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JBICから見る世界のサステナビリティの今

特集 サステナビリティ、未来への架け橋①

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サステナビリティは政府が主導する時代から企業自らがアクションを起こす時代へと変わってきている

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気候変動はもちろん、生物多様性や循環経済など、その対象はさまざまな社会課題へと多様化してきた

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JBICでは、ESGポリシーを策定し、ファイナンスを活用して「持続可能な発展」を推進している

JBICから見る世界のサステナビリティの今①の画像

サステナビリティを考えない、そんな案件はもはや存在しない

国際社会においてサステナビリティという言葉が使われるようになったのは比較的新しい。

1970年代以降、環境をテーマとした国連の会議が開催されるようになったが、環境と開発の両立を目指す「持続可能な発展」の概念が普及するきっかけとなったのは92年の地球サミット(リオサミット)だ。2015年に国連持続可能な開発サミットで30年までに達成すべき目標としてSDGsが提唱されるとサステナビリティという言葉があちこちで使われるようになった。

現在ではさらに広がりを見せ、サステナビリティの概念は環境、社会、経済の三つの側面に焦点を当てた、より包括的なものとなっている。

また、かつては国際的な取り決めを履行する政府主導の色彩が濃かったが、次第に企業など民間からの能動的なアクションが求められる時代に変化。

国際協力銀行(JBIC)は21年10月にESGポリシーを公表、22年6月には経営レベルでの取組体制を整えるとともに、サステナビリティ統括部を設置し組織として推進体制の強化を進めている。

「サステナビリティの追求や確立というテーマは、経営の中心に深く関わる領域なのだと、自分の中での捉え方が変わりました」。JBICサステナビリティ統括部の林郁さんは着任当初を振り返り自身の変化を語る。「サステナビリティが重要な課題となっていますし、日々の業務も経営陣と一緒に相談しながら進めています。とてもやりがいがあります」

林 郁さん①の画像

JBIC 企画部門 サステナビリティ統括部 第2ユニット ユニット長の林郁さん

JBICはESGポリシー公表前からグローバル・アジェンダ(地球規模課題)への取り組みを重点取組課題として掲げていたが、英国グラスゴーで開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に先立ち、気候変動問題への対応方針を軸に、サステナビリティ実現に向けて強いコミットメントを図っていくという姿勢をステートメントとして示したのがESGポリシーだ。

「ESGポリシー公表後、サステナビリティ経営に向けた取り組みも加速しました。OECD加盟国の政策金融機関としては先駆けて気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言を踏まえた情報開示や人権方針の公表などを進めており、常に国内外でのニーズを意識して取り組みを発展させています」(林さん)

JBICのサステナビリティ推進の体制整備はこれに留まらない。サステナビリティ統括部の誕生と同時に、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ・アドバイザリー委員会、経営会議直下にサステナビリティ委員会を設置した。

さらには、ファイナンス面でも22年7月に新たに「グローバル投資強化ファシリティ」を創設。日本企業による脱炭素化をはじめとする地球環境保全への貢献、サプライチェーンの強靱化、質の高いインフラ展開や海外における新たな市場創出の支援を推し進める。

体制整備後はサステナビリティ関連情報が一元化されるようになり、JBIC内外での発信や、組織内での議論のスピード感も増していったという。

「JBIC内でのサステナビリティ関連の情報流通が劇的に変わりました。これまでは持続可能な発展に資するような取り組みを各部署それぞれでやっていましたが、今はそうした行内のプランやアクションを一元的に把握できるようになっています」(林さん)

サステナビリティ統括部で林さんと共に動いている岡田悠乃さんは言う。「今では『これってサステナビリティに関係しますか』というような気軽な質問を受ける機会も増えています。案件の意思決定に関わっていると実感します」

林さんが続ける。「JBICでは、1980年代~90年代の頃からすでに、環境に配慮したプロジェクト向けに優遇金利の設定や、環境社会配慮確認のためのガイドラインを定めて投融資対象のプロジェクト周辺の自然環境や社会環境への影響及びそれらへの配慮をモニタリングする等の取り組みを続けてきました。そういった継続的な取り組みもあったので、サステナビリティの体制整備の際も行内の目線合わせはしやすかったと思います」

多岐にわたる支援領域。定量化しにくい課題にも向き合う

サステナビリティ統括部の発足から1年半ほどが経過した今、手応えはありつつも、課題も日々実感しているという林さん。

「脱炭素など、実績もあり馴染みの深い領域はすでに担当者の意識も相当高いものがあります。一方で、例えば生物多様性、水などの自然資本、循環経済(資源の循環利用を続けながら、新たな付加価値を生み出す経済活動)といった分野については、サステナビリティ領域としてどう取り組むべきか、引き続きさまざまな動きや議論がある。これらの分野についてはサステナビリティ目線での啓発や情報提供がより必要になってきていると思います」。

岡田さんも言う。「サステナビリティと一言で言っても、扱うテーマは多岐にわたります。あらゆる案件がスコープに入り得るので、常に学び続けているような状況です。各案件とサステナビリティとのつながりを意識し、着実に周知していきたいと思います」

岡田悠乃さん①の画像

JBIC 企画部門 サステナビリティ統括部 第2ユニットの岡田悠乃さん

サステナビリティに関連するJBICのファイナンスは三つに大別できる。

温室効果ガス削減やグリーンイノベーションの普及を支援するグリーンファイナンス。より環境負荷の少ないエネルギー利活用への移行の取り組みを支援するトランジションファイナンス。そして、持続可能な成長に向けた社会課題の解決に資する事業支援を行うのがソーシャルインパクトファイナンスだ。

「グリーンファイナンスやトランジションファイナンスの領域では、やはり再生可能エネルギーや次世代エネルギー関連の案件数が多いですね。なかでも最近特に勢いがあるのは、洋上風力発電関連や水素の利活用関連の事業になります」(林さん)

自然資本や循環経済に資する案件も引き合いが増している。例えば、インドネシア政府発行のブルーボンド(海洋資源の保護など海洋分野に資金使途を限定するSDG債)を一部取得することで、生物多様性・生態系の回復や持続可能な漁業等に貢献する事業を間接的に支援するような案件も出てきている。

「生物多様性や循環経済は脱炭素のように明瞭な数値に置き換えて定量化することが難しく、温暖化のように日々の実感もしにくい分野。しかし、これらは世界共通の重要な課題といえます」(岡田さん)

ソーシャルインパクトファイナンスの領域では、さまざまな社会課題に対しサステナビリティの観点をも踏まえた事業展開が加速している。

「医療環境の整備・拡充が追いつかず、生活環境の安定しない国は少なくありません。例えば、ベトナムでは医療機器の製造・販売事業に、シンガポールでは医薬品や医療機器の販売・マーケティング事業にそれぞれ融資、現地の健康・衛生水準の向上に貢献するような事業も推進しています」(林さん)

JBICの主なサステナビリティ(環境分野)関連プロジェクト
JBICの主なサステナビリティ(環境分野)関連プロジェクトの地図 JBICの主なサステナビリティ(環境分野)関連プロジェクトの地図
ユニットを統括しつつサステナビリティ関連の委員会運営等、JBICのサステナビリティ経営の加速に尽力する林郁さん(左)、林ユニット長の下で自然資本の持続可能性向上や循環経済の推進等を担当する岡田悠乃さん(右)の画像

ユニットを統括しつつサステナビリティ関連の委員会運営等、JBICのサステナビリティ経営の加速に尽力する林郁さん(左)、林ユニット長の下で自然資本の持続可能性向上や循環経済の推進等を担当する岡田悠乃さん(右)

「カラフルな世界」の実現へ、問われるのはいかに実践できるか

また、JBICはASEANをはじめとするアジア地域での女性起業家の支援を目的として、マイクロファイナンス機関に対して投融資を行うファンド「JAWEF(Japan ASEAN Women Empowerment Fund)」にも出資する。

「ジェンダー平等の推進に向けたサポートを目的としたものでした。趣旨に賛同する日本の機関投資家と共に参画しています」(岡田さん)

もちろん、サステナビリティを経営課題に掲げるからには、JBIC自らも全職員が持続的に働ける状態を「仕組み化」して、組織基盤を強靱なものにしていく必要がある。実際に、第4期中期経営計画(2021~23年度)での取組目標の一つとして、ダイバーシティとインクルージョンの実現を掲げる。

「多様な職員の能力と活力を引き出すような人材育成体制と働き方改革の推進を両輪に、『カラフルな世界』の実現を目指すJBICの取り組みが行内でも実践されています」(岡田さん)

サステナビリティをボランティアのような慈善活動としていた時代から、いかに貢献し、実現するかを経営目標として真剣に取り組む段階へと社会状況は大きく進んできている。

林さんも力を込める。「24年度からの新たな中期経営計画でも、サステナビリティへのコミットメントとその実践がこれまで以上に重要な柱となっていくと思います。私たちの部署がJBICの中で担うべき役割や責任も今まで以上に大きなものとなります」

サステナビリティ分野における国際環境の変化とJBICの歩み
サステナビリティ分野における国際環境の変化とJBICの歩みの図 サステナビリティ分野における国際環境の変化とJBICの歩みの図

JBICにしかできない、JBICだからこそできることもまだまだたくさんあるはずだ。

岡田さんはこう話す。「政策金融機関として意義深いのは、やはり他の機関や企業がまだ取り組めていない領域に資金を動員していくところにあると思います。少し先を読みながら、環境問題や社会課題をクリアするためのファイナンスを提供していきたいです」

日本企業がアジアを中心に築いてきた国際ネットワークへの信頼は厚く、また水素燃料をはじめとする日本発の環境関連の新技術に対する国際的な期待は高い。サステナビリティ推進のために練られた「JBICポリシー」に基づき、JBICは今後も、世界各地で支援を展開していく。日本の力を世界の持続可能な未来のために。地道な支援の積み重ねが世の中をまた一歩前進させる。


林 郁さん②の画像

PROFILE

林 郁さん②の画像

JBIC 企画部門
サステナビリティ統括部 第2ユニット ユニット長

林 郁(はやし・かおり)さん

2002年入行。環境審査室、国際金融第1部、OECD出向等を経て、シンガポール駐在員事務所では東南アジア・大洋州の政策動向調査など幅広く担当。2022年7月から現職

岡田悠乃さん②の画像

PROFILE

岡田悠乃さん②の画像

JBIC 企画部門
サステナビリティ統括部 第2ユニット

岡田悠乃(おかだ・ゆの)さん

2021年入行。電力・新エネルギー第1部にて、中東・北アフリカ地域等の再生可能エネルギーを中心とする発電所事業向けプロジェクトファイナンスを担当後、現職

林郁さん(右)、岡田悠乃さん(左)の画像
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