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株式会社国際協力銀行(JBIC、総裁:林 信光)は、13日、ブラジル連邦共和国(以下「ブラジル」)で開催される国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP 30)の機会を捉えて、ブラジル銀行(Banco do Brasil)との間で覚書を締結しました。
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本覚書は、バイオ燃料分野・送電分野を中心とする気候変動緩和および資源の持続可能な利用に関する業務協力関係の強化と、同分野を対象としたクレジットライン組成を目的とするものです。
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ブラジル銀行は、ESGファイナンスにおけるブラジル国内のリーダーを自認しており、2024年2月発表のSustainable Finance Frameworkにて、バイオ燃料分野・送電分野を含む気候変動対策分野への融資の推進を掲げています。今後、農業セクターおよびサステナビリティセクターに強みを有するブラジル銀行と、バイオ燃料分野における協力関係を強化することで、JBICの支援可能性は、バイオ燃料の製造のみならず、バイオ燃料の原料生産(サトウキビ、トウモロコシ等)まで拡大することが期待できます。
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また、ブラジル政府はCOP30を自国開催する中、気候変動対策分野において国際的に主導的な役割を発揮する好機にあります。2023年 8月に発表されたPrograma de Aceleração do Crescimento(PAC、成長加速プログラム)において、再生可能エネルギーおよびバイオ燃料の開発を具体的な投資案件として挙げており、本件はこうしたブラジル政府の取り組みに貢献するものです。
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加えて、両国は2024 年 5月の岸田総理大臣(当時)によるブラジル訪問時に、ブラジルが高いポテンシャルを有するバイオ燃料・合成燃料等と、ハイブリッドエンジン等の日本の高性能なモビリティ機器を組み合わせ、カーボンニュートラルの実現を目指す新たな国際枠組み「ISFM(Initiative for Sustainable Fuel and Mobility)」を立ち上げています。また、本年9月には大阪・関西万博と連携し、ブラジルと日本が共同議長を務める形で「持続可能燃料閣僚会議」を初めて開催し、34の国・機関が集まり、バイオ燃料等の持続可能燃料は、温室効果ガス排出削減に加え、エネルギー安全保障、経済成長、雇用創出への貢献といった観点から重要な役割を果たすことが改めて確認されました。本年11月のCOP30首脳級会合では、議長国のブラジルが日本およびイタリアと共同で、2035年までに2024年比でバイオ燃料を含む持続可能燃料の利用を4倍以上に増やす目標を宣言し、19か国が支持を表明しています。本件は、こうした政府間の取り組みに合致したものであり、両国が目指す脱炭素社会の実現と日本の自動車産業の維持・発展に資するとともに、我が国の経済安全保障に寄与することが期待されます。
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JBICは今後も、日本の公的金融機関として、こうした海外の公的金融機関等とも連携しつつ、日本企業の事業機会創出およびビジネス促進を金融面から支援していくとともに、日本とブラジルとの緊密な経済関係の一層の深化・発展に貢献していきます。