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廃棄物発電で緩和する新興国インドの環境問題

特集 サステナビリティ、未来への架け橋②

14億の人口を抱え、急成長するインド。半面で、増加する都市廃棄物が深刻な社会課題になっている。「クリーン・インディア」を掲げるインド政府はこの課題解決に加えて、ごみ焼却熱による廃棄物発電に注力。日本の技術がこれを支える。

日本では経済成長期の1960年代より各地域にて採用されてきた廃棄物発電。日本の技術を普及させることが、インドの経済社会インフラの課題解決につながると期待の画像

日本では経済成長期の1960年代より各地域にて採用されてきた廃棄物発電。日本の技術を普及させることが、インドの経済社会インフラの課題解決につながると期待 写真提供:日立造船株式会社

廃棄物の約7割が埋め立ての現状。エネルギーや衛生問題の改善に

世界最大の人口を原動力に、今やGDPで世界5位となったインド。さらに2027年にはドイツと日本を抜き世界3位になるという予測もあり、その勢いは増すばかりだ。しかしながら、成長の一方で、巨大な人口を抱えながらの急速な発展による歪みも存在する。その1つが、廃棄物問題だ。

インドの都市廃棄物は現在、一人当たり1日0.4kg。これが30年には0.6kgと1.5倍になる見込みだ。人口が多いだけに、他国以上に廃棄物処理は深刻な社会課題となる。

加えてインドでは、廃棄物の70%近くが埋め立て処理で、世界的に見てもその比率が非常に高く、廃棄物発電やリサイクルに活用されるのは3割程度に留まるのが現状だ。人口増に伴う都市化の進展は待ったなしで、未処理の廃棄物の増加が一層懸念されている。

廃棄物発電とは、回収した生活ごみをプラントで処理し、その際に出る熱を電力に変換する仕組み。回収方法には地域差があるが、回収後のプロセスは基本的に共通で、その効果は事業者の経験値や発電効率などの技術力が大きくものをいう。

インド政府は「クリーン・インディア」政策の2期目として「スワッチ・バーラト(ヒンディー語でクリーン・インディア)運動―都市2.0」を21年10月に発表。インド全土でごみのない都市を目指し、廃棄物発電などの廃棄物処理施設の設置を推進する。

石炭火力発電に電力需要の半分以上を依存するインドだが、政府は30年までに非化石燃料による発電容量を500GWへ増強することを目標として掲げている。廃棄物発電はエネルギー面での貢献はもちろんのことだが、その効果は他にもあるという。

「廃棄物処理時の埋め立てを削減することは、インド国内の衛生問題の改善にもつながるのです」と、JBICインフラ・環境ファイナンス部門でインドと折衝を重ねてきた米山智さんは説明する。

廃棄物発電とリサイクルを注力分野に、190億ドルのインド政府の予算が設けられている。廃棄物発電市場も毎年2割前後の成長を見込んでおり、こうしたインドの「成長分野」に注目する日本企業が出てくるのも自然な流れといえる。

JBICも廃棄物発電の分野において他国での実績があり、17年には米国、19年にはスウェーデン、21年にはドバイと、世界各地で廃棄物発電に関する事業を支援してきた。

廃棄物発電には世界各地でニーズがあり、発電効率ときめ細やかなメンテナンスが日本企業の強みだと語る米山智さんの画像

廃棄物発電には世界各地でニーズがあり、発電効率ときめ細やかなメンテナンスが日本企業の強みだと語る米山智さん

インド固有の難しさを乗り越え、総額300億円の再エネ事業推進へ

この度、JBICはインドにおいて23年に、政府系金融機関のPower Finance Corporation(PFC)との間で、インド中部のマハラシュトラ州(融資総額約26億円(JBIC分約15億円))とカルナータカ州(融資総額約18億円(JBIC分約11億円))の廃棄物発電プロジェクトを支援する貸付契約を締結した。

これらは、22年7月にPFCと締結済みの、総額300億円(JBIC分180億円)を限度とするクレジットライン(インドにおける再生可能エネルギー事業及び省エネルギー発電・熱供給事業に必要な資金につきPFCを通じて融資するもの)に基づく個別契約となる。

廃棄物発電は、発電効率等で優位性を持つ日本企業の実績や強みも活かせる分野で、JBICのグリーンファイナンスの目的に沿ったプロジェクトでもある。ただ、現地との交渉にはインド固有の困難もあったという。

「通常の融資では借入人との協議となりますが、本件はPFCと各事業実施者との間での転貸契約の内容を確認しながら、PFCを通じて各事業実施者からプロジェクト情報を収集するというプロセスが追加されたこともあり、調整に時間を要しました」と米山さんは振り返る。

また現地とのコミュニケーションにも苦労があった。「コロナ禍でオンラインの会議となり、メールや電話をしても話が進まない。結局、渡航緩和以降に訪印を重ね、ひざ詰めの交渉でなんとか合意にこぎつけました」

そうしたインド特有の課題と向き合いながらも、この廃棄物発電に大きな意義を感じる米山さん。「インドの環境社会課題に日本の技術を活用した廃棄物発電で貢献できることは、インドにとっても日本にとっても意義があり、大きなやりがいがあります」。

今回の廃棄物発電を足がかりに、今後もPFCとのクレジットラインの活用を含む各種取り組みによるインドの再エネ推進への、JBICの支援は続いていく。


米山智さんの画像

PROFILE

米山智さんの画像

JBIC インフラ・環境ファイナンス部門
社会インフラ部 第2ユニット ユニット長

米山智(よねやま・さとる)さん

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