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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、本日、2024年度第1四半期(4~6月)の業務概況について、以下のとおり公表しました。なお、金融目的別の承諾額等については、別添資料をご参照下さい。
Ⅰ.出融資・保証業務
1.承諾状況
2024年度第1四半期の出融資・保証承諾は、16件、約3,780億円となりました。
2.実行・回収・残高状況
2024年度第1四半期の実行額は約3,055億円、回収額は約7,975億円であり、その結果、同期末残高は、出融資計約17兆1,253億円、保証約1兆5,238億円、合計約18兆6,492億円となりました。
Ⅱ.主な取り組み
1.カーボンニュートラルと経済発展の統合的実現への貢献
(1)水素・アンモニア分野を支援
アラブ首長国連邦において日本企業が実施するアンモニア製造・販売事業に必要な資金を融資しました。本事業にて製造されるアンモニアの一部を日本企業が引き取り、日本において燃料用途や化学・肥料原料等に利用される予定であり、水素等サプライチェーンの構築及び脱炭素燃料としてのアンモニアの長期安定確保に貢献することが期待されます。
(2)革新的技術を用いた再生可能エネルギーの取り組みを支援
ドイツにおいて日本企業が参画する地熱発電及び地域熱供給事業に必要な資金を融資しました。本事業で用いられているクローズドループ地熱利用技術は、従来の地熱発電と異なり、地下の熱水や蒸気が十分に得られない地域でも効率的に熱を取り出すことができるため、幅広いエリアでの開発が可能であり、地熱業界のゲームチェンジャーになり得る技術と目されています。
2.我が国のエネルギー安全保障の確保、バリューチェーン/サプライチェーン強靱化及び先端的産業基盤への支援
(1)日本企業のサプライチェーン強靱化及び海外M&Aを支援
米国において日本企業が実施する半導体薬液の生産設備の増設、イタリアにおいて日本企業が実施するバッテリーEV等向け自動車部品の製造・販売事業及びインドにおいて日本企業が実施するデータセンターの建設・運営事業に必要な資金を、それぞれ融資しました。また、日本企業による豪州の物流企業やシンガポールの海運企業の買収に必要な資金をそれぞれ融資しました。
(2)日本にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進を支援
銅精鉱の長期安定的な確保に向け、チリにおいて日本企業が参画する銅鉱山開発事業に必要な資金を融資しました。また、日本にとっての重要なエネルギー資源であるLNGの長期安定確保及び調達先の多角化のため、豪州において日本企業が参画するガス田開発事業に必要な資金を融資しました。このほか、日本向けの低炭素鉄鋼原料のサプライチェーン強靱化等を念頭に、ブラジル及びチリの大手資源企業との間で覚書を締結しました。
3.グローバルに活躍する中堅・中小企業の海外展開支援
ベトナムにおける各種精密機械部品の製造・販売事業やインドネシアにおいて農業ドローン事業を展開する日本企業によるインドネシア企業の買収に対する融資、インドネシアにおける自動車部品用プレス金型の製造・販売事業向け民間金融機関融資に対する保証等、計5件、約2億円相当の支援を行いました。
4.戦略的な国際金融機能の発揮による独自のソリューション提供
G7各国の開発金融機関との間で、さらなる連携強化や民間資金の動員を通じ、アフリカ地域を含む「グローバルサウス」諸国における持続可能な発展に貢献するための包括的な協力強化に関する共同声明を発表しました。
5.その他の取り組み
(1)第5期中期経営計画の策定
2024年6月、より一層不確実性を増す国際情勢や、喫緊の課題である気候変動問題等を踏まえ、2024~2026年度を対象とする第5期中期経営計画を策定しました。本中期経営計画の下、JBICはさまざまなステークホルダーと共に、世界共通の課題であるカーボンニュートラルやホスト国の抱える社会課題を達成・解決を通じ、持続可能な未来を実現していきます。また、2023年4月のJBIC法改正(2023年10月全部施行)による機能強化を通じ、エネルギー安全保障の確保やサプライチェーンの強靱化に向けた取り組みや、革新的技術・新事業の展開やスタートアップ企業への積極的な支援を行うことで、我が国産業の創造的変革を後押しします。加えて、多国間連携の推進や特別業務を含むリスクテイク機能を通じ、JBIC独自のソリューションを提供することで、我が国の対外経済政策の構築・実現にも貢献します。日本と世界、官と民をつなぐ政策金融機関として、特別業務等の独自のリスクテイク機能・国際金融への知見を駆使し、民間資金の動員も行いつつ、世界の課題解決を先導し、未来を共に創っていきます。
(2)グローバル投資強化ファシリティの下での取り組み
JBICは、2022年7月に「グローバル投資強化ファシリティ *1」を創設し、日本企業による脱炭素化をはじめとする地球環境保全への貢献、サプライチェーン強靱化、質高インフラ展開や海外における新たな市場創出を支援しています。2024年度第1四半期のグローバル投資強化ファシリティの融資・保証承諾実績は計15件、総額約3,712億円となっております。
注釈
- *1
2022年7月1日付お知らせをご参照ください。