特集 地方銀行に聞く「海外進出支援の戦略」⑤


2019年4月に旧近畿大阪銀行と旧関西アーバン銀行が合併して誕生した関西みらい銀行。関西2府4県を主な地盤とし、現在はりそなホールディングスの傘下にある地銀だ。
執行役員の平山智祥さんは、「海外進出を検討する顧客に対しては、現地の経済状況や政治的な背景などの情報提供を手始めに、現地情勢に精通したコンサルタントの紹介などを段階的にサポートしています。国内のイメージが強い当社やりそなグループですが、海外支援にも注力しています」と語る。
りそなグループが持つ海外拠点や現地の提携金融機関を含めたネットワークを強みとし、実際に海外展開を決めた中堅・中小企業に対しては、JBICと連携した金融支援も行っている。
「JBICを通じて現地法人へスタンドバイ・クレジット(信用状)で融資保証を行ったり、親会社を通じて融資する親子ローンを提供したりといった形が多いです」

タイ・バンコクで開かれた同社主催のビジネス交流会の様子。マッチングや企業ニーズ把握の機会にもなる
取引先の中堅・中小企業の海外進出は近年増えており、かつては製造業が中心であったがサービス業での進出も加速。とりわけ市場としての魅力を増しているASEAN諸国への注目度は高い。JBICとの連携で実施するセミナーでは、海外進出済みや検討中の企業が集まり、それを機会に成約に至るケースも珍しくない。「事例を紹介することでイメージが湧きやすく、当社の役割やポテンシャルを理解してもらう良い機会になっています」
中堅・中小企業の海外展開を支える上で重視しているポイントがある。人財の育成だ。顧客からの進出相談が増え海外業務の機会が増していくなかで、同社もそうしたニーズに対応した体制強化を進めている。
特に海外業務に長けた人財の育成は不可欠であり、地銀の一般的な業務を担うだけでは養えない部分を補完する取り組みを行う。その一例として、若手社員を対象とした国際業務に関する半年間のトレーニー制度、駐在員事務所や提携する海外の銀行への業務出向の機会等を提供している。また、支店長クラスを対象に、海外の現地法人の視察研修も実施している。
「アジア11カ国を自分の足で回った私自身の経験を踏まえても、国際ビジネスの感覚を磨くには座学だけでは限界があり、やはり実際の現場に足を運び、視察の機会を得ることが大切だと考えています。地銀ならではのきめの細かいサービスに海外の現場で得た知見が組み合わさることで、案件の具体化につながります」
同社は国際的に活躍できる人財に積極的に投資を続けていくことで、中堅・中小企業と共に関西の「未来」を切り拓く。
