世界の「現場」から リオデジャネイロ駐在員事務所
世界中で活躍する各地の駐在員事務所から、現地での仕事や暮らしについて生の声を聞く「世界の現場から」。日本の裏側、南米ブラジルのリオデジャネイロ駐在員事務所で働く辻 拓也に現地の様子を聞いた。


事務所は駐在員とローカルスタッフで運営。なかには日本と縁のあるバックグラウンドを持つローカルスタッフも


JBICリオデジャネイロ駐在員事務所
駐在員(当時)
辻 拓也(つじ・たくや)
2020年入行。審査部で審査関連企画業務、コーポレート審査、プロジェクトファイナンス案件管理等に従事後、22年6月より現職。慶應義塾大学法学部卒
駐在員事務所はどこにありますか?
リオデジャネイロは美しい海岸やカーニバルが有名な観光都市で、当事務所はビジネス街のボタフォゴ地区にあります。ブラジルは日本にとって重要な貿易相手国の1つであり、現地政府・企業との関係強化は駐在員の重要な仕事です。ブラジルは幅広いセクターにおいてポテンシャルが高く、新規案件発掘も積極的に行っています。
どんな分野に注目していますか?
再生可能エネルギーです。ブラジルは元来世界有数のバイオエタノール生産国で、9割以上の車がエタノールでも走行できます。また、水力、太陽光などのエネルギーを活用しており、日本企業もグリーンプロジェクトを進めやすい環境だと思います。
今後伸びそうなのは森林保全のプロジェクトです。熱帯雨林を守るためにカーボンクレジットのような仕組みを活用し、環境保護と経済性の両立を狙います。まだ初期段階ですが、将来的にこういったプロジェクトのサポートにも携わりたいです。
注目のイベントはありますか?
昨年11月のG20首脳会議や、今年7月のBRICS首脳会議、11月に開催を控えるCOP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)です。駐在員はJBICの代表として、関連する国際会議に出席する機会に恵まれます。各国が思惑の中で着地点を探る様子を間近で見ることは、報道記事を読むだけではわからない新たな発見があります。
日本との文化的な違いはありますか?
ブラジルには初対面ですぐ仲良くなったり、困っている人を助けたりする「アミーゴ(友達)文化」が根付いています。歩きスマホをする人はほとんどいません。治安の問題もありますが、皆だれかと話していて、下を向いている人はいない印象です。
休みの日は何をしていますか?
日本にはない規模の大自然があるので、ビーチで遊んだり、山でハイキングをしたり。サッカー観戦にもよく行きますよ。
駐在員としての心構えはありますか?
「治安が悪い」というイメージが先行しがちですが、広大な自然と多様な文化が融合した環境で過ごすうちにブラジルが大好きになる人は多くいます。私も「この瞬間を最高に楽しむこと」を大切にする国民性をうらやましく感じることはありますが、駐在員の役割は日本の良さを保ちつつ現地とのシナジーを考えていくことなので、染まりすぎないようにしています。地域の風習や慣習に従いつつ、バランス感覚を持って業務にあたりたいです。ブラジルでの経験を活かし、将来は本店で銀行業務の中核を担う仕事も経験したいですね。


左:マラカナンスタジアムでサッカー観戦。シュートが決まると観客は大喜び/右:世界三大瀑布の1つ、イグアスの滝