特集 日本企業が進出したい国TOP10③
投資有望国ランキングでインド・ベトナムに続く、3位から10位までの国々を一覧で概観。特に注目を集めるインドネシア、メキシコ、フィリピン、ドイツの4カ国について特徴・強み、課題そしてJBICの取り組み状況についてダイジェストで紹介する。






法制に不透明さがあるも
東南アジア最大市場の魅力
2億7500万人超という東南アジア最多の人口を擁し、経済成長も安定的に推移している。購買力の高まりを背景に、生産拠点から消費者市場としての面も大きくなっており、現地マーケットの成長性を高く評価する企業が多い。戦前から日本企業が進出してきた実績は他のASEAN諸国よりも長い歴史を持つ。
他方で法制の不透明さや労働コストの上昇は課題となっている。JBICは引き続き堅調な自動二輪車・自動車産業のサプライチェーン強靱化支援に加え、脱炭素に向けたエネルギー・トランジション支援も強化している。




治安面に課題があるも
米国に隣接した地理的優位性
同国を挙げた企業の約半分が自動車関連。安価な労働力を武器に、米国に隣接する地理的優位性から北米向けの組み立てメーカーの供給拠点となってきた。労働コストの上昇が続く米国からのニアショアリング(事業拠点の近隣移転)先としても期待が高い。米国市場がEV志向となり、ガソリン車をメキシコで販売する動きがある。
労働力人口の約半分が非正規雇用で労働コストは安価なものの、優秀な人材の確保と治安には課題が残る。 JBICでは自動車用部品の製造・販売事業展開などを継続的に支援する。


優秀な人材は不足するも労働コスト安く成長性に期待
日本企業にとって地理的に近く、戦後初期からの進出実績を多く持つ国であることが進出における強み。マーケットとしての成長性や安価な労働コストには一定の評価がある。
一方で、優秀な人材の不足、貧富の格差やミンダナオ島やその周辺地域における紛争に起因する治安面への不安が進出における課題として指摘されてきた。このため、生産拠点の多元化などリスク分散の受け皿にはなりきれていない状況がある。JBICは目下、エネルギー・トランジション関連での支援拡大に取り組んでいる。




ウクライナ侵攻で経済低迷するも
技術力と品質に定評
価格交渉など取引上の約束をしっかり履行する点で評価が高く、日本の特に製造業企業に高い信頼を得ている。技術や仕上がりの品質も高く、安定感がある。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響を大きく受け日本よりも経済成長率が低い状況で、当面は景気回復も見込めないことが課題だが、脱炭素に向けた取り組みの水準は欧州でも随一であり、欧州主要国として唯一トップ10にランクインした。JBICはEV向け部材の製造設備の増設や自動車用部品や排気系部品の製造などへの支援を実施している。