世界の「現場」から バンコク駐在員事務所
世界中で活躍する各地の駐在員事務所から、現地での仕事や暮らしについて生の声を聞く「世界の現場から」。日本企業も多く進出するタイの首都、バンコク駐在員事務所で働く島谷徳郎に現地の様子を聞いた。


ラオスの古都、ルアンパバーンで開催された国際会議に出席後、各機関の代表団と寺院等の視察を通して交流を深めた


JBICバンコク駐在員事務所
駐在員
島谷徳郎
前職で外国為替トレーダー、インド駐在員等を経て2021年入行。鉱物資源部でコーポレートおよびプロジェクトファイナンス業務に従事した後、23年9月より現職
タイはどんな国ですか?
経済は低迷気味ですが、GDP成長率は米国の関税政策の影響を受けてもプラスを維持する見込みです。タイは日本企業の集積地で、自動車メーカーを中心に多くの企業が進出しています。日本製品は食品や化粧品をはじめ、人気が高いですよ。仏教国で他者との調和を重んじる文化があり、親日国でもあるので順応しやすい環境ですね。
事務所があるのはバンコクのプルンチット地区という、東京で言うと銀座のようなエリアです。日本のJBIC本店とよく連絡を取りますが、時差が2時間しかないので連携しやすいです。
担当業務を教えてください。
当事務所ではタイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスの4カ国を管轄し、現地政府や企業、金融機関との交流を通じて経済・金融・政策の情報を収集します。これを分析し本店に報告することで日本企業による海外進出の後押しや、ネットワークの構築に貢献します。
私はバンコク日本人商工会議所(JCC)が会員企業向けに毎月発行する会報誌の編集委員も担っており、日本では経験しなかった仕事も含め幅広い業務を担当しています。将来JBICの組織運営や管理業務に携わりたいので、良い経験になっています。
国外出張の機会も多いのですか?
一番多いのはラオスですね。ラオスは人口750万人ほどの国ですが、豊富な水資源による水力発電事業が盛んで「東南アジアのバッテリー」と呼ばれています。再生可能エネルギーは世界的に注目が高く、半年に1度は調査に行っています。
印象に残っている仕事はありますか?
アジアの脱炭素化を推進するAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の取り組みです。ここタイでは在タイ日本国大使館、AOTS(海外産業人材育成協会)、JETRO(日本貿易振興機構)、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と連携してその実現に向けて取り組んでいます。
この春、省エネ関連投資を推進するプラットフォームを当事務所と上述した機関が共同で立ち上げました。省エネ推進はサプライチェーン全体のGHG排出量削減が求められるグローバルな流れの中で、日タイ両国企業にとって自社の競争力向上につながる取り組みです。日本の公的支援をシームレスに展開することで、有益な取り組みになることを期待しています。
休みの日は何をしていますか?
フットサルやムエタイのレッスンを通じて国際交流をしています。家族とは、観光地を巡ることが多いです。


左:週末はムエタイのジムで汗を流す/右:タイ南部の観光地クラビのビーチ。現地駐在員に人気のスポット