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脱プラスチックに挑む老舗アパレル副資材メーカー。異業種との連携で、環境対策を活路に

わが社のグローバル展開 コバオリ株式会社

非食用の米を原材料とするバイオマスプラスチック「ライスレジン」を、開発メーカーと連携してベトナムで製造・販売。時代の潮流に合わせて事業を多角化し、社会課題に向き合う新たな挑戦がいま始まった。

コバオリ株式会社の代表取締役社長の小林慎吾さんの画像 コバオリ株式会社の代表取締役社長の小林慎吾さんの画像

コバオリ株式会社/代表取締役社長 小林慎吾さん 1989年入社。2004年に三代目社長に就任。国内外の社会課題の解決に高い志を持ちながら、社員への細かな気配りを忘れず、オフィスでは気さくに声をかける。トレイルランが趣味で、不整地を走る中で郊外の耕作放棄地を目にしたことも廃棄されている米の活用を考えるきっかけとなった

織ネームに始まる、進取の気概を持つDNA

洋服に必ず付いているブランド名や洗濯表示が記載されたタグ、衣料品の包装用パッケージといった、あらゆるアパレル副資材の製造と販売を手掛けているのが、京都市に本社を置くコバオリ株式会社だ。

紳士服の織ネーム(洋服の襟首の内側等に付いているブランド名が表示された小さな織物)の問屋として1947年に創業した老舗アパレル副資材メーカーは現在、バイオプラスチックの製造・販売をベトナムで進めている。

なぜバイオプラスチックか。そこには創業以来、脈々と受け継がれてきている時代に沿ったビジネスを見抜く着眼点があった。

コバオリの歴史を紐解いてみる。創業当時、洋服はほぼオーダーメードで仕立てられていたが、二代目が継いだ1970年代には大量生産により、既製品が百貨店に並ぶようになった。

仕立屋を中心に織ネームの商売を続けてきたコバオリだが、この苦境の中で目をつけたのは靴だ。当時、靴は海外輸入品が多く、ブランド表示が必要とされる中、瞬く間に引き合いが増えた。靴は1セット2足、織ネームも2個付くことから倍量が売れたのがポイントだ。

その後、日本のファッション業界は海外生産へと大きくシフトしていく。多種多様な衣料品を扱う大手アパレルとなると、生産するタグは約1億点を超え、アパレルメーカーが付帯業務となるタグの生産まで自ら手掛けるには限界がある。その点を見越し、タグのみならず包装用パッケージといった副資材の生産を集約して一手に請け負うことで、業績を伸ばしていった。

「同じ業界の中でもあまり例のない新しい業務スタイルに積極的に取り組んできました。そんなDNAが受け継がれているのかもしれません」。現在、三代目を担う小林慎吾社長はそう振り返る。

プラスチック包装の海外生産開始も、人々の環境意識の変化に直面

海外に生産拠点をシフトさせたメーカーからの要望に応え、アパレル副資材も現地生産へと変わっていった。コバオリは1995年に中国・上海に製造拠点を設け、2001年には中国・青島で包装用パッケージの製造も始めた。

「何かあったらいつでも撤退できるように、リスクを最小に抑えることを常に考え、自分の目で現地を見て判断している。海外進出に際してはその姿勢を忘れないようにしています」

そして、15年にはベトナム・ホーチミンでフィルムパッケージの生産を開始。中国への一極集中に対するリスク分散も視野にあったが、その頃から、環境問題への意識の高まりを受け、世の中が大きく脱プラスチックへと動き始める。

「プラスチックの包装パッケージを大量に使用するファッション業界全体でも、この流れに対応しなくてはいけないと思っていましたが、工場を設置した以上、なんとか事業を継続できる方法はないかと模索していました」

リスクを小さくして、利益をあげながら、同時に企業として社会的な貢献も果たしていく。「儲けだけ考えていては無理がでてくる」と力強く語る代表取締役社長の小林慎吾さんの画像

リスクを小さくして、利益をあげながら、同時に企業として社会的な貢献も果たしていく。「儲けだけ考えていては無理がでてくる」と力強く語る代表取締役社長の小林慎吾さん

ベトナムで非食用の米を活用した、バイオマスプラスチックの製造へ

そんなジレンマに陥っていたときに出会ったのが、バイオマスレジンホールディングスの神谷雄仁代表取締役CEOだった。

食用に適さない古米などを活用して開発したバイオマスプラスチック「ライスレジン」の普及を進め、日本で増え続ける耕作放棄地の有効活用といった農業問題の解決も図りたいという神谷CEOの熱い思いに、小林社長の心が大きく動いた。課題であった環境への配慮にも対応できる。

「ライスレジンをグローバルに通用するブランドにしたい。そのために、ベトナムでの供給を一緒に手掛けていきたい」(小林社長)

ベトナム工場では主にプラスチック製造業者向けにバイオマスプラスチックの原料となるライスレジンを供給の画像

ベトナム工場では主にプラスチック製造業者向けにバイオマスプラスチックの原料となるライスレジンを供給

そして21年、コバオリとバイオマスレジンは、バイオマスプラスチックの製造・販売事業を担う合弁会社をベトナムで立ち上げ、コバオリの既存工場の設備を生かし、ライスレジンの生産を開始した。ベトナム産の非食用の米を使い、ベトナムでライスレジンの普及拡大を進めるにあたっては、JBICからの融資も活用している。

ライスレジンは米由来の日本発のバイオマスプラスチックだ。袋パックや文具などはもちろん、ライスレザーランドセルからお米のメガネフレームまでその製造用途は多岐にわたる(写真はバイオマスレジン福島工場で製造したもの)①の画像
ライスレジンは米由来の日本発のバイオマスプラスチックだ。袋パックや文具などはもちろん、ライスレザーランドセルからお米のメガネフレームまでその製造用途は多岐にわたる(写真はバイオマスレジン福島工場で製造したもの)②の画像

ライスレジンは米由来の日本発のバイオマスプラスチックだ。袋パックや文具などはもちろん、ライスレザーランドセルからお米のメガネフレームまでその製造用途は多岐にわたる(写真はバイオマスレジン福島工場で製造したもの)

バイオマスレジン福島工場(外観)の画像

バイオマスレジン福島工場(外観)

今後は、非食用の米を由来とした生分解性プラスチック「ネオリザ」の生産もベトナムで進めていく予定だ。バイオプラスチック事業への展開を機にコバオリでは、サステナブルな観点を取り入れたものづくりがさらに進んでおり、ライスレジンを原材料にして開発した素材「ライスレザー」を使った財布やランドセルも生まれている。

ファッション業界で応用が利く新素材としてライスレジンを広め、ファッション業界の脱プラスチックの取り組みへの橋渡しができたらと語る小林社長。「これからもアイデアを駆使し、ライスレジンを活用した素材や商品を創り出していきたい」。もう次の挑戦を見据えている。

コバオリ株式会社

1947年 創業
1995年 中国・上海に独資法人設立
2001年 中国・青島に袋パッケージ工場を合弁で設立
2012年 インドネシアに合弁会社設立
2015年 ベトナムに合弁会社設立
2021年 バイオマスレジンホールディングスと資本業務提携
融資概要

2023年1月、コバオリのベトナム法人HUARI (VIET NAM) PRINTING AND PACKAGING COMPANY LIMITEDとの間で、融資金額8000万円(JBIC分)の貸付契約を締結。りそな銀行との協調融資。バイオマスプラスチックの製造・販売への支援を通じて、日本の産業の国際競争力の維持及び向上に貢献

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