の活発なブラジルやアフリカ地域を含む海外における日本企業の事業展開を金融面から支援していきます。
注釈
- *1
2016年6月21日付お知らせをご参照下さい。
- *2
プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキームです。
- *3
リオデジャネイロ州沖合南東約250kmに位置するSantos盆地プレソルト層にある巨大油田です。
- *4
FPSO:Floating Production Storage and Offloading Systemの略です。浮体式の原油の一次処理(井戸元より生産された原油から、随伴ガス、水を分離すること)・貯蔵・積出のための設備です。