株式会社国際協力銀行(JBIC)は、2025年5月22日から23日にかけて、インドのオブザーバー・リサーチ基金(Observer Research Foundation:ORF)および公益社団法人経済同友会(経済同友会)との共催で、「ライシナ東京」を開催しました。ORFは、経済安全保障上の社会課題を協議するため、インドにおいて「ライシナ対話」を毎年開催しており、昨年、日本で開催する新たな国際会議として「ライシナ東京」を創設し、今般、第2回目のライシナ東京を開催しました*1。ライシナ東京は、日印両国間の連携強化に向けて、地政学、国際情勢、循環型経済、環境に優しい社会への移行、食料安全保障といった様々な個別テーマについて、産官学を代表する有識者が意見交換することを目的としています。
JBIC取締役会長の前田匡史、ORFのサミル・サラン総裁、経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス代表取締役会長)による開会挨拶の後、日印協会を代表して菅義偉会長(第99代内閣総理大臣)、大串正樹経済産業副大臣および岩屋毅外務大臣(ビデオメッセージ)より基調講演が行われました。基調講演では、日印関係が「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」に格上げされて今年で10年を迎える中、インド政府が日米豪印(QUAD)の議長を今年務めることも含め、様々な枠組みを通じた連携の強化への呼びかけがなされました。また、国際情勢の不確実性が増す中、グローバル・サウスの代表格であり、基本的価値を共有するインドとの安全保障、経済・経済協力および人的交流等の幅広い分野で協力を、さらに深化させていくことへの呼びかけがありました。
続いてインドのヴィクラム・ミスリ外務事務次官が登壇した特別講演では、サプライチェーンの混乱、戦争や地域紛争が続き、断片化・分極化する世界において、インドは「メイク・イン・インディア」政策を通じて製造業を戦略的に強化していくとともに、ルールに基づく国際秩序、戦略的自立および持続可能な成長という価値観を共有する日本と共に引き続き広範な分野で協力していきたい、との言及がなされました。
また、インド、豪州、米国の駐日大使館による基調講演では、民主主義という価値観を共有するQUADによる、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力が強調され、地域の安全保障、経済成長およびサプライチェーン強靱化等を通じて、共通の価値観と戦略的連携を深めていくことの重要性が語られました。政官財関係者を交えたパネルディスカッションでは、地政学的緊張が高まる中での今後のグローバル連携の展望において、さらなる協力が期待される分野として、経済安全保障、循環型経済、エネルギー・トランジション、食料安全保障といった幅広い分野での取り組み強化について協議が行われました。
同フォーラムには、インド、米国、豪州の政府関係者、民間企業の関係者等、計100名余りが出席し、産官学関係者間での幅広い意見交換の場となりました。
JBICは今後も日本の公的金融機関として、相手国政府や公的機関、現地シンクタンク等との強固なリレーションを活用し、日本企業の海外でのビジネス展開・投資環境改善に貢献すべく、積極的に取り組んでいきます。








注釈
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第1回ライシナ東京については、2024年3月18日付トピックスをご参照ください。