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インドネシア・ムアララボー地熱発電拡張事業に対するプロジェクトファイナンス
日本企業による再生可能エネルギー発電事業拡大を支援

  • 地域: アジア
  • インフラ
  • 環境
  • 投資金融
  • プロジェクトファイナンス
2025年1月14日
  1. 株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、10日、住友商事株式会社及び株式会社INPEX等が出資するインドネシア共和国(以下「インドネシア」)法人PT Supreme Energy Muara Laboh(以下「SEML」)との間で、同国ムアララボー地熱発電拡張事業を対象として、融資金額約138百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンス*1による貸付契約を締結しました。本融資は、株式会社みずほ銀行、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行及び株式会社百五銀行の各民間金融機関並びにアジア開発銀行との協調融資により実施するもので、協調融資総額は約370百万米ドルです。民間金融機関の融資部分には株式会社日本貿易保険(NEXI)による保険が付されます。
      
  2. 本プロジェクトは、SEMLがインドネシアの西スマトラ州南ソロック県において操業中のムアララボー地熱発電事業(約85MW)の発電能力を約83MW拡張し、2052年までインドネシア国営電力会社(PT PLN(Persero))に対して売電するものです。
      
  3. 日本政府は、「インフラシステム海外展開戦略2025」(令和5年6月追補版)において、カーボンニュートラル・脱炭素移行への支援として、ホスト国のエネルギー政策に適合し、高度な技術を活用して環境負荷を抑制した質の高いエネルギー・電力インフラに対する金融支援を実施する方針を掲げています。また、「2030年を見据えた新戦略骨子」(令和6年6月経協インフラ戦略会議決定)においても、グリーン・デジタル等の社会変革をチャンスとして取り込む機動的対応が掲げられています。本融資はこうした施策に沿うものであり、日本企業が出資者として事業参画し、長期にわたり運営・管理に携わる海外インフラ事業を金融面から支援することで、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものです。
      
  4. また、日本政府は2022年1月、日本企業が強みを持つ技術・知見を活かし、エネルギー・トランジションに向けたアジア各国の取り組みを支援し、協力する枠組みとして「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想を提唱しました。インドネシアはAZECの重要なパートナー国であり、JBICによる本件に対する支援は、こうした日本政府の方針にも沿うものです。さらに、本融資は、2022年11月に日本政府や米国政府を始めとするパートナー国とインドネシア政府との間で合意された、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(インドネシアJETP*2)」の趣旨にも合致するものです。
      
  5. インドネシア政府は、2021年10月に発表した電源開発計画(「RUPTL 2021-2030」)を2060年カーボンニュートラル達成に向けた基礎と位置づけ、2025年までに電力供給に占める再生可能エネルギーの割合を23%とする計画(2050年までに同31%)や、2030年までの新規電源開発量の50%以上を再生可能エネルギー(うち地熱発電は全体の約8%)とし、うち約6割をIPP事業*3とする計画を掲げる等、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進する方針を示しています。本件は、こうした同国政府のエネルギー移行政策に沿うものです。
      
  6. JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、アジア開発銀行をはじめとする国際機関とも連携しながら、日本企業による海外インフラ事業展開を金融面から支援していきます。
      
注釈
  1. *1 
    プロジェクトファイナンスとは、プロジェクトに対する融資の返済原資を、そのプロジェクトの生み出すキャッシュフローに限定する融資スキームのことです。
  2. *2 
    Just Energy Transition Partnershipの略。
  3. *3 
    IPP(Independent Power Producer)とは、自前で発電設備を建設・運営し、電力を販売する独立系発電事業者のことです。

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