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民間VCのように案件発掘を行うチーム

特集スタートアップ支援が拓く未来

2024年10月に始まったJBICのスタートアップ投資。民間VCと同じように投資委員会を整備し、迅速な意思決定を実現して、精力的に活動している。特徴はミドル・レイターステージを主な投資対象としていること、そして「海外支援」で差別化を図っていることだ。

民間VCのように案件発掘を行うチーム①の画像 民間VCのように案件発掘を行うチーム①の画像

海外で飛躍するスタートアップに投資するチーム

JBICでスタートアップへの直接投資に特化したチームが、エクイティ・インベストメント部に新設され、「JBIC Ventures」の名で行内外に知られている。投資案件の発掘から意思決定、投資先を見るポイントまで、チームヘッドとして投資委員も兼務する松原建徳によれば「民間のベンチャーキャピタル(VC)と同じように」を意識して動く。

意思決定は「通常のJBICの方法だと、スピードの観点でついていけず、優良な投資もできないだろう」との考えから、2024年10月に特別なガバナンス体制を敷いた。一般的な投融資で必要な行内での調整プロセスを省き、松原のチーム内での検討を経てスタートアップ投資委員会で決定、というシンプルな方法だ。毎週、投資委員の間で候補案件を議論し、約3カ月を目安に発掘からクロージングまで、VC並みのスピードを実現する。

松原建徳①の画像

JBICでスタートアップ投資を担当するエクイティ・インベストメント部Investment Directorの松原建徳。スタートアップ投資という未知の領域に進むにあたって「整備した体制が思ったとおりに機能したことはよかった」と振り返る

「意思決定は迅速に、投資しない判断も含めて早く伝えることを徹底しています。われわれの目的は『日本発の成長企業を海外で大きくすること』なので、その企業が大きく成長できるかどうかを重視しています。見るポイントは民間VCと大きく変わらない」と、松原は説明する。

JBICのスタートアップ投資の1つの特徴は、シード・アーリーステージ(起業前・事業開始直後)ではなく、ミドル・レイターステージ(事業成長期・安定期)の企業を基本的な投資対象としていることだ。「アーリーまでは民間VCが厚く、われわれが入る価値は相対的に小さい。ミドル以降は必要資金が大きくなる一方で資金供給が細りがちで、政策金融機関であるJBICが資金を供給する意義もあります」

松原建徳②の画像 松原建徳②の画像

国内に加えASEANでも関係構築。海外支援で選ばれる投資家に

チームが活動を始めてまだ1年。VC業界ではまだまだ「新参者」とも言えるが、メンバーはイベントやカンファレンスに足を運び、他の投資家から紹介を受け、精力的に投資案件の発掘を続けている。例えばこれまでに投資したスタートアップの1社に、ケニアで中古車売買のマーケットプレースを提供するPeach Carsがあるが、既存投資家の紹介がなければ出会えなかった先だ。

国内だけでなくASEANでもチームでシンガポールに渡り、主要なVCを行脚し関係構築に努めた。これからプレゼンスを発揮していくカギはどこにあるのだろうか。

「立ち上がりは『政府系×海外支援』の期待値で差別化できました。次は実績です。すなわち、期待を形にして、『海外ならJBIC』という投資家としての評価を得ること。資金だけではない『求められる』投資家になるべく、価値提供を可視化していく必要があります」

JBICならではのスタートアップ支援を遂行し、日本に新たなグローバル企業を生み出す。松原のチームはその最前線の部隊だ。

ケニアで中古車売買事業を行うスタートアップのPeach Cars(本社は東京)にも投資を行ったの画像

ケニアで中古車売買事業を行うスタートアップのPeach Cars(本社は東京)にも投資を行った


松原建徳③の画像

PROFILE

松原建徳③の画像

JBIC エクイティ・インベストメント部
Investment Director

松原建徳(まつばら・たつのり)

2002年入行。プロジェクトファイナンスを担当後、09年以降はファンド投資、直接投資などのエクイティ投資に従事。ロンドン首席駐在員を経て、24年より現職。東京大学大学院法学政治学研究科修了

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